スケアクロウのレビュー・感想・評価
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古い時代のリバイバル上映。ロードムービー好きなら是非。
今年58本目(合計1,150本目/今月(2024年2月度)11本目)。
(ひとつ前の作品「 フィスト・オブ・ザ・コンドル」、次の作品「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」)
リバイバル上映で行われていたので見てきました。
最近はロードムービーの映画といっても色々な「味付け」がありますが、本作品はそのロードムービー「だけ」の映画で、他の筋にずれたりといったことがあまりないので、ロードムービーが好きという方には結構推せます(換言すれば、展開があっちこっち飛ぶようなミステリー的な要素を持つ映画が好きという方には推せない)。
古い作品という事情もあって、やや字幕上配慮を欠くかなという部分はありますが、そこは過去のリバイバル上映なので減点なしの扱い、また、ストーリーについてあれこれ書くと、ネットフリックスほかで「無料で」見られる環境の方にとってはネタバレ以外の何ものでもないので省略です。
ときにはこういうリバイバル上映(午前10時の映画祭)もいいなといったところです。
スコア上は特に採点上気になる点はないのでフルスコアです。
エメラルド・シティは遠い
「オズの魔法使い」の見立てである。2人の男が強風吹きすさぶカリフォルニアの路上に現れる冒頭部。ドロシーが嵐に運ばれオズの国に降り立ったように。
フランシスは、自分をライオンと呼んでくれという。臆病ライオンが勇気を欲しがったように彼は長年見捨てていた妻子と再会すべく勇気を振り絞ってデトロイトに帰ろうとしている。一方、マックス。容易に人に気を許さない冷たい心の持ち主。鋼鉄のハートと鋼鉄の身体を覆う厚着の大男。ブリキの木こりの見立てである。
そしてこの二人が二人してスケアクロウ=かかしなのである。畑にやって来るスズメやカラスにも笑われてしまう世渡り下手な愚か者ということなのだろう。
旅が進むにつれてフランシスは本来、勇気のある人間であること、マックスは友達思いのハートが暖かい人間であること、がだんだん分かってくる。オズの魔法使いのストーリーと同じ。つまりエメラルド・シティに着く以前に必要なものはすでに得られているのである。スケアクロウについても、道化になって人を笑わせることで世の中丸く収まることがある、と二人は学ぶ。ここはちょっと悲しいけど。
この映画についてはラストが中途半端じゃないかとの意見が昔からある。アル・パシーノとジーン・ハックマンの仲が悪く途中で撮影が打ち切られたとか都市伝説も。今回、改めて観てみたがラストできちんと伏線も回収されており違和感は感じなかった。多分、映画は完結している。
ピッツバーグに着いてからどうのこうのというのは特に大切ではない。ロードムービーなのでそこまでの途上が肝心でありそれについては十分語られている。二人にとってのエメラルド・シティが何処なのか、そこへたどり着いて幸せになれるかどうかはこの映画では語らないのがいわゆる余白をもたせるということなのだと思う。
米国版『道』
フェリーニの『道』に似てますな。たぶん影響されて作っていると思います。
無骨で粗野なマックスはザンパノ。ライオンはジェルソミーナ。
喧嘩っ早くてすぐに手が出てムショに入れられてしまうマックスというどうしようもない社会不適業者が、彼と全く対照的であるライオンという青年に出会って、彼の考え方に感化されて、この社会を楽しく生きていく術を身につけるという話です。
ストレス多き現代人も本質マックスみたいなもので、つまらない事にいちいち腹を立てて、世の中を自分でつまらなくしている人が多いはずです。ライオンの言うように、〝カカシ〟になれば、救われる人はあまりに多い。ふだん何事にもぷりぷり怒ってしまう人。そんな人にこの映画は特効薬になるでしょう。
