「完全な密室での【疑心暗鬼】」クリムゾン・タイド Natsukiさんの映画レビュー(感想・評価)
完全な密室での【疑心暗鬼】
なぜかDVDでは低画質なものしか出てなくて
長いこと観たくても観ずに我慢してたけど
ようやくブルーレイで高画質版が出たんで買った
今観ても古さを全く感じさせない完成度で
逆に今作られたかのように現代的なテーマと
映像と音楽と編集と役者の演技が【ハイレベル】
今作られていたらアカデミー賞の作品賞を獲れたと
言い切れるほど素晴らしい密室劇
なぜアカデミー賞の作品賞にノミネートすらされなかったかと
いうと 恐らく ハリウッドがコノ手のジャンルを軽視していた
時代だったのと あのプロデューサーだったからかも・・・
開巻お約束のクレジットで 80年代を象徴するコンビ
【ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマー】の文字が出る
女と金とドラッグに溺れて波乱の短い生涯を終えた
色んな意味で映画史に残る名プロデューサーのドン・シンプソンは
やはり最後もドラッグで命を落とした・・・
『トゥルーロマンス』のクライマックスに出てきた映画プロデューサーのモデル
とも言われる彼が まだハリウッドを牛耳っていた頃の作品
という事でオープニングからハリウッドの黒歴史も垣間見える面白さ
超傑作『トゥルーロマンス』同様に
トニー・スコット監督と音楽のハンス・ジマー
脚本のリライトをノークレジットでクエンティン・タランティーノという
究極のハリウッド最強トリオが再集結した傑作
今観ると
デンゼル・ワシントン
ジーン・ハックマン
ジョージ・ズンザ
ヴィゴ・モーテンセン
ジェームズ・ガンドルフィーニ
・・・他多数
とキャストもかなり豪華
同じくトニー・スコット監督の傑作サスペンス『エネミーオブアメリカ』の
サブキャラの【隅から隅まで】豪華キャストな面々に 数こそ
負けるが みんなとても素晴らしい
ジーン・ハックマンがトニー・スコットの象徴である【赤いキャップ】を
常に被っているのも面白い
外界からの連絡が途絶えた潜水艦という
完全な密室で それぞれが疑心暗鬼になり
間違った行動をとる という大筋は
後の『ミスト』等と同じ構造で非常にスリリング
『フォーンブース』の様に狭い空間のみの演技合戦は
舞台作品のように緊張感で溢れていて 脚本も
ラストまで2転3転するので全く目が離せない
タランティーノが脚本のリライトを行ったおかげで
恐らく【映画クイズ】や【『スタートレック』ネタ】が
追加されたと思われるが それがまた効果的
潜水艦の乗組員を【スタートレックのクルー】に見立てて部下を
鼓舞するデンゼル・ワシントンは映画世代には理想の上司
この作品は
現代映画のエキスが濃厚に詰まった映画好きの為の映画