ザ・ファンのレビュー・感想・評価
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熱狂的なメジャーリーグファンかと思いきや。
ロバートデニーロが、ナイフのセールスマン役でなおかつ、熱狂的なメジャーリーグファン、特にサンフランシスコジャイアンツのファンと言う設定。
しかし、熱狂的ゆえに行動がエスカレートしてゆき、とうとう主役選手の息子を誘拐までします。最後は、射殺されて終わりますが、犯人の家を家宅捜索したら、ファンの選手の新聞記事や自分が子供だった時の記事まで壁に貼られていて、半端ないファンぷりが分かります。
まぁ、何事もほどほどが良いんでしょうけど、ファンと言うのは「ファナティック(熱狂的な)」と言う意味だからここまでくるのも仕方無いんでしょうね。
日本で言うと、阪神ファンみたいですかね。阪神の選手にも強烈なヤジを飛ばすくらいですから。今年のセ・リーグは広島カープが優勝でしょう。理由は、私が熱狂的なカープファンだからです(おあとがよろしいようでw)。
今にこそ観るべきサイコサスペンス
四半世紀も前の映画だが、超一級のサイコサスペンス。一歩間違えればシリアル・キラーになってもおかしくないサイコパス野球ファンをロバート・デ=ニーロが、彼の妄執を受ける強打者をウェズリー・スナイプスが演じる。
この映画の白眉は2点。ひとつはトニー・スコットのカットを多用した緊迫感のある絵作り。なんてことない冒頭のラジオを挟んだやり取りを、人物のアップや疾走する車、サンフランシスコらしい坂道の光景などを目まぐるしく切り替え、テンポの早さと情報量の確保を同時にやりきってしまう手腕はお見事の一言に尽きる。
後々効いてくる車載電話やジャイアンツ・ウォッチを然り気無く配置し、演者は喋りっぱなし。
シーズン開幕の高揚に押し上げられるように、狂気を孕んだ熱気が高まっていく。
もうひとつはサイコパスのセールスマン・ギルがどうして強打者のレイバーンに固執するのか、徐々に明かされていく綿密な精神的伏線。
一介のジャイアンツ・ファンなら、レイバーンがスランプでも生え抜きのプリモが絶好調なら問題ないはずなのだ。
「4000万も出したけど、ありゃダメだな。2、3シーズンくらいで元が取れれば御の字だよ」みたいな、そんな切り替えも可能である。
でもギルはそうならない。レイバーンでなくてはダメなのだ。それは何故か?
その答えを導くための伏線が、少しずつ少しずつ明かされて、最後に決定的になる。この脚本には唸るしかない。
ギルはナイフメーカーのセールスマンである。この会社の創業者は父親で、いわば父から子へと受け継がれるべき絆だ。
しかし既に経営権は他人に渡り、ギル自身は成績不良のセールスマンで、既に権利はない。父の残した絆を奪われた。そういう無力感がある。
一方で自分が息子に託す絆の方はというと、これまた離婚により一緒にいられる時間は少ない。別れた妻はギルが息子と過ごすことを快く思っていないし、息子には新しい父親が出来そうな気配である。
なんとか二つの絆を維持しようとするものの、仕事と子供と過ごす時間のダブルブッキングは決定的な失敗に終わり、ギルはすべて失ってしまう。
このストレス要因がギルを凶行へと駆り立てる。
ギルの固執する信条は、「チームの為の勝利、その美しさ」である。リトルリーグで優勝したとき、ギルのホームランがチームを救い、勝利を呼び込んだ。人生の一番良い思い出は、ゆっくりと形を変えてギルの心に巣食う妄想の元となった。
肩を壊してプロの道を断念した後も、リトルリーグ時代の思い出と、野球少年たちの姿は常にギルの心に繋がりを持って燻り続けた。
82年、と言うからには多分リトルリーグの試合だろう。自分と同じように、満塁ホームランで劇的にチームを救ったレイバーンの事を、「メジャーリーガーになりたい」という夢を絶たれなかった「もう一人の自分」として重ね合わせ、なるはずだった自分として応援する。
彼の地元球団入りは、果たせなかった自分の夢そのものだ。だからレイバーンに固執する。
そんな歪んだファン心理がギルの歯止めを効かなくしていく。
安モーテルで虫を仕留めたとき、ギルは思う。「そうだ、チームに犠牲を払えないヤツは害虫だ。害虫は排除すれば良い」。
プリモにレイバーンの為に背番号を譲れ、と迫ったとき、プリモに拒絶されてギルの心は固まる。「こいつは害虫だ」と。
見守り続けた末にレイバーンの息子を助け、彼と直接話す機会を得たギルはレイバーンの感謝と理解を欲していた。自分と同じ、完璧主義者のレイバーン。自分と同じ犠牲の美しさを知るレイバーン。彼なら自分の行動に共感し、感謝し、讃えてくれると、そう信じたから。
