「これぞ匠の技!」知りすぎていた男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ匠の技!
パリの学会に出席した後、妻子と共に観光でモロッコを訪れた医師のベン。フランス人のルイと知り合うが、実はルイはスパイで、某国首相が暗殺されるという伝言をベンに残して殺される。間もなく犯人はベンの息子を誘拐、ベンと妻は息子の行方を追う…。
アルフレッド・ヒッチコックの1956年の作品。
お得意の巻き込まれ型サスペンス。
主人公が直面する危機をハラハラドキドキたっぷりに描写。
演奏会場での暗殺シーンは最高のスリルと興奮。
所々ユーモアも交え(“アンブローズ・チャペル”違いはよくよく考えたら笑える)、その演出にはもはや余裕すら感じる。
「知りすぎていた男」と言えば、“ケ・セラ・セラ”。
序盤、子供に歌い聞かせていたこの歌が、終盤、実に巧い使われ方をする。
ヒッチコックがまだイギリスで活躍していた頃の1934年の「暗殺者の家」の再映画化。いわゆるセルフリメイクである。
しかしながら全く別のアイデアで撮られ、「『暗殺者の家』はアマチュアの作品だが、『知りすぎていた男』はプロの作品」とまで語った、なるほど、プロフェッショナルの手腕が光った、これぞヒッチコック・エンターテイメントのお手本!
話に集中して見ていたら、ヒッチコック出演シーンを見逃してしまった…。
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