「90年代の遺物がエモい」恋する惑星 せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
90年代の遺物がエモい
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フラれた元カノを忘れられない若い刑事、怪しげな商売をしているサングラスにコート姿の女、CAの元恋人のことを引きずる警官、その警官に恋する飲食店でバイトする若い女、4人の群像劇。
日本の比較的若めの監督のインタビュー記事を読んだり動画を見てると頻繁に『恋する惑星』の名前が出てきてずっと気になってた。見てみるともうこりゃあ皆好きだわ。というか最近のエモい邦画の恋愛映画全部コレやん(言いすぎ)ってなった。(例えば『ちょっと思い出しただけ』のあの時計ウォン・カーウァイオマージュだったのかなとか)
4人ともどこかおかしな人達だけど、その行為のヤバさをオシャレな画面演出と軽快な音楽がオブラートに包み隠す。この中で1番ましに見えたのが、家の中のあらゆるものに話しかける刑事633号なんだから(笑)
そのポップさから一転して、ジャズバーのような音楽に変わりトレンディーな雰囲気を醸し出されありきたりな恋愛映画になると思いきや、突然映画が爽快な終わりを迎える(このプツッと終わる感じ『花束』っぽい)。劇中では「物事には期限がある」と言っていたけど、今作自体は4人のこれからも続く人生の一部分を捉えただけ。終わらない爽快さよねぇ。
一方で「期限がある」と言えば、劇中に出てくるブラウン管やCDデッキ、ポケベル、ひいてはサークルKまで、今はもう見ることのないあの時代の物達がエモかった。私はブラウン管は使ってたけどポケベルを知らないので、あのメッセージやパスワードのしくみがよく分からんが、今見るとなんか良いなって思う。連絡が来てるか来てないかがすぐにわからないのが良いね。
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