激突!のレビュー・感想・評価
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観る者を徹底的に煽る映画。
小学生の頃、テレビで初めて観たスピルバーグ監督作品がこれだった。 彼が手掛けた傑作は色々観てきたが、この作品の面白さを越えるものはなかった。 個人的には、最もスピルバーグの才能が発揮された最高傑作だと思う。
舞台は、アメリカの荒涼とした砂漠地帯。 セールスマンの運転する普通車が、大型のタンクローリーを追い抜いた。 これが因縁の発露となり、悪夢のようなカーチェイスが始まる。
いわゆる、煽り運転だが、 このタンクローリーの運転手のしつこさは、完全に常軌を逸している。 一方、この気の毒なセールスマンは、なんとか相手の気持ちを理解して、穏便に事態が収拾できないものかと必死に考える。
しかし、肝心の運転手は、顔も姿も見せようとしない。 ハッキリしているのは、強烈な殺意だけ。どんな人間なのかが想像が出来ない不気味さが、いよいよ観る者の不安を煽る。
もはや逃げ道はないのかー。
スピルバーグの情報遮断が巧なのである。 主人公の心理状態の演出や伏線の敷き方、カット割、アクションの魅せ方も見事としかいいようがない。 これを、結構な低予算と短期間で完成させたというのだから、やはり彼は、映画作りの天才である。
最後は、 追い詰められたセールスマンが意を決し、タンクローリーとの絶望的な戦いに入っていくのだが、 この段階ではもう、 タンクローリー自体が邪悪な意志を持った化け物にしか見えなくなっている。
観客は、 極限まで追い詰められた主人公の心に同期したまま、 最後の最後まで不安と恐怖に煽られ続けることになる。
テレビでは、何度となく再放送されているが、何度見ても面白い。 観終わった後は、まるで自分自身がタンクローリーに追われ続けたように、ヘトヘトに疲れ果て、 しばらく呆然自失となるほどの完成度だ。
ちなみに、主演のデニス・ウィーバーは、 当時日本でテレビ放映されていた「刑事マクロード」で主役を務めていたアメリカンヒーローだった。 ところがこの映画では、 タンクローリーの異常な煽り運転から逃げまわることしか出来ない弱々しい中年男。 子供心に、そのギャップが悔しくもあり、痛々しくもあったのを覚えている。
観ている者を引き込む
【強烈な、煽り運転撲滅キャンペーン推奨映画。シンプルな設定でここまでの緊迫感を見る側に与えるカメラアングルを含めたスピルバーグ監督の映像センスに脱帽するサスペンス映画】
ー 内容は巷間に流布しているので割愛。-
・田舎道で車を走らせるセールスマン。その前をスロースピードで走るオンボロタンクローリー。
・軽い気持ちで追い越したセールスマンの車を、狂的なまでに執拗に追いかけてくる運転手の姿を一切写さない、疾走するタンクローリー。
・途中、アクセントとして挿入される、ドライブインでタンクローリーの運転手を見つけようとするセールスマンの独白。”謝罪するかどうか・・”
が、観客には依然としてタンクローリーのドライバーは明かされない。
・スクールバスを推し掛けするシーン。
・列車が迫っている踏切で、セールスマンの車を線路内に押し込もうとするタンクローリーと下腹に響くホーン。
<ラストも鮮烈な、ワンシチュエーションサスペンスムービー。
遥か昔に鑑賞した際にも怖かったが、運転するようになってから見ると、怖さが倍加した作品。
ドライバーが顔を見せない狂的で執拗なタンクローリーが、追い越しした車を追い詰めるというシンプルな設定ながら、多用するローアングル、タンクローリーの不気味なホーンを含め、スピルバーグの映像センスが十二分に発揮された作品である。>
イヤな奴がヒーローになる話
パニック映画の原点
ルーカスとの共通点
煽り運転絶対に許さないという強い意志を感じる
「謎のトラックに追われる」というざっくりとしたあらすじだけ知っている状態で鑑賞です。
