劇場公開日 1952年10月9日

生きる(1952)のレビュー・感想・評価

全87件中、41~60件目を表示

5.0お役所仕事が…

2022年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

いわゆる形式的な作業しかしない「お役所仕事」を題材にした映画。
自分自身、市役所の人間には色々失礼な態度を取られた事が多い。
…それはさておき、この映画の主人公で市役所員の「勘治」は、自分が
末期ガンで余命わずかである事実を知ってしまう。 残された時間で、
市役所に抗議の多かった、町にある湿地帯は虫が湧いて困るという住人
からの抗議に応え、その場所を市民の憩いの場「公園」にしようと奔走する。
当然、役所側は、そんな手間と時間と費用の掛かる事業はやりたくない。
暴力団組織まで使って、主人公の活動を抑え込もうとするが、それに彼は
めげない。
詳しくはネタバレになるので書かないが、黒澤明監督の現代ドキュメン
タリータッチで描かれた作品は、作られた後の50年以上経っても、日本の
世の中で何も変わらない構造という物が多い。
ラストで、勘治が生前に最後に作った場所を通りすがる、若い市役所員の
様な、怒りに震えた、日本を変えたい若者が、この国にはまだ多く残って
いると、信じたい…

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777

3.5かなり素朴なヒューマニズム物語

2022年11月17日
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ここは素直に黒澤明の誠実さに感動すべきなんだろうけど、展開のすべてが想定の範疇内に収まっていたなあというのが正直なところ。モノクロの陰影を登場人物たちの心の機微と重ね合わせる画面作りや、ハリウッドのフィルム・ノワールに特有の因果転倒的な物語構成など、物語を支える骨組みの部分には幾度となく舌を巻いたが、逆にいえば物語そのものより外郭に目がいってしまう時点で物語映画としては求心力が弱かったのではないかと思う。もういっそ全力で泣かせる方向に舵を切ってもよかったんじゃないか。私の心が乾いてるだけなのかもしれないけど…

黒澤が大島渚と三島由紀夫に「イデオロギーが中学生レベル」と揶揄されている記事を見つけたときはテメエらインテリぶりやがってよおと出所不明の怒りが湧き上がってきたものだが、本作や『生きものの記録』の前に立ったときに彼らの揶揄に真っ向から反駁できるかというとそこまで自信がない。澁澤龍彦ほどではないにせよ私も「人道主義のお説教」映画がそれほど得意ではないのかもしれない、と改めて思った。

ただ、役所でミイラのように生きていた志村喬が見出した人生最後の希望が「公園を作る」だったのはかなりよかったと思う。どれだけ荒唐無稽なプロセスを経ようと結局最後は手触りのあるリアリズムに帰着するのが黒澤映画の醍醐味だ。無頼たちが画面いっぱいに暴れ回る『七人の侍』も最後に勝ったのは農民だったし、『用心棒』で遺憾なく最強ぶりを発揮した侍は誰に感謝されるでもなく孤独に宿場町を去っていく。これが本数を重ねるうちに、ああ、ここだけは絶対譲らないんだなこの監督は、という信頼へと結実していく。だから本作の主人公も国を立て直すのでも世界を救うのでもなく公園を作る。どれだけ迂回しようと最後には庶民的感覚へと回帰することがメタレベルで運命づけられているがゆえに、黒澤映画は広く大衆に受け入れられたのだと思う。これは言うなればクソ映画であることが事前にわかっているからこそサメ映画やゾンビ映画を見ることができる心理と同じかもしれない。

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因果

2.0視点がステレオタイプ過ぎないか。

2022年10月10日
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評論子には共感できませんでした。今から70年も前の時代は現代とは随分と違ったものだったのかも知れませんが。
それでも「お役人とは、こういうもの」「お役所というものは、こういうもの」というステレオタイプの視点が前に出すぎていないでしょうか。
少なくとも、当時は当時にしろ、官公庁の実際ということについて少しでも取材をしていたとしたら、もっともっと違った作風の作品になっていたと信じたいところです。
その意味で、評論子には、残念な一本になってしまいました。

