「希望」ショーシャンクの空に 六畳半さんの映画レビュー(感想・評価)
希望
この映画のストーリーは、冤罪で終身刑になってしまったが、決して希望を失わずに生きる主人公を通して希望を持ち、諦めず、耐え忍ぶのことの大切さを教えてくれる。
主人公アンディー(ティム・ロビンス)と調達屋レッド(モーガン・フリーマン)の以下の台詞が印象的だった。
Andy:There are places in this world that aren't made of stone,
and that there's something inside that they can't get to,
and that they can't touch.
(この世界には石で出来ていない場所もある。
そしてその中には、奪うことも、触れることもできない何かがある。)
Red:What're you talking about?
(何のことだ?)
Andy:Hope.
(希望だよ。)
「石で出来ていない場所」とは心の事を指しているのだろう。石という単語のチョイスはアンディが採石を趣味としているからなのか、刑務所の事を指しているのかちょっと定かではないが、心の中には誰にもどうにもできない物――希望がある。
長い間刑務所に居たレッド側の人間は、社会から数十年も遠ざかってしまったせいで、釈放されても生きて行けるかわからない、いわやゆる刑務所慣れの状態である。希望の無い場所で希望も無く生きていくしかない。
Red:Let me tell you something my friend.
(友よ、一つだけ言わせてくれ)
Hope is a dangerous thing.
(希望は危険だ)
Hope can drive a man insane.
(希望は人を狂わせる)
そんな中アンディだけは違っていた。刑務所内の石ころを使って彫刻することに希望を見出し、銀行員の知識を使って、仲間に酒を振る舞うことに希望を見出し、図書館に本を増やそうと州立議会に手紙を出すことに希望を見出し、トミーを更生させ、高校に通わせることに希望を見出し、一刻も早く釈放ないし脱獄することに希望を見出す。
Andy:Remember,Red,hope is a good thing,maybe the best of things.
(思い出してくれ、レッド。希望は良いものだ。おそらく最良のものだ。)
And no good thing ever dies.
(そして良いものは死ぬことはないんだ)
その後、紆余曲折してアンディがこの手紙を残して執念の脱獄を果たした後、レッドには、仮釈放が認められる。しかし正直レッドは一生刑務所暮らしの方が良かった。友達もいない、社会も随分変わってしまった。そんな場所では生きられない。けれど、脱獄したアンディとの約束を思い出し、希望を見出し、会いに行く決意をする。
そのときの台詞がこの映画の象徴である。
Red:I hope I can make it across the border.
(国境を越えられると良い)
I hope to see my friend.
(友達に会えると良い)
I hope the pacific is as blue as it has been in my dreams.
(夢で見たように太平洋が青いと良い)
I hope.
希望に満ち満ちたレッドの台詞と何処までも広がる青い太平洋、そして再開した二人の姿を映して映画は幕をおろす。
どんな時でも希望を持つ事の大切さをアンディは伝えている。アンディの様に賢く、強かに、心を豊かにして生きて生きたい。