昨今話題になっている「煽り運転」を題材にしたような作品で、50年近く前の作品ですが、ちょっぴり現代っぽさを感じます。ドラレコの発達で世間に認知されただけであって、煽り運転自体はずっと昔からあったんでしょうけど。映像は今の作品に比べれば少々粗いですが気になるほどではありません。良くも悪くも「70年代だから成立する作品」だったように感じます。現代であれば携帯電話やドラレコがあるので、劇中のような煽り運転されたら警察呼んでドラレコの映像見せて終わりです。現代リメイクができない独自性を持った良作だったと思います。
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知人から借金を取り立てるためにカリフォルニアのハイウェイを走行していたデビッド・マン(デニス・ウィーバー)。前方を走っていた大型トラックを追い越したことをきっかけに、トラックはデビッドに嫌がらせを始める。だんだんとトラックの行動は過激になり、ついには命の危険を感じるまでに発展する。
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私も普段車を使っているので、車間距離を異常に詰めてきたり危ない追い越しをしたりパッシングしたりするような煽り運転には何度か遭遇したことがあります。流石にこの映画ほどの危険な運転には出くわしたことはありませんが。「やばい煽り運転に出くわしちゃったらどうしよう」という想像は、日常的に自動車を運転している人は一度は考えたことがあるんじゃないでしょうか。
そんな想像を最悪の形で映像化してしまったのがこの作品です。
圧倒的な重量と圧倒的な馬力を誇る大型トラックが、デビッドの車に猛スピードで突っ込んでくるのです。デビッドが運転する車とは重量の差がありすぎるので、ぶつかられたらひとたまりもないのは容易に予想できます。何よりも、「このトラックの運転手なら殺人だってやりかねない」というのが序盤から丁寧に描写されているので、かなり恐怖を煽られます。煽り運転だけに。
先に述べましたが、この作品は「70年代のアメリカが舞台」という限定的な条件があってようやく成立する作品だったと思います。それがこの作品の素晴らしいところでもあり、現代の日本に住む人にはイマイチ理解できない部分があるなどの弱点でもあります。
もしこの作品が現代のアメリカを舞台にしているなら誰もが携帯電話を持っているのですぐに警察に通報されるでしょうし、70年代の日本が舞台であれば大型トラックに不利な細い道が多いので簡単にトラックを撒くこともできるし、何よりもあんな「見渡す限り荒れ地」みたいなシチュエーションが日本に存在しない。ちなみに現代の日本の大型トラックは速度抑制装置が付いているので150キロも出ないです。
「70年代のアメリカ」という、警察への連絡手段は固定電話しかなく、大型トラックでも余裕で走行できる幅の広い道路が多く、速度抑制装置が無いのでフルパワーで走行できる。こういうかなり限定的なシチュエーションだったからこそ成立できた稀有な作品です。リメイクは多分難しいでしょうね。
謎の大型トラックの非常に危険な運転や、いつまでもどこまでも追いかけまわしてくる異常な執拗さの恐怖感が丁寧に描かれていましたし、ラストシーンにはこの映画に相応しい迫力のある爽快な展開が用意されていますので非常に面白かったです。
不満点を挙げるならば、2点ほど。
一つ目は追いかけっこのシーンが同じような映像が続くので単調でつまらない部分です。トラックが色々と嫌がらせを仕掛けてくるシーンは見応えがありますが、「ただ追いかけてるだけ」のシーンは実に単調。同じ映像使いまわしでつまらないです。
二つ目は、あまりにも殺風景な荒れ果てた大地の連続に違和感を感じるところです。
主人公が道中でエンストしたスクールバスに遭遇するシーンがあるため、近くに学校や住宅があってもおかしくないのですが、途中に登場する建物といえばガソリンスタンドと小さなレストラン程度。学校や住宅に逃げ込み電話を借りて警察を呼ぶという展開になっても違和感が無いのですが、行けども行けども荒野が広がるロケーションには不自然さを感じました。私の考えすぎかもしれませんが。
ほんの些細な不満点はありましたが、満足の傑作です。
若かりしスピルバーグの作品を観たいなら、オススメです。
あおり運転、絶対にダメ!
