劇場公開日 1995年10月10日

「「学級会を、はじめます」(inオハイオ級潜水艦)」クリムゾン・タイド かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 「学級会を、はじめます」(inオハイオ級潜水艦)

2025年9月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

監督はトニー・スコット。
主演ジーン・ハックマンとデンゼル・ワシントン。

【ストーリー】
第一次チェチェン紛争(1994〜1996年)。
超国家主義をかかげたチェチェンの反乱により、ロシア強硬派が核の使用をほのめかし、アメリカをはじめとした世界に緊張がはしる。
嵐の中、あわただしく米海軍が対応、潜水艦アラバマが出航する。
アラバマの艦長、海軍たたきあげのラムジー(ジーン・ハックマン)の部下に、ハーバード大卒のエリート、ハンター(デンゼル・ワシントン)が副長に就任する。
潜航する潜水艦アラバマ。
行動3日目、キッチンで火災が発生、死者が出てしまう。艦員たちに動揺がひろがる。
6日目、司令部より第一警戒体制の指令。
ロシアの核ミサイル危機が、高まったという。
12日目、カムチャツカ沖にて潜水艦とおぼしき艦影を発見。
同時に司令部より、10基の核ミサイル発射コードを受けとる。
最終命令待ちのなか、前方の艦影はロシアのアクア級、ハンターキラー(対潜水艦戦力)と判別された。
眼前に敵、海面に浮上して通信が取れない状況の中、核攻撃を強行しようとするラムジーと、リスクを背負っても情報のアクセスを主張するハンターが衝突し、艦内が二勢力に分かれてしまう。

「世界でもっとも力のある三人、それは合衆国大統領とロシア大統領。そして、合衆国艦隊の弾道ミサイル搭載、原子力潜水艦の艦長である」
——冒頭より。

事前に知っておくべき知識として、かつてソ連には「死の手」という核反撃プログラムがありました。
これは外国、おもに西側からの攻撃には、全地球の敵基地へ無差別に反撃するっていうイカれたもの。
現ロシアもそのシステムを継承していると考えられていて、大国を核攻撃するということは、そういう結果を考えなきゃいけない。
これに関しては、アメリカや中国も近しいシステムを持っているはずで、つまり核兵器は一つでも撃ちこんだら、反撃が反撃を呼んで世界規模で猛烈なる破壊がひろがり、人類に破滅がもたらされるんです。
それが冷戦構造と呼ばれるにらみあいの根幹に横たわっていた、相互確証破壊とよばれた、「メキシカン・スタンドオフ」、つまり致死部位への銃の突きつけあい。
これが冒頭文の意味。
人類こわ。
そういった攻撃と抑制の葛藤を、潜水艦内でやっちゃうっていう人類の心の内面を、役柄わりふって撮った映画とも言えますね。

深夜番組の録画で見たんですが、やっぱデンゼル・ワシントンいいですな。
ジーン・ハックマンも、ゆうづう利かないオジイをやらせたら活きる活きる。
地上波放送だから吹き替えなんですが、二人とも専属の声優さんで安定感じゅうぶん。
ストーリーのメイン部分はこの艦長と副長の対立。
どっちつきゃいいのこの空気って焦げくさいフンイキ。
モロあれですよね、学級会で男女に分かれて紛糾するやつ。
じぶん日和見気質だから風見鶏でいたいのに、男女で対立されると否応なしにどっちか(おもに口げんか負ける方)に割りふられてしんどかった思い出。
艦の搭乗員たちも、ヒソヒソしながらどっちにつくのがいいのか、それぞれ身の振りかた考える。
『蝿の王』のような、閉鎖空間での心理劇からの衝突ストーリー。
実際のオハイオ級にはそんな能力がないので、脚本段階で海軍から協力を蹴られたそう。
しかたなしに外観は映像は自前でヘリ出して撮ったとか。
それでも専門用語は軍隊的、ダメージコントロールなどの撮り方もしっかりしていて、潜水艦ものとしてもつくりは手がたい。
艦内のセットもちゃんと潜水艦っぽいし、爆沈シーンはド迫力。
ツッコミどころもそんなにない、作りのよさが光ります。

日本版Wikipediaでは、脚本にタランティーノが記されてるんですが[要出典]で、英語版には見当たりませんでした。
ううむ…。

かせさん
光陽さんのコメント
2025年9月2日

学級会って 笑。

光陽