劇場公開日 2016年12月17日

「心地よい映画」スモーク Ranさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心地よい映画

2023年1月28日
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鑑賞方法:VOD

最初から最後まで不思議なくらい心地よく、登場人物が皆愛しく思えてくる映画。
真実か嘘かなんて、本当はどうでもいいんじゃないか。善意の嘘で人を幸せにできるなら、その嘘は決して罪ではない。真実を打ち明けることで、より深く繋がれることもある。嘘であろうが真実であろうが、あるいはどちか分からなくても、要は心が何を受け入れどう感じるかがすべて。
最後のレストランでのオーギーとポールの会話は心に残るとてもいいシーン。そしてその後白黒で流れるクリスマスの回想シーン。盲目の老婆が、訪ねてきたオーギーと抱き合った瞬間自分の孫では無いことに気づく一瞬の表情。しかし直ぐに笑顔に戻り、孫であると信じているフリをしてオーギーを招き入れる。老婆はオーギーが本当の孫でないことを知りながらも、楽しく幸せな最後のクリスマスを過ごす。嘘かどうかなど関係ない。そこには確かに幸せな時間だけがあったのだ。
この映画が、なぜ観ていてこんなにも心地よいのか。役者によるところも大きいけど、やはり脚本が素晴らしいんだと思う。まるで小説を読んでいるような、心の奥にぐっと刺さる作品。

Ran