「後世に語り継がれる一本には至らず」グラディエーター うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
後世に語り継がれる一本には至らず
何と言っても、ラッセル・クロウの役作りに尽きるだろう。悪役のキャラも立っているし、映画の基本的な構造が本当によく作りこんである。
それでも、残念なことがあるとするなら、このジャンル、仮に史劇スペクタクルとでも言おうか、には、「ベン・ハー」という金字塔があり、世界中の映画ファンに愛されている。それを超える映像を目指してほしかったが、そこに至らないのは、何といってもアクションのリアルさが、やや足りなかったことだろう。
最大の見せ場の、虎と闘うシーンはさすがの迫力ながら、そこに限界があることは理屈で分かる。虎を殺すわけにいかないし、人間を襲わせるわけにもいかないからだ。しかし、後年に「ライフ・オブ・パイ」が製作され、CGを駆使して描かれた飢えた虎はとてもリアルだった。
今見ると、どうしてもそこの部分も含む演出に本当っぽさというか迫力が足りないと思う。後世に語り継がれる一本にならなかったのは、そういうことだと思う。
2018.6.12
コメントする