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talkie

5.0時間は命

Mさん
2022年10月1日
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私たちみんな残された時間は決まっている。
その残された時間に何をするかはけっこう大切だ。
「ゴンドラの唄」があってはじめて成り立つような映画。
黒沢明監督の作品の中では一番好きな作品かもしれない。

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M

4.0(生前の母の観た映画。そんな思い出を見たくって) 「生きる」ことの賛歌。

2022年6月13日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

私にしては珍しく、名作・オブ・名作邦画のレビューです。
アマプラ課金の東宝チャンネルにラインナップされていた作品ですので、観なきゃ勿体ないと思い。

こういう映画と私のレビュースタイルは、すこぶる相性が悪いのですね。
今回はおちゃらけは封印して、真面目に書くつもりです。
名作中の名作の古典映画ですので、ネタバレは上等ですよね。
そして、この映画、生前の母との思い出の作品なのですね。

母が遠い目で思い出すように語っていたものです。
この映画を観た時に、てっきり志村喬さんはリアルにお亡くなりになったと思い込んでいたらしいのですね。
赤貧の家庭に生まれ育った母ですので、映画館での鑑賞ではなかったのですね。
村の公民館の映画鑑賞会で観たらしいのです。。
何しろ、辺鄙極まりないド田舎ですから。
村の娯楽といえばそんなものくらいでしょう。母は大喜びだったろうな…と思うです。
スレていない母、当時の年齢は、計算すると、おそらく10代中盤です。
映画というものが、どういう物だとか、まだわかっていなかったんでしょうね。
後にテレビだか映画だかで志村喬さんのお姿を見た時に
「えっ?この人死んだんとちゃうん!?」と、かなり驚いたそうな(笑)
そんな純真な母の幼き日を回想すると、ちょっと涙が。

またしょっぱなから、割とどうでもいいことを書いてからのレビュー本文です。

実はこの映画、導入部で地雷臭を感じたんですよ。
くどすぎるナレーションの説明だとか、ステレオタイプのお役所仕事の描写だとか。
もしかすると楽しめないかなぁ…と、思いました。
主人公・渡辺氏が遠くない自分の“死”を知る察するあたりも、ありきたりかな…と思い。

ですが一杯飲み屋で小説家くずれと知り合った件からは、このおじさんに妙な可愛さを感じたんですよ。
そのあたりから一気に渡辺さんに、ぐいぐいと感情を引き込まれまして。
今まで「生きてきて」自分の全く知らなかった異世界に戸惑いながらも、しばしの間「生きる」ことの物珍しさを感じる描写(帽子事件)に少し笑っちゃいました。
ストリップホールの件だとか。「ああっ!Σ('◉⌓◉’)」だとか(笑)
そしてダンスホール(?)のピアノ演奏に合わせて、涙ポロポロと歌う『ゴンドラの唄』の哀しいこと哀しいこと。
ここでうるっと来ちゃいました。
何かの映画じゃないけれど「その顔はやめて」って言いたくなるほど、何とも言えない不憫な表情なの。
『ゴンドラの唄』はこの作品の挿入歌として、これ以上の物はないと思い。
むしろこの歌を着想として、この作品が生まれたのではないかとさえ思い。

“とよ”との交流では、観ているこちらまで思いっきり楽しくなっちゃったの。
渡辺さん!「生きる」ことを思いっきり楽しんで!って思っちゃうの。
死なないで!お願い!黒澤さんのいけず!って思っちゃうの。
“とよ”との間で見せる渡辺さんの笑顔に、感情移入目いっぱいですよ。
干からびた“木乃伊”が、どんどん生気を取り戻す様子に。
なのに、ぼっちになった途端、やはり死の恐怖に怯えるさまには、本当に同情以上の物を禁じ得ないの。

