劇場公開日 1994年2月26日

「天使は存在した。と同時に、悪魔も存在した。」シンドラーのリスト 映画Kanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0天使は存在した。と同時に、悪魔も存在した。

2015年2月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

白黒映像であるのは 古さを演習するためというより、残酷な現実を後世へと、忠実且つ生々しく伝えるためであった。

やはり"人間"というのは、地球上最も恐ろしく不可解な生物。
自然界のルールとして、生き物は目的があってこそ他の生き物を殺める。そこに罪悪感がなかったとしても、その行為は循環サークルの範囲内であり、何と言っても「生きるため」である。
しかし 人類はまったく自然界のルールに反した奇行を犯した。
その奇行こそが『戦争』。
国と国の視点ではなく、一体の生き物同士の視点とすれば それは紛れもなく奇行極まりない。

「殺すつもりはない。」という個は完全に消滅し、「殺さなければならない。」という集団意識が生まれる。
一度 殺人を犯すと もう歯止めは効かない、責任放棄の殺戮マシーンへと仕立て上げられていく。
それこそが殺し殺し殺され歴史に埋もれた名もなきドイツ兵なんですね。

改めて言うが、この世で最も恐ろしいものは"人間"だ。
なぜなら天使から悪魔まで、様々な種類が存在するからだ。
つまり、この映画で注目すべきはオスカーという天使でもあり アーモンという悪魔でもある。
ふたりは同じ人間であるという事実
同じナチ党であるという事実

追記:僕は「戦場のピアニスト」のほうが好きかな。

映画Kan