「アルゼンチン・タンゴ」氷の微笑 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
アルゼンチン・タンゴ
まるで男女の愛の激しさを表現するダンスを、そのまま性愛にしてしまったという、元も子もない濡れ場なのだが、アングロサクソンらしい肉欲さを最大限演出してみせているシーンの目白押しである
クライムサスペンス、サイコスリラー、色々なカテゴリ名が当てはまるのだが、発表当時はそんな内容よりも、兎に角シャロン・ストーンの見事な美を惜しげもなくスクリーンに投写するセンセーションで話題になった事を憶えている だからこそ自分の多感な時代、恥ずかしくてなかなか映画館に行けなかったこともあり、或る意味オヤジになって観れた事に感謝したい
ストーリーテリングも良く出来ていて、劇判の効果も相俟ってサスペンスフルさは今の時代にひけを取らないどころか、何の衒いもなく尋常じゃない数の殺人を起こしていく猟奇性に寧ろやられてしまう
真犯人の謎解きもキチンと観客にその間を与えてくれつつ、合間の激しい動物的否、動物でもこんなに激しくはない猛り狂ったまぐわいは、明らかに違う星人のそれではないかと勘違いしてしまう程だ 秀逸は、女性上位に於けるのけぞってのアイスピック攻撃に見せかけた昇天の天丼 一歩間違えば面白味さえ感じてしまうが、そのギリギリのハラハラ感を醸し出すのが、あの2人の演技の巧みさかもしれない
結局、子供は作らず、ヤりまくるの言葉で犯行は回避されるというオチも、今作らしい終わらせ方に納得である
ヒッチコックの『めまい』を彷彿とさせるとの評論が多いが、自分は鑑賞していないのでファム・ファタールが出し惜しみせずに力技でグイグイ推進していく元気だった頃のハリウッドも郷愁感あって大変面白かった
いずれにせよ、アメリカンビューティーの具現である"シャロン・ストーン"を愛でる、その一択の作品である
アルゼンチン・タンゴは、社交ダンスのタンゴとはかなり異なるそうです。女性の動きの自由度(男性に依存しない)が高い、社交ダンスのように男性は肩も背も反らんばかりにしない、かえって女性を包み込む感じらしいなど。面白そうです!