息子との残された時間を大切にしたい父なのに。
あのバカ息子、なーんにも気づかずにゼニ金のことばかりで厳しい態度とるのには、本当に頭に来ちゃったの!鬼かよ!
(仕方ないちゃぁ仕方ないんですが)
一方で“とよ”密会の約束の取り付けに、ニヤリニヤリとするさまが、本当に可愛いの。
気を許した“とよ”と遊ぶと言っても、カフェ→お汁粉屋→お寿司屋orお蕎麦屋、そんなことしか繰り返せない渡辺さんが本当に可愛いの。
なのに、いい加減愛想つかされている渡辺さんが本当に可哀そうなの。
当然ながら誰にもわかってもらえない胸中、いかばかりのものがあったでしょうか。

もういいから!いっそ自分の余命が幾ばくもないこと、みんなに吐露してよ!って思っちゃうの。
でも、それができなかたったのが渡辺さんの強さであったり優しさであったり、哀しさであったりだと思うの。

私、恥ずかしながら長年の鬱との付き合いがあった日々の中で、何度も死んでしまいたいと思うことがあったのですね。
でも、実際に差し迫った死を実感したことなど一度たりともありませんでした。
死がすぐぞこにあるっていうのはどんな気持ちなのでしょうか。
母の最期も、もはや助かる見込みもないことを知った短い日々でした。
どんな気持ちで私たち家族と向き合ってくれたのかなぁ。
私がそうであったように、まだまだ伝えたいことが山ほどあったろうなぁ。
「親孝行したい時に親は無し」ってこれ、真実だから。

カフェで“とよ”の横に座って半ば強引に、朴訥かつ必死に「生きる」実感だとか、「生きた」証がほしいと訴える志村さんの好演が素晴らしかったです。
母じゃないけれど、この人=志村さん本当に死んじゃうんじゃないかと思うほど迫真の演技なんですね。
「その顔はやめて」ですよ。
からの「ハッピバースデー♪トゥーユー♪」が本当に心憎い演出なの。
「生まれ変わった」シン・渡辺さんの再出発、門出の歌として。

したら、いきなりの渡辺さんのお通夜じゃないですか!
通夜の席で、出席のみなさんの回想の語りが続くじゃないですか。
ここで渡辺さんが何を、どうやってきたのかが明らかになっていくのですね。
尺の三分の一使って。
このシーンの前後の順の構成、斬新で秀逸だと思いました。
通夜を後に持ってくると、渡辺さんの最期のカットがかなり霞みますし。
尺の取り方のバランスも狂ってきますし。
物語として、彼の「生きざま」と功労を描くのなら、この順番しかないと思い。
そして、役所のお偉いさんの不誠実さと傲慢さが、めーっちゃ頭きたのな!
手柄横取りするなし!ですよ!
でも、渡辺さんにとってはそんなことは当然、どうでもよかったことと思い。
雪の降る中、自分が「生きた」証で造った、公園のブランコで『ゴンドラの唄』を歌いながら天に召されたのって、ある意味幸せな最期だったかな…と思ったです。
きっと「生きた」ことへの悔いはなかったと思いたいです。

で、謎なのが“とよ”が通夜の席に現れたのかどうか。
通夜では全く姿が見えなかったのですが
うさぎさんのオモチャがお供えされていたことを見ると
きっと会いに来てくれたに違いない…そう思いたいです。
ここだけが胸につっかえてスッキリしなかったです。
“とよ”が渡辺さんの遺影を静かに見守っているシーンがあってもよさそうなものの。
意図的にそれを外したのなら、きっと黒澤監督の描きたい映画なりの理由があったに違いないのですが。
アホの私には、それがよくわかりませんでした。

そんな渡辺さんの「生きざま」を忘れないでいてくれる人って
名もなき職員Aくらいしかいないのは、とても寂しかったです。

真面目な話、この作品を観ても、まだ「生きる」ことへの感謝の気持ちは湧かなかったんですね。
でも、もし私が近い日々に死を迎えることを知った日には、きっとこの映画のことを思い出すでしょう。。
そんな日々が来ることがあったなら、私は渡辺さんのように懸命に「生きる」ことができるのかなぁ…?
自分が「生きた」ことの賛歌を奏でることができるのかなぁ…?
何だか自分がとても恥ずかしい…
観終えた感想はこれに尽きます。
困った映画をチョイスしたもんだ…(^_^;

