シンバッド 七回目の航海

劇場公開日:

解説

「王者の剣」のネイサン・ジュラン監督が、キース・コルブのシナリオによって作ったアラビアン・ナイトに発想を得る異国的冒険譚。製作者チャールズ・シニアの5カ年間の実験にもとづく、ダイナーメーション手法という新プロセスを使ったトリック撮影が、全編に効果的に使われる。50呎もある巨人、500呎の巨竜等の巨大なものから、一寸法師にされる姫君や、小さなランプの精等の小さな対象までが、登場人物と同一画面に活躍し、剣で闘う骸骨や魔法等の表現にも新機軸がみられる。撮影監督は「二十七人の漂流者」のウィルキー・クーパー。音楽バーナード・ハーマン、美術ギル・パレンドー。特殊効果をレイ・ハリーハウゼンが担当している。出演者は新人カーウィン・マシューズに、「裏窓」のキャスリン・グラント、「旅券8241の女」のアレック・マンゴー、トーリン・サッチャー、ハロルド・カスケット等。スペインのグラナダ、セヴィラ、バルセロナ等にロケが行なわれている。製作チャールズ・H・シニア。テクニカラー・メガスコープ。1958年作品。後に邦題が「シンドバッド 7回目の冒険」に改題された。

1958年製作/88分/アメリカ
原題または英題:The 7th Voyage of Sinbad
配給:コロムビア
劇場公開日:1958年12月24日

ストーリー

バグダッドのシンバッド王子(カーウィン・マシューズ)は、婚約者パリサ姫(キャスリン・グラント)とペルシャに航海中、コロッサ島で1つ目の巨人に追われる魔法使いソクラを助けてやり、彼の魔法のランプは巨人に奪われてしまったが、ともに逃出すことに成功した。国にカエルト、ソクラはランプをとりもどすため再び島に行くことを願った。しかし王子がそれを許さなかったため、彼は姫の身体を一寸法師にして、それを元通りにするには、コロッサ島に住む双頭の鷲の卵の殻が必要だといって船を出すことを求めた。姫を小さい金の箱に入れ、部下のハルハとアリ、牢から出した暴れ者たちをつれて、王子はソクラといっしょに出発した。島についた一行は巨人に襲われたが、王子は燃える火の棒をその身体につきさし、退治してランプをとりもどした。双頭の鷲の巣で卵の殻を手に入れた。しかしソクラは姫を元にもどそうとしない。双頭の鷲の母鳥に襲われて戦っている間に、姫がソクラに監禁されたことをランプの精から聞いた王子は、ソクラの洞窟に向かった。入口につながれている火を吐く巨竜を避けて、洞窟に入った王子は姫の身体を元どうりにさせることができた。しかしソクラは、骸骨を動かして王子にたちむかわせ、洞窟の入口に通じる火の橋を破壊した。この危機を救ってくれたのは、魔法のランプの精だった。洞窟を出ると、また別の1つ目の巨人が、襲撃してきた。部下達は火を吐く巨竜の鎖を切って巨人を殺させた。ソクラは今度は巨竜に命じて王子一行を追わせたが、大きな石引矢を使ってシンバッドは巨竜とソクラを倒した。やっと目的を達して乗船した王子が、ランプの精を気づかって名を口にすると、精の少年は魔法を解かれて自由の身となり、巨人から取りもどした宝を王子と姫に献上した。こうして、帆に風を満々とうけて、船は一路バグダッドに向かって出発した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0円谷英二が受けた衝撃がひしひしと感じられます ハリーハウゼンが世界一の特撮マンになったのです

2021年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1958年12月公開
日本は米国公開の6日後
当時のことですから、ほぼ同時公開です
絶対当たるという確信があるからこそできることです
公開前から大きな注目を集めていたとことも伺えます

予告編で、ダイナメーションという革新的な特撮技術の作品であると盛んに訴えています
特撮はレイ・ハリーハウゼンです

迎え撃つ日本の特撮はどうであったか?
まだ1950年代なので円谷特撮しか日本には存在しません

1954年 ゴジラ、ゴジラの逆襲
1955年 獣人雪男
1956年 空の大怪獣ラドン
1957年 地球防衛軍

そして本作公開の1958年は2作品
6月公開のカラー作品「美女と液体人間」、10月公開の白黒作品「大怪獣バラン」でした

超ひさびさに本作を観て改めて気付かされました
それは本作のレイ・ハリーハウゼンの特撮は、円谷特撮を追い越しており、世界最先端に躍り出ていたのです!

芸術的素養と古典の教養に裏付けられたクリーチャーの素晴らしいデザイン
それが美しい立体モデルで、素材感や色彩まで生きているかのような造形で具象化できています

しかも、その立体モデルがストップモーションアニメで心理的演技までこなす巧みで滑らかな動きを見せるのです

しかもそれが、前景、中景、背景でのそれぞれの実写と、時に接触し、時にすり抜けをしながら合成されているのです

複雑で早い動きでも微塵も破綻しない多重合成の見事さ、しかもとてつもなく明るい画面

これらを総合してダイナメーションと呼んでいたのです

何もかも見事で、円谷英二がいかに悔しく感じたかがひしひしと伝わってきます

当時の世界最高峰の特撮と思っていた円谷特撮はそうではなかったのです
本作を作ったハリーハウゼンが、世界一の特撮マンになったのです

ダイナメーションを盛んに謳っているのは、世界一の特撮はハリーハウゼンだ!と言っているように聞こえるのです

円谷特撮の着ぐるみの怪獣という表現方法が、ストップモーションアニメのような手間暇、辛抱に耐えられないからという身も蓋もない真実が、本作を観れば理解できてしまうのです

