戦争と平和(1956)

劇場公開日:

解説

露の文豪レオ・トルストイの不朽の名作“戦争と平和”の映画化である。伊のポンティ=デ・ラウレンティイス・プロの作品。製作は「ユリシーズ」のディノ・デ・ラウレンティス。脚色はブリジット・ボーランド、ロバート・ウェスタービーに伊のマリオ・カメリーニとエンニオ・デ・コンチーニさらに監督のキング・ヴィダーと5名が協力し、「星のない男」のヴィダーが監督している。協力監督は「河の女」のマリオ・ソルダーティ、撮影は英のジャック・カーディフと伊のアルド・トンティの共同。編曲は「平和に生きる」のニーノ・ロータ、音楽監督はフランコ・フェラーラ。出演は「麗しのサブリナ」のオードリー・ヘップバーン、「ミスタア・ロバーツ」のヘンリー・フォンダ、「美しのロザリンダ」のメル・ファーラーを中心に、「ラプソディー」のヴィットリオ・ガスマン、「ホブスンの婿選び」のジョン・ミルズ、「絶壁の彼方に」のハーバート・ロム「地獄の翼」のアニタ・エクバーグ、「ガラスの靴」のバリー・ジョーンズ、「エディ・フォイ物語」のミリ・ヴィターレ、「貴女は若すぎる」のアンナ・マリア・フェレロ、「水爆持逃げ道中」のオスカー・ホモルカなど。

1956年製作/208分/アメリカ
原題:War and Peace
配給:パラマウント
劇場公開日:1956年12月22日

ストーリー

19世紀初頭、帝政ロシアの物語。進歩的な青年ピエール(ヘンリー・フォンダ)はフランス革命精神の象徴としてナポレオンを尊敬し、仏軍モスクワ侵入の噂にも他のロシア国民ほど憎悪を感じられなかった。彼が親しくしているロストフ伯爵家では、長男ニコラス(J・ブレット)の出征に、伯爵(バリー・ジョーンズ)と伯爵夫人も沈んだ面持ちだが、出征はニコラスの恋人で財産を持たないソニヤ(M・ブリット)との仲を割くことにもなるので、夫人にはせめての慰めだった。ピエールの気に入りは娘のナターシャ(オードリー・ヘップバーン)。まだ女学生だが2人は兄妹のように仲が良い。ニコラスの出征を見送ったピエールは道楽者の友人ドロコフのパーティで乱チキ騒ぎ。ベズコフ伯爵の庶子である彼は、上流の人々とつき合えないのだった。だが無二の親友アンドレイ公爵(メル・ファーラー)の知らせで、危篤に陥った父の病床へ急ぐ。アンドレイは最近、妻リーゼ(ミリ・ヴィターレ)との仲が気まずく、早く戦場へ出たいと考えていた。遺言でピエールは広大な領域を受けついだが、臨終に立ち会ったクラーギン公爵は娘のヘレーネ(アニタ・エクバーグ)に彼を誘惑させようと思いつく。アンドレイは妊娠した妻を田舎の邸へ送り戦場へ赴く。厳格な父親はリーゼに気のつまる思いをさせ、内気な娘マリア(アンナ・マリア・フェレロ)は同情しつつ父への遠慮から沈黙を守っていた。ロシア軍は戦線に到着、ナターシャが将兵の奮戦ぶりを夢みている頃、ピエールはヘレーネとの結婚準備に忙殺されていた。アンドレイは総司令官クツゾフ将軍(オスカー・ホモルカ)の幕僚としてチェコの小村アウステルリッツに出陣。結果は敗戦に終わり、ニコラスは辛うじて逃げ帰り、アンドレイは負傷する。休戦条約が結ばれ、将兵はモスクワへ戻る。リーゼはお産で死に、アンドレイは一変して気難しい人間になってきた。一方、派手好きのヘレーネはドロコフを誘惑、ピエールは決闘で彼を傷つけた上、妻と別れた。ピエールはナターシャの姿を見ることだけを慰めとしていたが彼女はアンドレイと愛し合うようになった。だがアンドレイの父の反対で結婚出来ぬまま旅立つアンドレイを見送ったナターシャは、オペラでヘレーネの兄アナトール(ヴィットリオ・ガスマン)に言い寄られ、駆け落ちをすすめられる。ソニヤの知らせでピエールは彼を追い払うがアナトールを諦め得ないナターシャに、アンドレイは再び憂鬱な人間となる。休戦も終わり、ボロディノの決戦でアナトールは戦死、アンドレイは重傷を負い、今は自らの過ちを知って戦場に立ったピエールも負傷した。クツゾフの焦土戦術でロストフ家の人々もモスクワを去り、1人残ってナポレオンを刺そうとしたピエールも実行出来ぬまま仏軍の捕虜となる。アンドレイはナターシャに抱かれつつ絶命し、恋を諦めたソニヤの計らいでニコラスは、アンドレイの子供を引き取っていたマリアと結ばれる。獄中でピエールは信仰あつい農民プラトン(ジョン・ミルズ)を知る。ナポレオンのモスクワ撤退の際、プラトンは射殺されるがドロコフ指揮のコサック騎兵にピエールは救われた。11月も末、ナポレオンは完敗してパリへ逃げ戻った。モスクワに帰ったピエールの訪れた荒廃したロストフ邸では、いまは大人になったナターシャが彼を待っていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第29回 アカデミー賞(1957年)