得体のしれないトレーラーに90分追われ続ける。究極のワンシチュエーション作品です。だからこそ、一度入り込むと最後まで目が離せない。各言う僕も早々に入り込んでしまって、主人公デイヴィッド目線でずっと恐怖を感じながら、目が離せませんでした。
正体の見えないトラックドライバー、理由のわからないあおり運転という状況に対して、人となり、姿形が明らかで、こちらにも理解しやすく恐怖の感じてくれるデイヴィッド、どうしてもデイヴィッドに感情移入してしまいますよね。そういう意味で作品の作り方がうまいですね。デニス・ウィーバーの恐怖の演技もいい意味で一般人的で作品のよさが引き立ってました。
最後の終わり方も、スッキリしないと感じもあるけど、理不尽な恐怖に味わっていたデイヴィッド目線の作品と考えると自然な終わり方なのかなと感じました。
全然関係ないですが、あのトレーラー見てると、マッドマックスを思い出しました(笑)
スピルバーグの原点
主人公はスピルバーグの父親のメタファー
この映画は単なるエンターテイメントと勘違いされることがありますが、決してそうではありません。
監督のデビュー作では監督自身の価値観や人生が色濃く反映されるケースが多く、この映画も例外ではありません。
スピルバーグの映画では「親になれない大人」「親に捨てられた子供」が表現されていることが多く、それが作家性です。
この映画でもその作家性が盛り込まれており、それは主人公がスピルバーグの父親のメタファーであることです。家庭を見捨てていることや不道徳であることが映画の中で多く演出されており(ラジオの内容など)、それがこの映画に深みを与えている要因だと考えます。
YOUTUBEで動画を作成しているのでよろしければそちらもご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Krb574iDh-c
隠れた名作
BSテレ東吹替版で再見。昔はかなりドキドキした記憶があったが、今回...
あおり運転西部劇
早く用を済ませて帰宅しないと妻がうるさい…。ちょっと急いで運転していたある日。
大型トラックを追い越したことから、執拗に煽られ命を狙われることになったビジネスマンDavid。
シンプルなのに面白い。
臨場感溢れる心理戦。
現実問題になっているせいか、煽られる恐怖と鬱陶しさ、理不尽さが余計に緊張感を高めます。
面倒を避けようと常識的に対処を試みて来たDavidが、終盤は覚悟を決めて決闘を受けて立ちます。
冒頭のドライブシーン、もし小津監督が撮ることになってもこの高さじゃないかしら(^^)。コインランドリーの蓋を通して映したり、横転した車体から遠くの絶壁に立つDavidを映したり、カメラのアングルがとても上手いように思いました。
独り言の多い辺りは、若干初心者っぽい作りかな?
あと…振り向き過ぎ(^^)?
前見て走りましょう。
赤い車は目立つわね…。
タンクローリーって改造すればすごく速く走れるものなんですかね。爆発しなかったから積荷もなかったのか?
フェラーリとかランボルギーニとかなら流石に挑戦してこないのかなぁ…。ちょっと観てみたい。
ロードスリラーと呼ぶのでしょうか、最近観た中では“Joy Ride”も、運転手の正体が分からなくて不気味でした。
この男優さんの運転、身体とハンドルの距離がすごく短いです
公開当時は小学生であっただろうか。多分初めて観たのは中学生の頃TVにて。その次の日の遠足では、「昨日の激突見た?」などと映画の話題一色になってたほど。
これが世界の監督スピルバーグの処女作だ!なんてのは後になってから知った。当時でもド派手なアクション映画はいっぱいあったし、こういう人間の心理面中心に描いたサスペンス・アクションは画期的でした。ただし、もちろん車の運転なんて知らない頃だったので免許を取ったあとで再度観たときの方が怖かったです。
一番怖いシーンは、トラックの運転手が手で合図して追い越させようとするシーン。休憩して追いやったと思ったら再び登場するところ等々。大人になって自分でも運転するようになってからは、とにかくトラックを煽らないようにと決めた・・・
90分煽られまくり
原題:Duel
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