ジョニーは戦場へ行ったのレビュー・感想・評価
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トラウマ映画館聴いての鑑賞。
毎回だけど町山さんの説明の方が怖いのはなぜなんでしょうか。 ジョニーの頭の中の世界はわりとコミカルに表現されていて怖さを強調するというより戦争に対して皮肉な印象が残った。
●反戦と反骨と
とんでもない映画だ。ぶっ飛んでる。 ずっと観たいと思ってたけど、こんな内容だったとは。 だが間違いなく傑作。覚悟してみるべし。 手も足もない。目も耳も口もない。 ただの肉の塊となった主人公。 最初は何かの実験だと思った。 それが。 蛇足だが、回想シーンの親父のセリフも印象的だ。 「俺のまわりは小さくて安物ばかり。この竿がなきゃ人生は惨めだ」 「金とは縁がなかった。人生、労働ばかりだと楽しめない。だがこれでいい」 何もないけど、それなりの人生。 戦争はそれを一変してしまう。 本作は、実在の将校をヒントに作られている。 原作「ジョニーは銃をとった」の発表が1939年。 反政府文学として、第二次世界大戦、朝鮮戦争のたびに絶版、復刻を繰り返した。 映画の発表が1971年。時はベトナム戦争勃発期。 実に65歳で初監督。死の5年前。 ダルトン・トランボその人は、赤狩りによるハリウッド10のひとり。 長らくハリウッドを追放されるも、偽名で「ローマの休日」の脚本を書いている。 時系列で考えると、もちろん反戦映画なのだが、 彼の人生の不遇期と主人公の叫びがリンクしてしまうのは考えすぎだろうか。
観客の視点
彼の恐怖は観客には同調しにくい。手足も目も口もない絶望や痛みは想像も出来ない。 彼の視点イコールカメラの視点ではないことから、作り手もそれを狙っているように思える。 戦争の残酷さが表れるのは、民間人を置いといて、現場の兵士たちである。戦争を経験をしていないエリートたちの決断を批判しつつも、戦争を経験していない観客が本当の残酷さも知らず戦争を語ることの何か欠けている感じを表しているように感じた。
強烈なメッセージ性
反戦メッセージだけでなく、宗教や政治思想の理想と矛盾、人間の尊厳と定義など、人生のあらゆる事が込められていると思いました。
お偉方が若者を戦争に駆り立て、宗教指導者達(恐らく三大宗教と見られる指導者達が現れるワンシーンがあります)は、平和の為に尊い犠牲を払ったあなたが犯した罪は許されますよって、何だか痛烈な皮肉です。
でも"あらゆる所に神や愛が宿る"と言う格言の意味が、眩しいばかりのカラーシーンから感じられました。例え小さなものしか持ち合わせていなくても、感謝して愛して人生謳歌しないと勿体ないのです。
"You see these? Two arms. You see these? Two legs; And you see this? One girl; what else does anyone want?"
この映画を見るときは予備知識を入れないで観て
何も調べないで観てほしい。 私はそうした。 ここを見ているということは予備知識が少なからず入っていると思うが、それは悲しいですね。 出来れば学生の頃、強制的に学校の体育館で見せられる位がベストではないか? 引き込まれ、なぜ、どういうこと?どうして?そして無理やりでも納得するしかない最後のシーン。 平和ボケしたすべての日本人に観てもらいたい。
反戦映画を超えた反戦映画
戦場で両手、両足、耳、目、口を失い、意思表示のできなくなったジョー・ボナムの視点で描かれる反戦映画。 映画は、肉の塊と化したジョーの意識内の独白と、爆撃を受ける前の思い出で構成されている。反戦映画は世にたくさん存在するが、これほどまでに救いのない、絶望に打ちひしがれる映画はあるだろうか。劇中でジョーに問いかけられる「君は何を望む?」という言葉には、何も答えられない。 本作の原作である「Johnny Got His Gun」は、米軍歌「オーヴァー・ゼア」の導入部の「ジョニーよ銃を執れ(Johnny, get your gun)」を皮肉ったタイトル。
救いようがない
「救いようがない」 この作品の感想を述べるとすると、その一言に限る 主人公の感じる哀しさ、悔しさ、虚しさ… それが非常に巧く描写されているので、観ていて気が滅入ってくるのである この映画は、世界そのものを皮肉っている 「戦争、平和とは何なのか」、「主人公の信仰していたキリスト教が提唱する、『平等主義』とは、所詮聞こえの良い言葉の羅列にすぎないのか」… 世界がいかに腐っているか、それを知るに最適の作品と言える
これほどの恐怖はない
総合:65点
ストーリー: 85
キャスト: 70
演出: 75
ビジュアル: 55
音楽: 65
怖い。とにかく怖い。絶望だけが支配する暗闇には、光も音も匂いも存在しない。もし自分が彼の立場だったらと思うと、筆舌に尽くしがたい表しようのない恐怖を感じる。どんな恐怖映画よりも悲惨。これ以上の恐怖を私はどうしても思いつかない。
彼の苦悩は今後どこまで続くのだろうか。無限地獄である。見世物という考え付く唯一の自らの生存の意義をようやく考えても、それすらいとも簡単に拒否される。彼はその地獄を自ら終わらせることを望んでも、それを実行する力すらもっていない。変な話だが、彼が少しでも早くその苦しみから解放されることを望んでしまう。私が彼であったならば間違いなく強くそれを望むからである。
すごい映画ではあるのだが、残念ながらこれを見た後の気分があまりよくなかった。とても耐えられない地獄である。だから得点は低めです。
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