ノミネート

監督賞 キング・ビダー
撮影賞(カラー) ジャック・カーディフ
衣装デザイン賞(カラー)

第14回 ゴールデングローブ賞(1957年)

受賞

最優秀外国語映画賞  

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演女優賞(ドラマ) オードリー・ヘプバーン
最優秀助演男優賞 オスカー・ホモルカ
最優秀監督賞 キング・ビダー
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映画レビュー

3.5女性とドレスが綺麗

2023年8月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

だいぶ前にも観て久しぶりに視聴。
オードリーヘプバーンが好きで観ました。
やはり、可憐。衣装も綺麗。ピーターの奥様も兄の恋人も綺麗。ドレスがそれぞれの個性に合った色とデザインでよく似合って美しい。ため息が出る程、ってこういう事かな。ただ、オードリーの相手は何故ずっと年上ばかりなんだろう?メルファーラーもあまりいいとは思わない。名優かもしれませんが。
びっくりして画面をまじまじと観たのが狩りに行く乗馬シーン。ドレスの女性が跨らずに横座りで男性陣に引けを取らずに騎乗しているのが凄い。スタントかなと思うけれど当時女性はこのようにして乗っていたのでしょうか?だいぶ上手くないと落ちてしまうのに。

コメントする 12件)
共感した! 6件)
りか

3.0リドミュラ=ナターシャへの想いを覆すまでには…

2022年12月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この1年、TV版とソ連版を続けて観ていた
ものの、過去に観たこの米国版については
印象が薄く観る予定は無かった。
しかし、たまたまTV放送があったため、
比較の上で再鑑賞してみた。

改めて観てみて、
ハリウッド映画らしいスペクタクルに、
特にナポレオン軍の撤退シーンには
並々ならぬ迫力を感じることが出来た。

しかし、全体的に主要3人を
空間的にも関わり合いの上でも
コンパクトに改変にしたのは、
ソ連版の約半分の上映時間でもあるし、
膨大な原作をまとめるためのやむを得ない
手法だったとは思うが、
ソ連版が主要3人の人間描写にも重きを置き、
その他の人間関係や話の展開については
ナレーターの処理で
原作の膨大さをカバーしていたのに対し、
この作品では
どうしても“はしょった感”が出てしまい、
重厚さとリアリティの観点からは物足りない
印象になってしまったのは残念だった。

更に、ソ連版「戦争と平和」の
若く可憐なリュドミラ・サベリーエワの
ナターシャぶりには
さすがの華麗なヘップバーンでもかなわず、
また、前半のクライマックスシーンである
ナターシャに愛を告白した
ピエールの喜びの描写が
どうしてもソ連版に比べて弱い。
これは多分に、
ピエールをヘンリー・フォンダが
演じていることと関連があるかもしれない
と今回は感じてしまった。
彼ではピエールの
“外見的な”凡庸さとは一線を画してしまい、
原作にある
「もし僕がいまの僕ではなく、
世界中でもっとも美しい、
もっとも聡明な、
もっともすぐれた人間で、
そして、自由な体であったなら、
僕はいますぐここにひざまずいて、
あなたの愛をもとめたでしょう」
(米川正夫訳)の台詞でイメージされる
人物像と一致しなく、
ナターシャの再起への気付きを働き掛ける
慎み深いピエールの想いが伝わらないので、
結果、原作やソ連版ほどの感動を
私に与えてはくれなかった。

そんなこともあり、やはり、
私のリュドミラ=ナターシャへの想いを
覆す「戦争と平和」の鑑賞にも
ならなかった一因だったかも。

それにしても、
このタイミングでのTV放映は、
ロシアが受身のこの戦争物語だけに、
この度のロシアによるウクライナ侵攻を
皮肉る意味合いでもあったのだろうか。

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KENZO一級建築士事務所

5.0苦難の時も人生を愛せ、人生が全てだから。トルストイの言葉の引用

2022年3月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

言うまでもなく、トルストイの歴史的名著だ。
原作を読んで、ボンダルチェクの映画はみていたが、この映画の方が理解しやすい。
但し、原作ではナポレオンとかクトゥーゾフの記述は少なかったと記憶する。
兎に角、今は。
クトゥーゾフのセリフをロシアとウクライナの大統領に聞いてもらいたいです。

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マサシ

4.0戦争の虚しさ

2022年3月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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