「スーパーマンは本当にいる」スタンド・バイ・ミー よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
スーパーマンは本当にいる
十代に入った少年たちには、大人たちが知らない、そして子供には知りようがない、彼らだけの世界があるのだ。そこには、異性への興味は包み隠さないものの、女の子の入り込む余地のないホモ・ソーシャルな世界が広がる。
この世界でこそ、少年たちは他の誰にも見せることのできない涙を流すことができ、その痛みを分かち合うことができる。
一昔前ならほとんどの男の子が通過するものだったが、現在ではこの年代の少年たちが活躍する空間は、部活、塾という名の、親と社会にコントロールされた空間である。
この作品が名作として残る理由は、限られた年代にしか経験できない出来事を、その当事者の目線で描き切っていることではなかろうか。だからこそそこで生まれる感情が、男女を問わず、また時代や年齢にかかわらず、多くの人の共感を呼ぶのだ。
つまり、アニメのヒーローよりも映画のスーパーマンのほうが凄い理由が、「スーパーマンは本当にいる」からだという大真面目な議論が成立する地平に観客を立たせることに成功したということなのだ。
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