劇場公開日 1985年7月6日

「007シリーズがフォーマットとして永続できる態勢が完成した作品」007/美しき獲物たち あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0007シリーズがフォーマットとして永続できる態勢が完成した作品

2019年4月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

主題歌はデュラン・デュラン
見事に80年代の空気感を捉えた抜擢です
楽曲自体もできがよく大ヒットしています

まず冒頭のソ連兵との雪中チェイスはスノーボードのアクションでつかみは十分
笑いもしっかり取ってきます

今回の舞台はパリとサンフランシスコ
パリと言えばエッフェル塔、セーヌ川
サンフランシスコと言えばゴールデンゲートブリッジ、フィシャーマンズワーフ、白亜の市役所、坂の街にケーブルカー、リトルトーキヨー、名物の地震、シリコンバレー
全部出てきます
それもボンドが縦横無尽に暴れ回り巡ってくれます
流石のサービス精神健在です

特にパリ街中のアクションシーンは目を見張るものです
エッフェル塔からのスカイダイビングは本作と言えばこのシーンとなる程の語り草です

前作オクトパシーで元祖対本家の戦いに勝利して、波に乗っての次回作になります
元祖のネバーセイネバーアゲインの良いところだった女性殺し屋を採用してグレイス・ジョーンズという当時の人気モデル兼ディスコ歌手を起用
彼女はなかなかにビジュアルのインパクトがあります
本作前年のキング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2で正に馬のような扮装の古代の女戦士役が評判になっており、それが本作の競馬馬のモチーフのイメージの連想による起用と思われます
その作品ではかなりの大根でしたが本作ではだいぶ観れるような演技になって来ました
エッフェル塔でのアクションシーンでの衣装はネバーセイネバーアゲインの女殺し屋を思わせる衣装ですが、競馬場での登場シーンでは正にサラブレッドの艶やかな馬体と彼女の逞しく美しく長い手足と褐色に輝く肌、特に尻から太ももにかけてのラインとの相似を見せつけてくれます
鉱山の地中シーン、それも地中の大量の激流シーンは本作前年のインディジョーンズ魔宮の伝説を思わせ二番煎じぽく感じますが、たまたまかぶったものだと思われます
しかし、続くサンフランシスコのシークエンスが特に抜群の出来映えに仕上がっており満足度は高いです
ゴールデンゲートブリッジをこれでもかとアクションシーンの見せ場にしてくれれるのですから
正に誰も見たことのない映像です

ロジャー・ムーアも遂に本作で勇退
若手にバトンを渡すタイミングであると、元祖のネバーセイネバーアゲインのコネリーを見て判断したのでしょう
見た目の若い彼でももはや限界です

本作を観て改めて思うのは、元祖と本家の争いでスペクターとプロフェルドを使えなくなったことが、逆にプラスになっていること
いろいろな敵を登場させる事ができ、作品の自由度が上がっているからです

007シリーズがフォーマットとして永続できる態勢が完成した作品と言えると思います

あき240
pipiさんのコメント
2021年9月23日

素晴らしいレビューですね!

レビュータイトル含め、ひとつひとつ正に仰る通りだと思います。

pipi