ギルのキャラクター構成が恐ろしいほど緻密で、サイコパスがあまり認知されていなかった時代にここまでの造形が既に完成されていたことが衝撃的である。
そこに前述のスリリングな演出も加わり、娯楽性を損なわずにどんどん物語に引き込まれていく。
当時より、今観た方がよりその恐ろしさを堪能できる、そんな傑作だ。
怖い
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営業マンのデニーロは地元野球チームの熱狂的なファン。
そこに4000万ドルの選手がやって来たが、希望の背番号は得られず。
ラジオ番組を通じて直接会話したデニーロはその選手のファンになった。
その選手が開幕早々スランプに陥り、デニーロは背番号のせいだと考える。
そして意地でも渡さないと意地を張っていた選手を見つけ、説得を試みる。
当然失敗するが、会社をクビになりヤケになっていてその場で刺し殺してしまう。
これを機に贔屓選手がスランプを脱し、デニーロは自分の手柄だと思い込む。
またストーキング中に偶然彼の息子を助けたため、別荘に招かれる。
その時に直接話をしたデニーロは静かにキレる。
スランプを脱したのは「たかが野球」と考えたためと言われたためだった。
愛する野球を冒涜された気になり、また自分に感謝していないのに腹が立った。
そしてこの選手の車を奪い息子も誘拐、次の試合でHRを打たないと殺すという。
雨の中の最終打席、ついにHR性の打球が飛び、ランニングHRとなる。
しかし本塁は明らかにセーフなのにアウトのコール。
よく見るとその審判がデニーロだった。
デニーロはナイフを持っており、マウンドに上がって投げようとする。
野球少年でメジャーのマウンドに上がってみたかったデニーロは、
これで夢を叶えた形になるが、その場で射殺される。
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うーん、怖い。エスカレートしたファンってのは怖いのう。
日本じゃスポーツというよりアイドルのファンにありそうな気がする。
しかしデニーロの演技力は相変わらずで、まさに狂気だった。
意外なところでジャック・ブラックがチョイ役・・・
トラボルタの狂愛ぶりを楽しんだついでに、古いところで『ザ・ファン』を見直してみた。ロバート・デ・ニーロはこうでなきゃ!というくらいキレまくってくれて、この狂気ぶりを楽しむファンがいることも覚えておいてほしい。
『ミザリー』も『ファナティック』も敬愛する有名人を自分だけのものにしたい欲求にかられる内容でしたが、この作品の場合はスランプに陥ったボビー(ウェズリー・スナイプス)を陰ながら助けるという心理が働いていた。しかも、原因排除するためなら殺人をも厭わない。大好きな背番号11を譲らなかったプリモ(ベニチオ・デル・トロ)に脅迫するまでになり、カッとなってつい殺してしまう。サウナで、しかも商売道具のナイフを太ももに・・・
息子に対しても自分勝手に話を進めたり、相手に対する敬意なんてものはないし、もうナイフよりもキレやすい性格のギル。営業で外回りしても相手に汚い言葉を投げ捨てたり、顧客に担当を替えてもらいたいという苦情が来たり・・・で、クビ。失業したら怖いものなどない。と、暇を持て余してリトルリーグの息子を応援しに行って妻やその恋人ともケンカしたり、もう野球関係の仕事探せば?と言いたくなるほどでした。
プリモの死によって絶好調となったボビー。誰のおかげだ?え?言ってみろ!てな感じで、ストーカー行為が始まり、偶然にもボビーの息子が溺れているのを助けたことで、さらにエスカレート。11のタトゥー(焼き印?)を密かに冷蔵庫に入れたり、息子を誘拐したり、手の付けようがありません・・・
「俺のためにホームランを打ってみろ」という脅迫。打てなければ息子を殺すと思われ、警察も捜査に力を注ぐ。「見つからないよ」などと挑発電話を入れたり、もうサイコキラーそのもの。驚愕の終盤がゾッとさせるのですが、ギルは完全に狂ってました。野球が好きなのか、ローリング・ストーンズが好きなのか、父の創設した刃物店が好きなのかもわからなくなるほど。
やっぱりファンのことは大事にしないとダメ。そんな有名人に対する教訓とも思える内容と、狂気の度が過ぎる男の物語でした。なおストーンズの曲は「Sympathy For the Devil」、「Start Me Up」、「Gimiie Shelter」、「Shattered」と、それぞれストーリーに繋がるような意味深なタイトルばかりでした。
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