劇場公開日 1972年7月15日

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「個人から組織人への変化」ゴッドファーザー 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0個人から組織人への変化

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 コッポラ監督の傑作『ゴッドファーザー』を再鑑賞。レビューも書き直した。

 今作は、元々マフィアの家業には手を出していなかったマイケルが成り上がる姿を通じて、自分の感情で動く個人から、組織全体の利益を考慮して判断する組織人への変化が重点的に描かれている。組織で出世することは、個人的な感情を抑制して組織そのものになっていくことだと言える。

 マイケルは組織そのものになることができた。その点が粗暴な長男のソニーやいまいち仕事に対する真剣味に欠ける次男のフレドとは異なった。彼らはマイケルと違い、組織の仕事に個人の感情が入り過ぎる。その点マイケルは個人の感情の抑制が上手い。だからこそ組織の後継者に最適だと判断されたのだと思う。同時に、組織のために時には冷徹な判断を下さねばならない場面も出てくるようになる。それが個人の感情のみで生きている妻のケイや妹のコニーには受け入れがたく、二人との間に溝が生まれる原因となったと言える。

 今作が秀逸なのは、そんなマイケルの変化をリアリティ高く描いていることだ。

根岸 圭一
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