物語のラストですが、道と似たラストを描きます。正直、私も途中で観てて最後が予想できるなあ、と思って観てました。でもまあ、おもしろいちゃあ、おもしろいですね。
誰がなんと言おうと・・・
誰がなんと言おうとカッコイイんです、この二人、私にとって。
味があって芸達者な二人の個性と個性のぶつかり合い。
どこまでが計算で、どこまでがアドリブで、どこまでが成り行きなのかと想像させるスリリングな展開。
不仲で打ち切られただとか、最後が物足りないだとか、共感できないとか色々言わはるひといるけど、ええんです。誰がなんと言おうと、この映画、サイコーです。
イイ時代ですね
ゆっくりしたテンポで進むので
安心して観てられました
てか、最近の映画はどのジャンルでも
内容詰め込み過ぎなのに基本90分だから
とにかく早過ぎるんだよね。
この作品くらいがちょうどいいと思う。
二人の掛け合いが楽しかったです。
彼が最後にあーなってしまうとは予想外でした。
終わり方も悪く無いですね。
古い価値観がギラギラと映像に染み出ていて、当時も今も、全く共感出来ない。
高校生の時に見た記憶があるが、最初と最後の場面しか覚えていなかった。古い価値観がギラギラと映像に染み出ていて、当時も今も、全く共感出来ない。あっけない幕切れでつまらない。
最近見た映画で『ウェンディ&ルーシー』に似ているかなぁと思ったが。『ノマドランド』とかね。同じ赤貧のロード・ムービーで、その元祖なのだろうが、こんなチープな話だとは思わなかった。全く生活感がなぃのが、欠点だと思うし、Gに対する偏見が払拭されていないし、寧ろ助長している。
【”俺たちは案山子なのだ・・。愛するモノを守るために”自分はそこに居なくても”畑に立つ案山子なのだ・・。”何ら関係性の無かった男二人の心が繋がれていく様を描いたロードムービーの秀作である。】
ー 1970年代のアメリカを舞台に、旅の途中で出会う事件や人との関わりにより、牢に繋がれていたマックス(ジーン・ハックマン)と5年振りに妻の元に向かう妊娠中の妻を残してきたデトロイトに帰る途中の元船員・ライオン(アル・パチーノ)が偶然、出会いデトロイトに向かう2人の心情が微妙に変化していく様を名優二人が好演している作品。-
■刑期を終えたマックスは、故郷のピッツバーグで開業を考えていた。マックスはカルフォルニアのハイウエーで、妊娠中の妻を残してきたデトロイトに帰る途中の元船員・ライオンと出会う。道中を共にするふたりはトラブルに遭いながらも、心を通わせていく。
◆感想・・になっていません。
・ソコソコ、映画を観てきたが、ロードムービーが好きである。
何故かと問われると、巧く表現出来ないが、ロードムービーとは、登場人物の人生を反映してるからではないかと、思う。
・今作では、何の繋がりもなかった二人の歳も離れた男、マックスとライオンが、道中を共にする中で傷ついた心を癒して行く様を、名優二人が見事に演じている。
<若きアルパチーノ演じるライオン(先日、「ハウス・オブ・グッチ」を鑑賞したばかりなので、時の移ろいを感じてしまう。)の未だ見ぬ子供への想い。
それに対し、妻の苦渋の嘘。
その姿を見たマックスの温かき行為。
佳き、作品である。>
ロマンチックそのもの
恋愛ものとホラー以外ほぼ全ての映画を見たという恋人に、ベスト5として薦められた映画。(他は「君のためなら千回でも」と「パルプフィクション」「ライフイズビューティフル」あたりとのこと)
映画に疎く、かつ長時間集中できないので家事の合間に録画したものを少しずつ見て、1年かけて鑑賞。
切れ切れに見ても、不思議と前の展開を忘れていないことに驚きます。
見始めたら、すっとスケアクロウの土煙る世界に没入できます。
私が生まれる前に制作された映画なのに、全く古く感じられません。