手間暇、辛抱という職人技が得意な筈の日本人でも、特撮の神様の円谷英二でも、これはとても無理、同じ土俵では対抗なぞ出来やしないと匙を投げるしかないそれ程のものです

円谷特撮が着ぐるみを使い続けた本当の理由は、本作が与えた衝撃なのだと思います

合成技術という核心技術でも、負けているのは明らかです
そもそもこんなに高性能なオプティカルプリンターが、本作公開当時日本には存在していなかったのです
円谷英二が、この高性能な機械の入手を熱望するきっかけになったと思います

さらにもう一つ
このダイナメーションと言う特撮は、3Dのモデルを実写映像と合成するという手法です
現代のデジタルモデルの3Dモデルであるか、リアルのモデルであるのか違いだけで、やっていることは同じであるということです
つまりアナログの極致のようで、やっていることは実はデジタル的なのです

CGの特撮技法の基礎基本は、ハリーハウゼンのダイナメーションが発祥であったと言っても過言ではないと思います

米国の特撮は、本作以降デジタル的な特撮の基礎基本の上に発展を遂げます

一方、日本の特撮は、着ぐるみや吊り操演といったアナログをなまじ極めたばかりに、デジタル的要素が発展せず、次第にガラパゴス化してしまったのです

日本の特撮が、米国の特撮から立ち遅れてしまった原因は、ここに根があると思います

本作の重要さ、影響力の大きさは、それ程計り知れません

本作の良さは、特撮だけではありません
バーナード・ハーマンの音楽がまた素晴らしい!
ヒッチコック作品の音楽で有名ですが、ハリーハウゼンの特撮との相性も抜群です

美術や衣装のレベルも高い
宮殿内部やバグダッド市中のシーンは見事です

パリサ姫役の女優も無名ながら可愛らしくて、一寸法師化される役柄にぴったり
後の魔法使いジニー、ハクション大魔王のアクビ娘のキャラやビジュアルにも影響を与えていると思われます

黒魔術師ソクラ役のトリン・サッチャーの怪演も本作の魅力を高めています
ソクラの丸坊主のちょっとアジアぽい風貌は、サンダーバードの悪役フッドの元ネタかも知れません

因みにシンバットSinbad とシンドバッドSindbad に表記が揺れるのは英語も同じ
日本ではシンドバッドが一般的で
本作がシンドバットに改題されたのはソフト化された時だそうです

しかしながら現代の英語では殆どシンバットと記すようです
真ん中にあったdは元々ほぼ発音しないようなので欠落したようです

どうでもいいようなことです
でも映画.com では日本公開当初の「シンバッド七回目の航海」で登録されているので、シンドバッドで検索しては見つかりません
索引でなく検索メインで探す現代らしい不都合がありますのでご注意を

1958年公開の本作の衝撃
10年後の1968年公開の「2001年宇宙の旅」
20年後の1978年公開の「スターウォーズ」
日本の特撮に強烈なインパクトを与えた映画は不思議なことに10年毎に日本に来襲していたのです

ならば、30年後、40年後、50年後、60年後は?
残念なことにないのです・・・

実は30年後の1988年の衝撃はアキラです!
その時点で日米のオタクが逆転したのかも知れません

いや、それはハリーハウゼンが高齢で引退してしまったからなのかもしれません

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共感した! 2件)
あき240

3.5サイクロプス!双頭鷲!骸骨兵!ドラゴン!

2019年10月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

レイ・ハリーハウゼン特撮の1958年の作品。
『アラビアンナイト』を題材にした“シンドバッド三部作”の第1弾だが、後の作品とは直接繋がりのあるシリーズ物ではない。
また本作、邦題が『シンバッド七回目の航海』→『シンドバッド7回目の冒険』→『シンドバッド7回目の航海』と幾度か改題されている。

話は、これぞTHE特撮冒険ファンタジー!
バグダッドの王子で勇敢な主人公、シンドバッド。
お姫様とのロマンス。が、身体を小さくされてしまった…!
姫を小人にした魔術師の陰謀。
姫を元の身体に戻す冒険へ。航海中の嵐、乗組員として雇われた囚人たちの反乱…危機の連続。
乗り越え、辿り着いた目的の島。山のようなお宝に、魔法のランプ。こすると、ハイテンションでマシンガン・トークの青いウィル・スミスではなく、ちょっと頼りなさげな少年姿のランプの精だけど…。
そしてこの島は、魔の島だった…!

一つ眼の巨人、サイクロプス!
双頭の巨大鷲!
鎖に繋がれた凶暴なドラゴン!
襲い掛かる骸骨兵!
見せ場いっぱいのハリーハウゼン特撮!
どれも甲乙付け難いが、
サイクロプスはハリーハウゼンが創造したモンスターの中でも特に有名。人間を捕まえ火に炙ったり、主人公たちとバトルを繰り広げたりと、芸達者!
巨大双頭鷲は造形も動きも素晴らしい。
クライマックスのサイクロプス対ドラゴンは、こういうのが見たかったと思わせてくれるくらいのファンサービス!
だけどやはり何と言っても、ハリーハウゼン特撮の代名詞とでも言うべき骸骨兵。主人公との一対一の闘いは、その特撮技術のレベルの高さに今見ても驚かされる。

演出や演技などはちと緩い点も。
が、それを充分過ぎるほど補うストップモーション・アニメーション+実写+合成の“ダイナメーション”。
楽しさと冒険と夢とロマンのファンタスティックなハリーハウゼン・ワールドへ!

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共感した! 4件)
近大

3.0今観ても感心する特撮映画。充分楽しめる。

2016年9月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

今観ても感心する特撮映画。充分楽しめる。

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tsumumiki

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