劇場公開日 1996年2月3日

周遊する蒸気船のレビュー・感想・評価

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5.0ヒロインが、少しジブリアニメ風味があります

2024年1月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

周遊する蒸気船 1935年白黒映画 ジョン・フォード監督41歳の時の作品 不朽の名作「駅馬車」は1939年の作品なのでその4年前の作品です むちゃくちゃに面白いです あっという間に観終わってしまいます 時代は1890年代、場所はアメリカ南部ミシシッピ川流域 外輪蒸気船が行き交っています 公開時点で40年ほど昔のジョン・フォード監督が生まれた頃のお話 といっても監督は北部のメイン州の生まれです ミシシッピ川はご存知のとおり、アメリカ大陸の真ん中をかなり奥の方まで流れる大河です 源流はカナダ国境に接するミネソタ州 河口はルイジアナ州ニューオリンズでメキシコ湾に流れ込みます 高低差が大してないのでほとんどのところで大きな船が航行できるのです その流域には北からミネアポリス、メンフィス、ニューオリンズと大都市をいくつも経由します 中流から下流にかけて、ミシシッピ川は激しく蛇行して、三日月湖をあちこちに残しています 本作の原題の「Steamboat Round the Bend」のベンドとは、この川の蛇行のことです ヒロインのフリーティ・ベル役のアン・シャーリーが小さくて取ってもかわいい! 買って貰ったドレスを着るとフランス人形みたいです 船員帽を被って舵輪を握ると、また可愛い ジブリアニメに登場する少女の趣があります というか宮崎駿のアニメ映画の元ネタの多くはジョン・フォード監督のこの頃の映画にあると思います ともあれ、彼女のこの可憐な設定には意味があります 彼女はスワンプ出身の設定です スワンプとは泥とか沼を意味する言葉で、この場合はミシシッピ川河口付近の大湿地帯のことです ワニも生息している、鬱蒼とした湿地ばかりの僻地で人の住むような所ではありません それでも、そんなところに住むのはケイジャンと呼ばれる人々です ケイジャンというと日本では、BBQで使うケイジャンソースとかを思い浮かべますが、その彼らがスワンプでとれるザリガニやエビにかけていたソースだからその名前なのだそうです 彼らはこの時代のさらに130年ほど昔の英仏戦争によってカナダの植民地から追放されたフランス人たちで、最後に流れついたのが、このルイジアナ州のスワンプ地帯だったのです そうして彼らはケイジャンと呼ばれるようになったのだそうです 彼らは元はフランス人で白人なのですが、アングロサクソン系でもなく、プロテスタントでもなく、英語を話さずフランス語のケイジャン訛りを話す、極度に貧しい生活をしていて白人でも最下層の人々と見なされていたのです 1981年の映画「サザンコンフォート」には、現代の彼らが登場します 本作には黒人達も登場します ちょっと頭の足りない感じの黒人青年や台詞の無い機関室の釜の薪くべ達です 本作に登場するこのケイジャンや黒人達の扱いを現代のポリコレ眼鏡でみると、とんでもない!何という差別映画だ!と言われそうです 名作なのに、近年はなんかあまり取り上げられないのはこの辺りが影響しているのかもしれません 映画の神様ジョン・フォード監督作品でなかったらそれこそ観る事すら出来なくなっていたかも知れません しかし本作はそんな意図はまるでありません ただただひたすらお気楽なコメディです 獄中結婚式ではホロリと、クライマックスの外輪蒸気船のレースの迫力には手に汗握ります はじめの辺りはすこしダレ気味ですが、終盤になるとそのダレ気味の部分で尺をとって丁寧に描いてきたことが全部伏線であったことがわかり、それらが見事に回収されていく時の快感は半端ありません 拍手したい終わり方でした 蛇足 外輪蒸気船の映画はもう一つあります 1951年の「ショウボート」で、こちらはカラーのミュージカルです こちらもお勧めです 蛇足その2 琵琶湖の大津にある豪華ホテルから白い外輪船の遊覧船がでています ミシシッピではなくて、「ミシガンクルーズ」です デキシーランドジャズの演奏やレストランやカフェ、それにバーもあり、それらを楽しみながら琵琶湖を周遊するのです 楽しいですよ デートにおすすめです

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あき240

5.0蒸気船という興奮

2014年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

幸せ

本当は五つ星つけたい!!! それぐらい文句なしに面白い映画でした!! なんといっても、中盤から始まる蒸気船レース! 幾艘もの蒸気船が煙を噴き上げつつ進行するその雄大さに本当に感動してしまいましたよ! 正直、CGが持つ迫力とは決定的に異なる、真の迫力がこのショットに充満してます! なんだろうなぁ、どこかで今、私、「あ、これが映画だったんだな」って妙に納得しちゃってますよ。すごいよ、ジョン・フォード。私ごときが何ですが、やっぱり本物ですよ。 ということで、中盤までの進みでやや間延びした感じもあったので、レビュー書き初めには4.5点にしようかと思っていたのですが、やっぱり…五つ星にします! ジョン・フォードに感謝!!!

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チャーリー