お金が足りなくてその場で片道切符だけ買えばいいのに、往復きっぷにこだわるマックス。
ここで終わるのか!?というラストです。
でも個人的には、色々想像力を働かせる余地があり、素敵な終わり方だと思います。
人生は短く儚く、いつも思うようにいかないけれど、喧嘩をして仲直りしてを繰り返して、私たちは少しずつ相手への理解を深めていきます。
いつも隣にいて、人生を一緒に旅してくれる存在がいる限り、私たちは太陽を見失うことなく、どこまでも行けるし、どこにでも行けるのだと思います。
ハックマンとパチーノの演技が素晴らしいアメリカ・ニューシネマの秀作
大国アメリカが世界一の顔を持ちながら、その自慢の社会・文化の成長を堂々と描く自信と誇りが無いのだろうか。アーサー・ペンの「俺たちに明日はない」から現れたアメリカ・ニューシネマは、その殆どが単に純粋で気楽な娯楽趣味は薄れ、切実で憐れで傷だらけの人間の姿、紛れもなくアメリカの高度成長から落ちこぼれた人たちのドラマが、アメリカ映画の特徴になって来た。映画の形として、それはラストシーンに表れている。ハッピーエンドが見当たらない。
確かに笑って終わる映画は安堵感と満足感に満たされるが、悲しい結末のラストシーンは現実的な共鳴力がある。楽しむことより自分が置かれている境遇に共感できる映画は、その孤独の慰めになるからだ。夢に憧れる非日常の映画の世界観ではなく、同じような失敗や悩みを抱えてもがく現実を見つめ直す映画経験。映画の形はより幅広いものになっている。
この映画は、そのニューシネマの良さを持った秀作であると思う。大男マックスと小柄なライアンスの友情をたった一つの救いとして、その絆の優しさを乱すことはない。ラストシーンの物足りなさを唯一の欠点としても、あてのない二人旅の物語に吸い込まれて見惚れてしまった。その微妙な関係の温もりを何時迄も観ていたいと思わせる映画の良さがある。この自然で作為の無い流れは、構成力の高い正攻法の演出では不可能であった。シークエンスを断片的につなぎ合わせたようなシャッツバーグ監督の演出タッチが、結果的に上手くいったと判断する。
主演二人の演技には、ほとほと感心した。日本映画では観られない、テクニックを感じさせない自然な演技の競演とバランスの良さ。乱暴で粗野なマックスの憎めない愛嬌と繊細な性格を表現するジーン・ハックマンの演技の味わい。5年の船乗り生活から戻り、子供会いたさに元妻に電話を掛けるライアンスの、道化で誤魔化す男の生真面目さを演じるアル・パチーノの表現力の豊かさ。どちらも素晴らしい。脚本の完成度は高くないが、この二人の名演と自然な演出タッチが噛み合ったロードムービーのニューシネマ。柔らかく温かい、そして悲しいアメリカの姿を映し出した映画。
1976年 10月16日 高田馬場パール座
アメリカ映画では多いパターン?友情は育まれる
今や日本でヒッチハイカーを見ることはほぼないが、当時のアメリカでは多いんだろうな。
刑務所あがりと分かっても、人として深く付き合っていく。自分もそうでありたい。ヒヤヒヤしながら観て、エンドの唐突感は鑑賞者の想像に委ねているのか。。。と思ったが、役者同士の喧嘩とは、譲らない個性のぶつかり合いなのか、それはそれで文化をとらえよう(笑)
本来の脚本がどうだったのか知りたいなぁ。
没作にすべきのような
色々と話が煮詰まってきたとこで、マックス(ジーン・ハックマン)が駅で切符買うとこで、唐突に終了。「は?」となったので、ネット検索すると「アル・パチーノとジーン・ハックマンの仲が折り合わず、最後まで撮り終えることなく終了した作品」との情報(―このサイトのレヴューでも同様の情報)が。
…との経緯からして、「無理矢理、完パケした作品」なので、結末の唐突感も納得。しかし、こういう「未完の映画」が、市場流通されるのはキツイな。例えば、エイゼンシュタインの『イワン雷帝』みたいな、「"政治・社会情勢"による"未完"」やと、理解できるけど。