次回はまた東宝チャンネルで、頭バカにできる怪獣物でも観ようかなぁ。

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野球十兵衛、

5.0何をしてきたのか、これからどうするのか、人生の分岐点に観る

2022年4月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

興奮

あまた作られている、単なる闘病物ではない。
人生哲学×人間ドラマ×組織批判×社会風刺×エンターテインメント。
悲劇であり、喜劇。
これだけいろいろなものが詰め込まれているのに実にシンプル。
そして、揺るぎない主人公の存在感。
脚本×演出×音楽×映像。これらすべてが、志村氏の演技を際立たせていると同時に、
志村氏の演技が、技巧を凝らした映画を可能にさせている。
他には有り得ない、唯一無二の映画。

「人を憎んでいる暇なんてない」
 自分にとって大切なもののためなら、自分をないがしろにされた、嫌味を言われた。そんなプライドなんてちっぽけなこと。
 後頭部を殴られたような気がした。
 喜怒哀楽。人間にとってはとても大切な感情。だが、それをも凌駕するこの決意。なんと鬼気迫る言葉!
 ちっぽけなプライドのために、見失ってしまう大切なもの。
 ちっぽけなプライドすら乗り越える、人としての器。鬼迫。
 何が大切なのかを見極める。
 反省させられた。

☆  ☆  ☆

死を目前にして、自分の小さな器を大きくした男の一代記なのかと思っていた。絶望の淵から希望・生の意味を見つけ、徐々に周りを巻き込んでカタルシスを得るというような話だと、安易に思っていた。

だが、黒沢監督はそんな安易なつくりにはしなかった。

 前半、自分の死期が迫っていることを知る主人公。
 それを知った行きずりの男が「それでは、メフィストフェレスとなりましょう(思い出し引用)」と、主人公が今まで経験したことのない世界に連れ出す。
 その主人公の”初めての経験”が、死期が迫る主人公の陰鬱さと同時に、おかしみをもって描き出される。そのバランス!!!
 かつ、そんな奇妙な行動に出た主人公を取り巻く人々の反応が、頓珍漢で滑稽味を出す。

 そして、残りの人生をかけるものを見つけ、死を意識しながらも生き生きと鬼気迫る様相で活躍する主人公の姿が見られるのかと思ったら…。
  (人生かけるものを見つけた男の後ろで歌われるのは「Happy birthday」だし)

 いきなり、映画の半分くらいで、主人公は亡くなってしまう。
 やられた。
 通夜の席で、主人公と公園をめぐって、関係者が回顧していく。そこに浮かび上がる人々・行政の思惑が空回りしていく。まるで舞台劇を見ているみたいだ。
 しかも、誰もが主人公の想いを自分の器で図っていくだけで、主人公の気持ちや決意を知らないで、勝手なことを言い募る。なんていう孤独。私だったら、化けて出そうだ。
 生涯かけて育て上げた息子でさえ、主人公の真意を知らない。何度か、主人公は息子に打ち明けようとしたのに、それを阻止しておいて、「知っていたら僕に言ってくれたはずだ」って、あなた…。なんという孤独、そしてむなしさ。
 組織への痛烈な批判。(縦割りで事が動かないのは役所だけではない)
 ”今”を生きる人々への痛烈な批判。
 そして、観客が喜びそうなカタルシスが得られたかに見えて、極めつけのオチで終わる。

 そんな基盤を横軸に、主人公の生きざまが物語を進める縦軸として交差する。
 人生への後悔。生命力あふれる若々しさへすがりつき。迷走を経て、なすべきことへの妄執・鬼迫。孤独。「男は黙ってサッポロビール」の時代だっけ?否、説明して了解を得る時間さえ惜しかったのだろう。「憎む時間さえない」のだから。
 死にゆく自分。長年付き合ってきた人にも誰にもわかってもらえていない真意。孤独・孤独・孤独。
 それなのに…。有名な一人でこぐブランコのシーン。静かに、静かに、響く「命短し、恋せよ、乙女~」。
 そして子どもたちの声で幕が閉じる。

