「凄まじいの一言に尽きる」地獄の黙示録 kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじいの一言に尽きる
クリックして本文を読む
語り継がれている映画だけあって、すごい作品だった。
有名なワルキューレの騎行の爆撃シーンをはじめ、とにかく映像のインパクトが凄まじい。死体が転がりまくりのカーツ大佐の王国のヤバさとか、カーツ大佐自身の異様なまでに陰影のついた描写とか、脳裏にこびりついて離れない。内容も含めあまりに非日常なので、映画館で観るから印象に残る、とも言えるかもしれない。
狂気と恐怖が蔓延した映画だが、実はメインの登場人物はみな本質的には正常で普通の人たちなのかな、と感じた。
登場人物の誰もが、戦争に意味を見出していない。だからか、カーツもキルゴアもウィラードも、誰もが恐怖を克服できない。キルゴアは躁的な防衛だし、ウィラードは麻痺して投げやりになっている。カーツは虚無に支配されている。
意味のない殺し合いを続けていけば、当然気がおかしくなる。元々彼らは常識的な人たちなので、恐怖に支配されて気が狂ってしまったのだと思う。
恐怖を克服するには、自身の行動が意味のあるものだと感じる必要がある。戦争で意味を見いだす人たちは、狂信がないと無理だと思うし、それこそが真の狂気だろう。カーツは虚無がキツすぎて意味を見出そうとして、その結果、戦争を終わらせるために狂信的な兵士を作り出そうとまでしている。
誰もが正義などに酔っていないので、元々はみんなデリカシーがある人たちなのかな、という印象さえ持った。
地獄の黙示録とはよく名付けたものだ。邦題のセンスに脱帽です。
コメントする