結局、公開したのは、製作費回収のための、ビジネスが理由やろうけど、さすがに、そんな理由での「未完映画」は「没」にせなアカンのちゃうんかな。個人的には、レンタル屋で数百円だったから許すけど、映画館で数千円払わされて、これやとキツ過ぎるし。
生きることは辛さと向き合う事
怒り屋のマックスと優しいライオンの凸凹コンビの友情を描いたロードムービーで最後はきっと成功するハッピーエンドなのかなと思ったけれど、それを裏切るような残酷な展開
笑って生きるのがいいんだ!と言って明るく生き続けたライオンが、別れた妻から辛い言葉に現実を伝えられて壊れる場面・・・マックスが怒りに狂って喧嘩を起こす直前の張りつめた空気より怖いなと感じた
尻切れトンボのようだって感想もあるけれど(アルパチーノとジーンハックマンの仲が良くなかったからああいう終わりに方になった?)一緒に仕事をしようと思ってたライオンを置いて一人で旅立つマックス・・・
ああいう選択、そして心境を考えると悲しい。
ロードムービー、ラブ
「レインマン」、「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」しかり、この映画しかり。ロードムービーは時間を共有することによって相手を理解していく過程を観客も共有することで主人公たちの心情を理解していく過程が好きだ。
なんでこんなところで二人がヒッチハイクしているのか、というところから始まるこの映画。誰も信じることができないマックスがライオンと二人で旅を続けていくことでだんだん変わっていく。ライオンの唯一の希望である赤ん坊のことでうそをつかれて壊れてしまうライオンを見捨てない。「俺はおれがいないとだめなんだ」。精神的に居所のないマックスが見つけた居所。泣ける。。。
全然本編とは関係ないけど、別のところのレビューでハックマンがストリップもどきのことをするシーンでほかの客が大うけするシーンが分からないとのコメント。当方、遅まきながら最近「Britain's got talent」や「America's got talent」などをyou tubeで見るようになった。出演者が演じていると観客がすごく盛り上げる。楽しもう、という雰囲気というのか。それがすごくうらやましい。
生きづらさを抱えた二人の旅
ジーン・ハックマン演ずるマックスは、今でいう発達障害ではなかろうか。執拗なこだわりがあり、他人との距離をうまく測れない性格。
一方で、アル・パチーノ演ずるライオンは、陽気でまともな人物に思えたが。パートナーが妊娠したことを知りながら、5年前突然家を出た過去がある。その深い理由について映画では何も説明されない。しかし私にはその心情が少しわかるような気がしている。子供が出来、家庭を持つことによって失われる「自由」に目が向いた時、「オレは本当にこれでいいのか」と、逡巡してしまう気持。そして、失意のもと再びパートナーの元へ帰ろうとしているわけだが。
'70年代の雰囲気満載の作品である。『カッコーの巣の上で』とよく似た感じだと思う。
途中でおしまい
アル•パチーノのインタビュー本を読んだところ、この撮影ではジーン•ハックマンとソリが合わずじまいだったとのこと。私の記憶が正しければ、不仲のせいで途中で撮影ができなくなったはずで、ラストは無理矢理感が否めません。
本来なら結末がちゃんとあったはずで、ラストのいいとこで幕切れ、残念です
若きアル・パチーノの演技に魅了
表情豊かに演じる若きアル・パチーノに、
ラスト迄見入ってしまいました。
性格の異なる2人の男達が行動を共にして
いくうち、本気でお互いを思いやるように。
字幕での放送。(感謝!)
アル・パチーノの細やかな演技が光る。
NHKBSを録画にて鑑賞
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