この物語をこれほどまでに深めたのは、黒沢監督の演出。何たる鬼才!
 喜劇的な舞台×陰鬱な主人公。相反するはずの要素が見事に調和して、両方を際立たせている。
 物語の緩急。スパッと切るところと、余韻が残る場面と。
 男の一代記的な構成なら、”男”の人生を追体験するだけで終わってしまうが、このような演出にすることで、社会での位置づけが見えてくる。

そして、何度も書いてしまうけれど、上記の演出を成り立たせているのが、志村氏の演技。「あ、う、」ぐらいのぼそぼそとしたしゃべりなのに、その時々の主人公の気持ちが胸に迫ってくる。なんてすごい役者さんなんだ。

☆   ☆   ☆

最近取りざたされる孤独死。だが、その方が孤独の中に死んでいったのか、満ち足りて死んでいったのかは、本人にしかわからないのであろう。
自分の葬式の風景を考えてしまった。

渡辺課長は、子どもを育て上げたんだから、それだけでも大仕事をしたのだけれど、ミイラのままでは死ねなかった。
歯車だって、それがなければ、そのシステムは動かない。どの歯車だってなければ困る。

けれど、書類の煩雑さ。
渡辺課長の仕事は、書類に判を押して右から左に回すだけ。
今だって、説明責任を果たすために増える事務仕事。微妙に違う様式で、同じ内容を、各方面から報告するように求められる。現場を見ずに、数字・書類だけ見てわかった気になる。統計のマジック。これが何に繋がるかなんて、わからなくなってくる。
 ふうぅ。
 歯車として機能しているのは判るけれど、透明人間にはなりたくない。
 失敗は成功の母と言うけれど、余計なことをしてはみ出したら終わり。KYはこのころからあったんだ。
 どうしようもない世の中に、あきらめかけてしまう私の心の中に、いつまでも主人公の歌声が響いてくる。

☆  ☆

PS。予告も傑作です。予告だけでドラマしている。人生をつきつけられる。

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とみいじょん

4.5黒澤監督の真摯な問い掛けにある、人間の内に秘めた力を信じるヒューマンドラマの社会批評

2021年11月9日
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鑑賞方法:映画館
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Gustav

4.0昭和27年の衣食住

2021年10月16日
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鑑賞方法:映画館

映画の素晴らしさは、他の皆様が書いてくれているのでカット。
特筆すべきは昭和27年の風俗です。
食事・住まい・職場の風景など。
なかでもファッションには目を見張るものがあります。
通夜(葬儀)の場面での皆様の衣装。
今一般的に皆様がお召しになる、いわゆるブラック(礼服)ではないのです。
ウイングカラーにモーニング(ということはこの場面は夜に見えたけど昼なのか?)あるいは普通のスーツ。喪主に至っては羽織袴、その妻は着物の黒喪服だが帯締・帯揚がともに白、裾廻しも黒ではない。
こんなことを考えながら見る名作もなかなか良いものです。
船堀シネパルで上映中の黒澤映画。「生きる」は今日まで。
明日からは「用心棒」、次の週は「七人の侍」です。

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ぺん太

4.0印象に残った「ゴンドラの唄」

2021年7月17日
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ジョニーデブ

3.5ストーリー 6.5 演技 7.5 芸術 6.5 エンタ 6 総合 ...

2021年6月15日
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ストーリー 6.5
演技 7.5
芸術 6.5
エンタ 6
総合 7
面白かった、のは
志村喬って凄い味がありますねぇ。有名な台湾人と結婚したEXILEのダンサーに似てると思うのは私だけかしら。

