「永遠の夏」スタンド・バイ・ミー 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の夏
久々に、勝手にキング原作映画特集その7。
今回はもはや紹介の必要も無いだろう
名作『スタンド・バイ・ミー』。
ちなみに原作タイトルは『The body(死体)』。
さすがに映画タイトルの方が素敵(笑)。
舞台は夏。
'64年、メイン州キャッスルロック。人口1281人の田舎町。
仲良し少年4人は、行方不明の少年が
町外れの線路脇で死んでいたという
噂を耳にし、死体探しの冒険に出掛ける。
たかだか3,40kmの距離でも、その旅は
子どもにとって大冒険。そしてその旅は、
彼らの友情を決定的に変えてしまう旅でもあった。
楽しい冒険の中に見え隠れする4人の想い。
兄を亡くしたばかりのゴーディは、
両親に認められない寂しさ、そして
兄を奪い去った“死”に対する疑問を抱えている。
テディは戦争で神経を病んだ父親を
それでも英雄視し、愛している。
バーンは……ま、この子だけは
あんまり陰が無くて安心(笑)。
そして父に暴力を振るわれ、周囲からも
不当な仕打ちを受けるクリス。他3人と違い、
彼の眼差しだけが悲しくなるほど大人びている。
ゴーディの才能を信じ、「俺達なんかと一緒に
いるな」と辛辣だが真に彼を案じる言葉を掛ける彼。
ゴーディから語られる彼の結末と、夕暮れに消え行くその姿。
クリスとゴーディの永遠の友情に、涙せずにいられない。
...
工場で談笑するシーンの、ゴーディの独白。
「すべてがそこにはあった。私たちは自分達を
知り、どこへ向かっているかを知っていた」
ああ、これほど少年時代を端的に表した言葉があるだろうか?
僕らが小さい頃、世界は僕らと同じ位に小さくて単純だった。
小さな頃は「大人は何も分かってない」と憤っていた。
何も分かっちゃいないし、何も解決できないと。
そして信じていた。理解されない悲しさを知る
僕らが大人になれば、何もかもが解決すると。
だけど、歳を取れば取るほどに、
物を知れば知るほどに、何も分からなくなっていく。
この世界はむかし思っていたよりも遥かに巨大で、
遥かに入り組んでいて、自分がどこにいるのかも、
どこへ向かっていたのかももう分からない。
辿るべき線路が消え失せてしまったのだ。
劇中で「生きる事は死に行く事」という台詞があった。
それが本当なら、
大人になるというのは少しずつ死んでいくという事なのかな。
けれど、大切な友人との善き思い出は
僕らに前進する力を与えてくれる。
この世で進むべき道を指し示してくれる気がする。
深く深く心に沁みる、エンドロールの歌声。
「僕は泣かない。僕は怖くない。君が傍にいてくれるなら」
二度と戻らない夏。
だからこそ、永遠に記憶される夏。
<了> ※2012.09初投稿
お返事ありがとうございますm(__)m。ホアキンが、…そうなんですね。お兄ちゃんのことを本当に大好きだったんですね…( ・_・̥̥̥ )リバーも ホアキンが素敵な俳優として活躍してるのを喜んでいるでしょうね。
本当に素晴らしいレビュー!泣けて来そうでした。後にリバー・フェニックスが、亡くなった時、真っ先にこの映画を思いました。主題歌の「スタンド・バイ・ミー」は私が学生時代にリバイバルヒットした曲で大好きな歌でしたが、この映画と歌はまさしく運命的に結ばれたと思いました!