「出来なかった事を悔やむ」シンドラーのリスト 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
出来なかった事を悔やむ
なんとなく白黒で長いから観るのを躊躇っていたけど、
観て良かった。
3時間ちょっとあるけど、
没頭して観れたのはスピルバーグの手腕と、
およそ人間がやったとは思えない恐ろしくおぞましいナチスドイツの蛮行によるものだと思う。
ユダヤ虐殺の映画はいくつも作られてて観ては来ているけど、それに慣れる事はない。
見れば見るほどに本当にあったことが信じられなくなる。
シンドラーがユダヤ人虐殺を目の前にして、
金を稼ぐ私腹を肥やすことを表向きに何が出来る事があるんじゃないか?と変わっていく姿は、
ヒーローではあるけど、一人の人間の成長として自分もこうありたいと思わせるものだった。
対象にゲートと言うキャラも
嫌なやつでしかないけど、
あの当時のドイツの一般的な兵士の考え方としては
至極真っ当な人間味のあるキャラクターとして描かれてて印象的だった。
シンドラーの思惑通り、人を許す事が出来るのか?
と言うところでやはり出来なかったシーンが人間的で
心に残りました。
よく過去を振り返るな、出来た事を賞賛して前に進めと
言うけれど、1100人もの人々を救っても、まだ救えたんじゃないか?出来る事があったんじゃないか?
と悔やむシンドラーがやっぱりカッコ良いと思うし、
そこにドラマが生まれる気がします。
ナチスドイツのユダヤ人虐殺には遠く及ばないけれど、
今もSNSやネットニュースに本当か嘘か分からない噂に踊らされる人がいる。
自分が正しいと思ってる事を押し付けて叩く人がいる。
それを思うと、当時のドイツの中のユダヤ人排斥と言う空気の中で、一人でも多くユダヤ人を助けようと思って行動したシンドラーは本当にすごい事をやってのけたんだなと
思いました。
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