ジャズ・シンガー(1980)のレビュー・感想・評価
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作詞から始まったニールの歌詞は私の心をうつ。
この映画の冒頭は アメリカと言う曲。この部分は実話で、ニールダイヤモンドのユダヤ人の『祖母が12歳の時、ロシアのキエフから千二百マイル電車に乗っで、ロッテルダムまで行き、そこから船でアメリカに自由を求めてやってきた』と説明。『遠いところから、自分の家を置いて、でもダビデの星は一緒に.....』と歌い出すが、ユダヤ人の当時の生き様は私の心にもずっしり響く。ユダヤ共同体はユダヤ教者でなくても、世俗派の間でも強い。 ニューヨークの自由の女神。そして、移民が米国に入国したマンハッタン南部を映し出す。その後、ユダヤ人、中国人、ラテン系などと移民の老若男女の表情を追う。焦点はマンハッタンEldridge stにあるシナゴークに。そこの黒人のババ(Franklyn Ajaye )が入っていくわけだが、信者にキッパを渡され、頭に乗せるが、結局乗せられず、ババの目的は何?と思わせる出だし。 ストーリーは他のレビューや解説を読んだ方がいい。 私は、父と子、または伝統的なユダヤの共同体で宗教を中心にして育ったカントルである父親(5世代目,説教や音楽のリーダーという名誉職)と伝統を引き継ぐことより、自分の思ったことをして生きたい子供との葛藤がやっと一つになるところを描きたい。それが、許しであるヨンキポー(日本語訳だと贖罪の日(ヨム・キプルらしいが私はいつもヨンキポーと言っている)だ。ユダヤ教と私の宗教は似ているが、私の宗派は特に贖罪の日を設けていない。悔い改めで罪の償いはいつでもできるから。ところで、このヨンキポーにロスからわざわざ駆けつけて、歌をリードすることで、父、カントル ラビノヴィッチ(ローレンス・オリヴィエ)との和解の糸口を掴もうとする主人公ジェス・ロビン(ユダヤの本名はYussel Rabinovitch。ニール・ダイアモンド)。 ヨンキポーのシーンは圧巻である。ニールの編曲?が彼の声にピッタリ合わせたという感じ。この曲の意味は全くわからないが、ヨンキポーと言って歌ってるので『許し』の内容だと察する。一年以上も、親子は会話していない。父親カントルは息子に、自分のアイデンティティーの大切さを教えてる。そして、先に進む道も。息子はこれが見つかったと。自分のコングリゲーションができたと。 『孫ができたよ』とこの言葉に父親カントルの表情が一瞬止まる。写真を見て、『お母さんの微笑みが』 『息子がいない(クリアー父親がロスの息子を訪問した時、息子の離婚を聞いて、父親は自分の着ている洋服の一部を裂いた)から、孫もいない...それは間違ってるよお父さん!』と、息子は。残念だって言って息子は去ろうとする... 『ヤッサ、ママの微笑みだけじゃなくて、お前の目とも同じだ!!』と写真に接吻をする父親カントル。 思わず、もらい泣きをした。なぜって、二人が和解できただけじゃなく、妻を失った父は一人で、この息子を育ててきたんだよ。だから....この気持ちがよくわかる。 ニールはこの映画のための作詞作曲作りをしているとのことだが、『Perfect Days』の映画ように歌詞が意味することが大きい。例えば、 Love On The Rocks の曲を作っている時、それから、シナゴークでバッミツアの練習をしている時など、誰も、彼のやりたいことを認めてくれない、そして、この曲は家族との愛情に亀裂が入り始めている様子がわかる。 最後の方: 父親の訪問:父は息子を迎えにきて、夫婦の伝統的な大切さを説くが: ジェスは『我々は離婚するよ。彼女も離婚したがっている』と。そこにモリーが現れて、父親の絶望感は増す。父親は着ている黒服の襟の部分を破く。(息子は死んだ)そのあと、父親との諍いが元で、バンドメンバーやモリーに八つ当たり、スタジオを飛び出、あてどもなく彷徨う。 『Hello Again』 では最終的にはテキサス、ラレド(Laredo)のバーで歌っているのをババによって救われる。初めて、伴侶の出産を知らされる。そして、ラグーナ・ビーチの自宅に: Hello again, hello Just called to say hello I couldn't sleep at all Tonight And I know it's late But I couldn't wait 二人の仲が元に戻ることを示す歌詞になっている。 ニールがこの映画のために書き下ろした作品はこの映画の内容をしめしている。 彼はすでに有名なスターで(Sweet Caroline" (1969)などから)数々のヒット曲もあるし、歌唱力もあり、作詞作曲もできるし、なぜ、この映画に出たのとおもった。調べてみて付け加える。
体よりピザがいい
初のトーキー映画として知られる『ジャズ・シンガー』(1927)のリメイクとして1980年に作られた本作。一体どこがジャズなの?と不思議な気分にさせられたが、息子の名前がチャーリー・パーカー・ラビノビッチとか言ってたあたりで、ジャズ愛も少し感じた・・・みんなチャーリー・パーカーが好きなんだね。 音楽はほぼエンターティナーであるニール・ダイアモンドの書き下ろし。サントラもかなり売れたようで、数曲は聴いたことがあった。その程度。はっきり言ってポップス(ちょっとロック)だ。中盤までは男性歌手版スター誕生のような雰囲気で、音楽的な挫折よりも父親(ローレンス・オリビエ)との愛、そして確執が描かれる。 ニューヨークのユダヤ人街。厳粛な家庭環境と代々続く聖歌隊(cantor)の血筋。聖歌隊リーダーとして生活の糧を得ていたが、ポピュラーソングの作詞作曲も続けている。黒人の親友ババに誘われ、黒人クラブで黒塗りにして歌ったりするが、やがてLAへ才能を確かめるべく旅立つことになった。新婚なのに妻を置いて・・・ マネージャーとなるモリーとの出会い、そして歌手として頭角を現す・・・が、ジェスが帰ってこないため妻や父が訪れ、そして家族の絆がピンチになる。そんな感じの内容。 実際にユダヤ人家庭で育ったダイアモンドだけにユダヤ教会での聖歌もさまになっているし、ライブでの演奏も素晴らしい。ちょっと天才肌でバンドに当たり散らしたり、家を飛び出して放浪するなんて展開は良かったけど、全体的には演技力が弱かっただろうか。実際、ゴールデングローブ賞にノミネートされる一方でラジー賞を受賞しちまった。まぁ、ミュージシャンとしては素晴らしいし、最も成功したアダルト・コンテンポラリーのアーティストとしてエルトン・ジョン、バーバラ・ストライザンドに次いで3位にランクされていたらしい。
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