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林秀吉

4.0生きるの原作はゲーテのファウスト

2020年12月21日
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鑑賞方法:TV地上波

すでに気づいている人もいるかもしれませんが、「生きる」は内容がゲーテのファウストにそった筋になっています。主人公が飲み屋でメフィストフェレスみたいな人物に出会いますが、そのとき野良犬が入り口から入ってきます。これはファウストがメフィストフェレスに出会う本の場面のそのままの引き写しになっています。この映画を見るのにファウストを読んでいる必要はありませんが、筋立てや道具立てを理解するのには役に立つかもしれません。例えば、若い女工さんは、ファウストの中のグレートヘンを模したものでしょう。またファウストはその生涯の最後の仕事として、海を干拓しそれに満足して死を迎えます。これもドブ池を埋めたてて公園にするという形で映画にそのまま取り入れられています。その他類似点はいろいろあると思いますが、探してみてください。
ちなみに、映画「生きる」と「ファウスト」の関係に公に言及したものがなかなか見つかりません。知って見るのと知らないままで見るのとでは、どちらがいいのかは別にして、印象が変わってくる気もします。

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Masataka N

5.0生きる

2020年11月14日
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どうせ生きるなら必死で生きようと言うメッセージが感じられる映画でした。命短し恋せよ乙女の音楽もこの映画にピッタリですね。

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alextm

4.5タイトルなし

2020年5月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

何度見ても、ハッピーバースデーは涙腺が緩んでしまう。話の構造は、実はTV版エヴァンゲリオンだよなあ。この作品は3人脚本家体制、その良いところが出たのではないか。

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kazuyuki

5.01番泣いた映画

2020年3月1日
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黒澤明の最高傑作なのではなかろうか。

高校生の時観て、涙が止まらなかった。
観終わってから、風呂場でも泣いてた。
そんな思い出のある映画。

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ユート

5.0私達はみなミイラかも知れません

2019年9月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

正に神作品
日本映画の枠を超えて世界の映画の中でも屈指の名作だと思います

黒澤監督作品の常連俳優と言えば三船敏郎と志村喬
その志村喬の恐ろしいまでの鬼気迫る演技が全編に満ちています

胃癌による余命宣告による死を意識した事でのマインドセットの転換という劇中の設定になっています
しかし本作のテーマは死を意識したという前提では決してありません

渡辺課長はミイラとあだ名をつけられています
今風にいうならゾンビでしょう
生きているのだか、死んでいるのだかわからない
いや魂は死んでいるのだが、でも生きているのです

役所批判が本作のテーマなぞでは毛頭ありません

それは主人公が生きながら死んでいることを演出として説明するためのものに過ぎないのです
大きな組織はみんな大なり小なりそんなものです

誰もが、家族のために、独身であれば自分が生き残る為に、その為に自己を殺して生きているのです

ミイラのようにならないで働けているひとは本当に幸せです
そんなあなたは、とよのように確かに生きていると言えます
あるいはこれからミイラになってしまうのかも知れません

病院で看護婦さんが言うベロナールは当時の睡眠薬の名前です
無論大量に飲めば死にます
市電の脇のおでん屋むさしで出会う小説家が、店の主人に家で待つ編集者に原稿を届けにいくついでに買いに行かせたアドルムも睡眠薬です
この小説家のモデルはこのアドルムという薬の名前とその後の行動と言動から、なによりその風貌、衣装、丸眼鏡から破滅型の小説家として有名な坂口安吾その人で有ることは明らかです
彼は当時覚醒剤とアドルム中毒で精神錯乱の末、入院して世間を騒がせたことで有名です

その彼がモデルの小説家が渡辺課長に、与えられた生命を無駄にするのは神に対する冒涜だと諭すのです
渡辺課長が黒い犬に酒の肴を落として食べさせるのを二人がじっと見るシーンは、彼が生きる意欲を喪失していることを象徴するものでした

小説家は言います
あなたはこれまで人生の下男だった
人生を楽しむことは人間の義務だと

ゾンビが生きていることを実感するには、これもまた真理です

彼は渡辺課長に人生の快楽を教える代わりに、代償に魂を要求しない善良なるメフィストの役を務めると言います
つまり悪魔の誘惑と言うわけです

メフィストフェレスの化身は黒い犬です
だから彼はおあつらえ向きに黒い犬がいる、早く案内しろというのです

渡辺課長が新しい帽子を被って行く静かなカウンターのバーは文豪が通う店で有名な銀座5丁目のルパンがモデルでしょう
店の雰囲気とカウンターの上のランタンが似ています
きっとそれ以外の彼が連れ回すお店は全部モデルがありそうですが残念ながら浅学で分かりません

