「これは儲けもの 面白い、観て得したと思って頂けると思います」サブウェイ・パニック あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
これは儲けもの 面白い、観て得したと思って頂けると思います
サブウェイ・パニック
1974年公開 アメリカ映画
これは儲けもの
面白い、観て得したと思って頂けると思います
ニューヨークの地下鉄がハイジャックされた、さあ大変というお話
飛行機ならともかく、地下鉄なんかハイジャックしてどーすんの?という疑問がまず浮かびます
海外に逃げるどころか地下鉄線しか行けないし、だいたいトンネルからどうやって逃げるの?
当然、序盤にそうした疑問は登場人物達が言います
そして、そこをどうするのかが腕の見せ所となるわけです
と言っても、その辺りは、まあそういうところかなという範囲なんですが、本作はとにかくオチが見事!
最初から何度も伏線をはるので、それがオチだろとは見当はついているのですが、鮮やかに決められます
まるで背負い投げくらったみたいな決まり方です
うーん、お見事!ニクいねえ!となること請け合いです
序盤でまずニューヨークの地下鉄の説明シーンがはいります
地下鉄の司令センターに東京の地下鉄の重役達が視察に来たという設定で、上手く処理して、日本人達が英語が通じないのをなんか面白可笑しく描いて、退屈させない工夫をしています
もっとも日本人達はそれだけで退場で、事件には絡みません
また、人質になった乗客18人のなかに、私服警官がいるらしいという設定も、誰かな?
どんな展開になるのかな?と色々考えさせたり、市長のポンコツぶりを誇張して描いたり、司令センターの運転司令は警備司令が犯人とのやりとりに神経をすり減らしているのに、人質になった乗客の人命より地下鉄の運行のことにしか関心がない男に描かれて、乗っ取られた地下鉄がやっぱりお約束の暴走を始めたりします
身の代金の100万ドルがタイムリミットに間に合うのか?とハラハラもさせらせます
全く退屈せずに、しかも、あまりひねってもいないので真剣に見なくてもいいのでお気楽に観ることができます
なるほどリメイク版が1998年版「サブウェイ・パニックPM 1:23」、2009年に「サブウェイ123激突」として2回も公開される訳です
123というのは、本作の劇中で、ハイジャックされる列車がペラム123という列車番号だと説明があるからです
ペラム駅午後1時23分発列車という意味だと説明されました
調べるとグランドセントラル駅までは30キロほど、所要時間36分くらいでした
写真をみたら地上駅でした
西船橋発新宿行きみたいな感じでしょうか
午後の郊外駅始発の列車らしい乗客達がリアルでした
ふとおもったのですが、もしかしたら、邦画の名作「新幹線大爆破」の元ネタは本作だったかも知れません
蛇足
この当時のニューヨークの地下鉄はまだきれいです
落書きまみれでもないし、ゴミがホームにも車両内にも沢山落ちてもいません
ホームレスが通路に寝てもいません
麻薬がどーしたの話もされますが、現代のような
乗るのも怖い感じは映像からは感じません
まだ、健全であったころのアメリカの光景です
半世紀経ってアメリカの荒廃はどうしようもなく進んだのだと嫌でも分かります
日本人達が序盤に登場するのもその後の歴史を思えば考え深いことです
劇中、ニューヨークの地下鉄は世界最大だと説明されます
東京は、都営新宿線も大江戸線も南北線もまだ未開通の頃でした
今は上海の地下鉄網が断トツで世界一だそうです
これもまた歴史の変遷を感じます