「ラストが秀逸」スモーク 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストが秀逸
『秘密を分かち合えない友達なんて、友達と言えるか?』
色々と含蓄のあるセリフが出てきたけど、これは名言だったなぁ
あんな郊外の、しかも儲けのかけらも見い出せない店を買うなんて、ビックリだよぉ
まさに商才がない
その店の看板には「ガレージ」と表記されていたのに、おばのセリフでは「ガスステーション」といい、日本語字幕では「給油所」と……せめて統一してよね、こんがらがるじゃん
父親のことを「奴は死んだ」と言い放った少年が、おばから聞いた噂を信じて歩いて父に会いに、いや、探しに行き見つける
父親から名前を聞いて間違いないと確信した時、彼は何と思ったのだろう
父親の過去の打ち明け話の中に、置きざりにされた自分の話が出てこなかったことをどう思ったのだろう
父親の新しい家族や、父親が自分の異母兄弟を愛する姿を目の前で見てどう思ったのだろう
それらを知っても、驚きの表情も見せず、文句も言わず、涙も出さず、ハグさえしない
その複雑な心境を彼は目だけで演じていたように思う
この映画の主役は誰かと聞かれたら、やはりこの黒人少年なのではないだろうか
さて、物語の設定には粗雑なところがある
その1つ目
ベンジャミンの名前や住所を書いた紙切れをコールがおばの家に置いておく?
2つ目
それを見ただけのおばが、怒りを持ってベンジャミンの家に乗り込む?
普通なら少年はその紙切れを持って、ベンジャミンの家を探し当てるはずだし、白人の家に何の根拠もなく飛び込むか?
細かいところや「その後」は観る人に想像させる手法のようで、それは個人的には好きではないのだけど、でもそれがこの映画のいい意味での余韻になってる気がする
ルビーの娘の未来 お婆さんの最期
クリスマスの記事の評価
少年と家族の今後、等など
この見せ方は題名『スモーク』に引っ掛けているのだろうか
曇っていてハッキリと見えない未来
煙を燻らす過去
でもそこに、タバコ嫌いの自分でさえ、どこか懐かしい幸せを感じさせるのだ
それぞれの主人公別にシーンを分けて見せる構成は、なかなか面白かった
そして何よりもエンドロールの
モノクロでの回想シーン
既に何が起きたのかは、映画をここまで観た人には分かっていたので、観る人もそれをまるで回想しているかのような錯覚に陥り、ジーンとくる
何とも言えない幸せな気分にさせる
秀逸な終わり方に拍手
こんな人生の終わり方に合掌
挿入歌はまた、今度和訳等調べてみたい