劇場公開日 1960年7月7日

黒いオルフェのレビュー・感想・評価

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5.0ユリディスの余韻と残像がもたらす切なさ

2025年2月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

悲しい

怖い

1959(日本は1960)年公開。フランス・ブラジル・イタリア映画。

【監督】:マルセル・カミュ
【脚本】:マルセル・カミュ、ジャック・ヴィオ
【原作】:ヴィニシウス・ヂ・モライス〜戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサゥン』

主な配役
【オルフェ】:ブレノ・メロ
【ユリディス】:マルペッサ・ドーン
【ミラ】:ルールデス・デ・オリベイラ

1.ジャンルは何?

Wikipedia日本語版は、「恋愛映画」という。
Wikipedia英語版は、「ロマンチック悲劇(直訳)」だ。

わたしは、「ファンタジー映画」として捉えている。

試写会に招待された原作者が、
「これは私の作品ではない 」
と語ったらしい。面白いエピソードだ。

それでも、パルム・ドールとアカデミー賞の外国語映画賞を勝ち取った。

勝手な想像だが、本作を高く評価する人と、真逆に評価する人がいるに違いない。
私は前者だが、全くつまらないと感じる人も多数いることは容易に想像がつく。

ジャンル不明だからだと思う。

◆単なる悲恋の物語?
◆リオのカーニバルのPV?
◆ギリシャ神話へのオマージュ?
◆ボサノヴァの魅力を広く知らしめた映画?

いずれも間違ってはおらず、
私がこの作品を何度も繰り返し観たくなるのは、
最初から最後まで、「切なさ」を感じ続けるからだと思う。

2.「切なさ」の正体

「切なさ」の正体は何度観てもハッキリとはわからない。
◆リオのカーニバルの熱狂
◆リオの雑踏
◆オルフェのお気楽ぶり
◆ミラの嫉妬丸出しぶり
どれも、「切なさ」とは、ほど遠い。

ただハッキリしているのは、
アメリカン―フレンチのマルペッサ・ドーンが演じたユリディスのピカイチの存在感だ。

テレビや映画の仕事の傍ら、ナイトクラブで歌手やダンサーとして働いていた彼女は、そこで監督のマルセル・カミュと知り合い、本作のヒロインに抜擢された。
※余談だが、マルセル・カミュとは結婚し、離婚した。

公開当時25歳、監督が魅入られ発掘した才能がオーラを放っているのか、
観客であるはずのわたしは、
理不尽な運命を背負ったユリディスを憐れみ、
そして、作中のオルフェと同じように、
ユリディスを探し続け、
ラストまで、ずっとユリディスの余韻と残像に浸っていることに気づく。

そしてオルフェと同じ道をたどるのだ。
(もちろん、脳内でww)

3.まとめ

撮影技術に特徴があるわけではなく、
ストーリーに取り立てて工夫もなく、
電車や崖から転落するシーンは笑えるくらいに稚拙だ。
だから、「なんでこれがパルム・ドールとれるんや」という人がいてもまったく驚かない。

私の周囲も本作を高く評価する人は少ない。

思うに、

◆ユリディスを探し続けるオルフェに感情移入してしまう人、
◆マルセル・カミュ監督と同様にユリディスの不思議な魅力にやられた人

だけが本作の価値を認めるのではなかろうか?

☆5.0笑

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Haihai

3.0理解及ばず

2023年3月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

元になっているギリシャ神話を知らないので、正直観ていて(なんで?)という疑問が出た。
元を知ってればもっと理解が深く及んだ…のでしょうか…。

作中に登場する歌の良さと、狂乱のカーニバルと裏腹に悲劇へ進んでいく対比が美しい。
光が強いほど影も濃い。

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こまめぞう

4.0名曲揃い

2020年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ストーリーはどうでもよくなってくるほどの音楽の美しさ。思わずギターを取り出して弾きたくなってしまう。オルフェが死んでも次のオルフェが誕生するという、ブラジルの庶民の太陽であるかのように・・・リオのカーニバルも素敵だが、ラストシーンの子供たちの歌とダンスとギターが素晴らしい!「オルフェのサンバ」

 フランス語だったけど ポルトガル版もあるの?

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kossy

3.5前半は素朴な優しさの溢れた映画かと思っていたが後半は悲劇へと展開し...

2019年2月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

前半は素朴な優しさの溢れた映画かと思っていたが後半は悲劇へと展開していく。それはカーニバルの終焉と見事に重なっていた。

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tsumumiki

4.0アントニオ・カルロス・ジョビンとルイス・ボンファというボサノバの二大巨頭を世界的に有名したことの意義は大きい

2019年1月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

60年前のリオのカーニバルを活写した作品
主題歌はあまりにも有名で、映画音楽の全集に収録される事が多い
題名の通り、筋書きはギリシャ神話をそのまま当時のリオデジャネイロの山の斜面の黒人達の住むスラム街ファヴェーラとリオデジャネイロの中心部に置き換えている

物語は神話から比較的素直で単純な置き換えをしたもの
コクトー監督のオルフェの様に何かを暗喩して政治的意味合いを持たせるというようなのもではない

その悲恋物語をリオのカーニバルとボサノバで彩って観せているところが最大のポイントだろう
公開当時、まだそれらはもの珍しく新鮮だったのだ
しかし21世紀の私達にとってはそうではない
だからラストの日の出と共に子供達が歌い踊るシーンなど印象に残るシーンも幾つかあるが、全体としては、現代人の目からすると散漫で退屈と言わざるを得ない
もっと言えばフランス人監督という外国人の目を通したエキゾチズムの映画と言えるのかも知れない

それでも本作はアントニオ・カルロス・ジョビンとルイス・ボンファというボサノバの二大巨頭を世界的に有名したことの意義は大きい
そして、その楽曲の素晴らしさ故に星半個オマケしなければならない

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あき240

4.0リオ

2018年1月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

悲しい

カーニバル。

お祭で乗れない内気な少女。

しかしオルフェのギターと歌には思わず身体が動きだしてしまう。

そういった恋の始まり、鮮やかな映像美全てが輝いている。

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raipyedm