劇場公開日 2022年6月17日

  • 予告編を見る

「I hope」ショーシャンクの空に セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5I hope

2021年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

刑務所の囚人達の交流を軸に自由や希望について考えさせられる感動作です。

初めて観た時の印象は‘重い’でした。辛い場面も多く、自分にはショックが大きかったのだと思います。でも観終わってしばらく経ってからジワジワと感動が来て、色々考えさせられた映画です。刑務所で送る人生。そこで思う自由とは。希望とは。
二度目の鑑賞であった今回は、アンディの人柄や、レッドとの友情に心を打たれました。

一見、物静かで何を考えているのかわからなく、近寄りがたいアンディ。でもその内面に深いエネルギーを感じます。無実の自分に降りかかる不運を静かに受け入れる強さ。レッドに初めて話しかける時のぎこちない感じ。仲間にビールを振る舞う時の何とも言えない表情。銀行員ならではの知識を活かしたやりとり。図書室を熱望し何年も働きかける粘り強さ。モーツァルトに聴き入る心の豊かさ。字の読めない若者にABCから教えて高卒資格まで与える情熱。等々どの場面も心惹かれます。そんなアンディの内面をいち早く見抜き、迎え入れるレッドの温かさも素敵ですし、そんな二人の静かなやりとりも印象深いです。

刑務所といえば、暗く冷たく、誰もがそこから出る事を望むものだと思っていましたが、そうでは無い場合もあるのだと知りました。刑務所が家であり、そこに仲間がいて役割が与えられ、人生がある。そこから外に出された老人の哀しい最期。時間をかけて人間らしい感覚が失われていく終身刑の重さがズシンときました。

希望を持つ事の素晴らしさを説くアンディ。それに対し、希望を持つ事を恐れ避けてきたレッド。出所後、不安と孤独に押し潰されそうになっていたレッドですが、アンディの存在が彼の希望となります。‘必死に生きる’決意をし、自由の喜びを噛みしめたレッドはそこで初めて希望を口にします。

 ‘国境を越えられるといいが’
 ‘親友と再会できるといいが’
 ‘太平洋が青く美しいといいが’

当たり前にあると思っていた自由や希望を持てる事の尊さが心に沁み、レッドの心が解き放たれた瞬間に感動しました。そして、どこまでも広がる青い海と、アンディの白いシャツ、降り注ぐ陽の光の美しさが、その感動をより一層深く忘れられないものにしてくれました。

セロファン
セロファンさんのコメント
2022年9月6日

みかずきさん、コメントありがとうございます。
言語表現と映像表現についてご指摘されたみかずきさんのレビュー、大変勉強になりました。

>眼を閉じていても理解できる
なるほど!本作はレッドの回想物語なので、"映画を観る"というよりはレッドの語りを"聴く"という楽しみ方もありなのかもしれませんね。

セロファン
みかずきさんのコメント
2022年9月5日

セロファンさん
みかずきです

共感ありがとうございます。

本作、計算され尽した脚本、ストーリー展開で感動的な作品でした。
台詞、ナレーションのよる言語表現で各シーンを説明しているので、
分かり難いシーンは有りませんでした。眼を閉じていても理解できるくらいでした。

私のレビューにも書きましたが、
気になったのは、映像表現主体のシーンが少なかったところです。
本作は映画ですので、もっと映像表現主体のシーンがあった方が、
観客に考えさせるシーンがあった方が、より映画らしい作品になったと感じました。

では、また共感作で交流しましょう。

-以上-

みかずき
セロファンさんのコメント
2021年5月9日

ありがとうございます!
CBさんのレビューも興味深く読ませていただきました。

セロファン
CBさんのコメント
2021年5月9日

きれいなレビューですね。けっこう、好きです。

CB