新しい帽子は、彼の新しいマインドセットを象徴する記号として全く見事な演出です

しかし引き連れわました果ての娼婦と一緒のタクシーの中で、渡辺課長の余りの哀れさに、自分は悪魔足り得ないと片手で顔を覆い伏せるのです
彼が教えたような快楽では、最早生きている意味を感じこともできず、魂が満たされないほどに、渡辺課長が冷たく死んでいるミイラだと知ったのです

ゾンビになってさ迷う渡辺課長は、結局とよから自分の魂が満たされうる本当の喜びとは一体自分に取って何なのかを掴むのです
ウサギのオモチャの象徴する、シンプルなことでも魂が充足する喜び
そしてハッピーバースデーの歌
本当に素晴らしい感動的な演出でした
特にハッピーバースデーはエヴァンゲリオンの最終回のおめでとうのシーンはこのシーンのオマージュだったのかも知れません

それこそ胃癌という十字架を背負ったキリストが復活した瞬間でした

そしてグダグタの通夜のシーンこそ、エクセホモなのです
この人を見よ!のシーンだったわけです
回想のシーンとは鞭打たれるキリストの光景なのです
そして彼は奇跡を成し天に召されたのです

私達もミイラかもしれません
大野係長は課長に昇進するとたちまちかっての渡辺課長と瓜二つになっています
糸こんにゃくの木村も結局椅子を蹴って立ち上がったものの書類の山に顔を隠すのです
橋の上から背中を丸めて新公園を見下ろしてとぼとぼと去る姿は、彼もまたかっての渡辺課長そっくりです

何の為に生きているのか?
渡辺課長のように新公園を残すような立派なことをなすことでなくてもよいのです
とよのようにオモチャの製品を作ることに喜びを見いだすことでも良いのです
それこそ小説家の言うように快楽の為であっても良いのだと思います

日々を無感動に生きること
それはミイラなのです

死を宣告されたひとや老人だけが渡辺課長ではないのです
中高生でも、大学生でも、新入社員であってもミイラになりえるのです

あなたはミイラになっていませんか?
渡辺課長になっていませんか?
それこそが本作のテーマなのだと思います

死期がせまったからの話ではありません
人間はいつかは必ず死ぬものです
必ず老いるものです

生きているという実感を味わうように貪欲になるべきなのです

ブランコに乗って主人公が歌う有名シーン
「♪いのち短し 恋せよ乙女」の歌い出しで始まるゴンドラの唄です
その歌詞こそ本作のメッセージそのものです

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あき240

5.0志村喬のモノマネできます!

2019年4月3日
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35年前から何度も観てますが、すべでよし。
志村喬のアップの表情、実演できます。

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Ryuichi Sekiya

4.0死に直面した時の人間の在りようの難しさをひしひしと感じた。鬼気迫る...

2019年2月11日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

死に直面した時の人間の在りようの難しさをひしひしと感じた。鬼気迫る志村喬の目つきが怖かった。所詮死んでいく気持ちは自分自身でしか分からないものであり取り巻く人々は自分の都合のよい解釈を後づけで語る。時間の経過とともに存在していたことはいずれ消え去ると思うと「生きる」という切なさが募った。

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tsumumiki

5.0人が真に生きるとは?

2019年2月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

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しゅうへい

5.0よくできてる。

2018年5月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

よくできてる。

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じとしゅん

3.0考えさせられる

2018年2月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

難しい

1952年にコレが作られたってのがすごい。

噛めば噛むほどという映画のうちのひとつ。
日本人の汚い部分もまざまざも見せ付けられて
すごくイヤな気持ちにもなった。
でも、勉強になるし、必要な「イヤな気分」なのだろう。

作家さんの
「人生を楽しむのは人間の義務ですよ」
「貪欲に生きなきゃ。貪欲は悪徳なんて古いんです、
貪欲は美徳なんですよ」
「与えられた生を「生きない」のは神への冒涜ですよ」

これらの言葉が忘れられません。

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ひぃちゃん