劇場公開日 1981年10月31日

「何度見ても難解、しかし毎度魅せられる」ストーカー(1979) SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0何度見ても難解、しかし毎度魅せられる

2015年4月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

劇場で見たことはないけれど、ビデオで見て、DVDで見て、Blu-rayで見て、何度見たか分からないけれど、完全に理解することなど不可能で、正直意味不明、でも何度でも惹きつけられてやまない。
何といっても力強い映像美が魅力的、しかも静寂を重んじた音楽と効果音も色あせることがない普遍性を感じるわけで、まさに名画とか芸術とかそういう称号がふさわしい。
最初はビデオで見てその絵力に魅了され、次にDVDで見たとき更に音と絵に驚かされて、Blu-rayでやっぱこれは歴史的作品だなと再確認。
Blu-rayの評判が芳しくなかったので購入をためらっていたが、DVDが1部と2部の2枚構成になっていることに不満を覚えて、1枚に収まっていることだけでもメリットだと感じて思い切ってBlu-rayを購入。実際に見ると映像そのものも明らかに良くなっていると思えたし、今一度名作を堪能できたといった感覚だった。でも、もやや霧の表現や音の響きがパワーダウンしていた印象で少々残念感も─。
何度見ても難解な映画をより理解しようとだいぶ前にストルガツキー兄弟の原作を読んだけれど、似て非なるものであり、しかも映画同様の難解さ…理解どころか謎が謎を呼ぶだけであった。
難解なゾーンという存在は、いかようにも解釈できるように仕立て上げられていて、だからこそ何度も作品に魅せられるように思う。
人類がコントロールできない存在を、抽象的に・哲学的に描こうとしているこの作品が個人的には非常に気に入っているのだが、見方を変えると、劇的映像展開がほぼ起こらないこのSFは退屈きわまりないように思われても仕方がないのかもしれない。その点、ソラリスの方が展開も事象的にも分かりやすいのかも。
タルコフスキー映画でこのストーカーは最も難解な気がするけれど、個人的にはこの作品を最も気に入っている。

SH