「やっぱりアメリカは黒か白の国なのね。」クリムゾン・タイド カル―ステ・ガルベンキヤンさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱりアメリカは黒か白の国なのね。
結論を言うと、アメリカの原子力潜水艦、アラバマ号で、白人のシーン・ハックマン艦長と黒人のデンゼル・ワシントン副長が無線が切れて、命令が分からずおまけに水中なので何が起こっているか全く分からない中、お互いが対立し乗員が二つのグループに分かれてしまう。核ミサイルを撃つのか、撃たないのか?この点をめぐって対立する。
ロシアで政府軍と反乱軍が戦い、映画の最初では反乱軍が優勢。そこにアラバマ号が出動し第三次世界大戦に備える。ロシアの潜水艦が現れ、魚雷を先制されるが何とか「デコイ(魚雷を引き付けるおとり)」で何とか直撃は免れていたが、1発が近距離で当たり、浸水区画で作業している兵士数人が、残りの全員を助けるためハッチを閉じて犠牲になってしまう。ハッチを閉める命令を出したのはワシントンだった。
交戦中に無線を傍受するワイヤーが切れて命令書が「核ミサイルを・・・」と命令全てを確認できなかった。ハックマンは核ミサイルで攻撃すべき、と言うがワシントンは「命令書を確認するのが先決」と対立する。
他の兵士はどちらの命令に従えば良いのか戸惑う中、ワシントンは副長でありながら艦長を自室に閉じ込め、自分が指揮を執る。
しかし、厳密には艦長が潜水艦の指揮を執るので、艦長派の兵士が逆襲する。しかし、ワシントンも策をめぐらし、逆襲。
最後は艦橋で二人で対峙する。正式な命令書がハックマンが攻撃命令を出す1分前に届き、反乱軍が負けてロシアは政府軍に治められる。これによって、反乱軍が核ミサイルを撃つことはできず、ワシントンが指揮を執ることになった。
全てが終わった後、海軍本部に二人は呼び出されるが、ハックマンの証言のみによりワシントンは無実。しかも、ハックマンは引退し、アラバマ号の艦長にワシントンを推薦したのだった。
最後はハッピーエンドだが、艦長に副長が反抗するとか、普通の軍隊では起きえなかったことが起きたのが珍しい映画だった。
最後に「核ミサイルを撃つ権限があるのは、艦長では無くアメリカ合衆国大統領である」とナレーションが入り、暗にこの映画は命令違反だと言っているようだ。
ちなみに、クリムゾン・タイドとは潜水艦アラバマと同じアラバマ大学のスポーツチームの名前だそう。ハックマンが「アラバマ」と書いてある帽子を頻繁に脱いだり被ったりしているのは、アラバマ大学出身と言うことを言いたかったのかな?