「色あせない名作!ドン・コルレオーネの組織の統率力に注目!」ゴッドファーザー ノブさんの映画レビュー(感想・評価)
色あせない名作!ドン・コルレオーネの組織の統率力に注目!
午前十時の映画祭にて久々に鑑賞しました。
多分20年以上見てなかったと思います。
なので細かい部分は忘れていたところもあり新鮮な気持ちで見ることができました。
3時間弱の上映時間ですが全くだれることなくむしろ短く感じられました。
大昔、初めてこの映画をテレビで見たときはオープニングの結婚式の場面が冗長に感じられたものですが、今見ると結婚式のさなかというのにファミリーの陳情に耳を傾け、瞬時に判断しテキパキと部下に指示を出すドン・コルレオーネの威厳を感じさせる場面や、このときはまさか自分が跡を継ぐとは夢にも思わない三男マイケルが恋人と楽しそうに過ごす場面、そして後に悲劇を呼ぶことになる結婚式の主役コニーとその夫カルロなど映画のテーマでもあるシチリア系移民の一大ファミリーの家族愛が感じられる貴重なシーンです。
そのドン・コルレオーネが銃撃された場面から一気に血なまぐさい抗争が繰り広げられますが、アル・パチーノ演じる三男マイケルが病院で機転を利かせて父を守り、策を練って自ら父の敵をとるあたりからの変貌ぶりがすごい。初めて人を撃つ前の緊張感が目の動きから伝わってきます。そして確実に実行する度胸。堅気の世界で生きることを望んだ父の思いとは裏腹に、血の気の多すぎる長男ソニーや頼りなげな次兄フレドと違い、冷静で頭が切れ度胸もある三男マイケルが一番跡継ぎにふさわしかったという皮肉。そして父の復讐を果たしたのを境に組織の人間に変貌していくマイケルを演じるアル・パチーノの名演技が光ります。
マイケルの逃亡先であるシチリア島のパートもいい。のどかな風景の中、護衛に守られながら逃亡生活の中で美女アポロニアとお互いに一目惚れし、すぐに行動に移すマイケルの強引すぎるやり方はすっかりマフィアの人間になってるし、かつての恋人のことなどまるで忘れたかのようである意味怖い。そして結婚してつかの間の幸せも追っ手が迫り彼女が爆死するという悲劇が襲う。
一方、銃撃されなんとか一命をとりとめたものの弱ってしまったドン・コルレオーネに替わって長男ソニーがファミリーの指揮をとるも、罠にはまりハチの巣のごとく銃弾を浴び絶命。ファミリーに危機が迫るなかドン・コルレオーネが5大ファミリーを集め抗争の終結を提案する。といったあたりから、生き残りをかけた駆け引きの面白さ、裏切り者を次々と粛清する怖さが見所たっぷりに繰り広げられていく。
今回久々に見て感じたことは、とにかくマーロン・ブランド演じるドン・コルレオーネが素晴らしいということです。目先の利益に飛びつかず麻薬を扱うと懇意の政治家が離れていくと考える大局的視点、タッタリアが意外と小者であることを見抜く観察眼、バルジーニが黒幕だと睨む推察力、バルジーニとの会談の話を持ってくる奴が裏切り者だと予想する洞察力。組織のトップに立つ人物のお手本のようです。ロバート・デュバル演じるトムも渋かった。組織にはボスの片腕として絶対必要な人物です。本当に味わい深い映画だなと改めて思いました。次に見た時は何を感じるだろうか。Ⅱも久しぶりに見たくなりました。