劇場公開日 1990年10月19日

「ニューヨーク裏社会見物ツアー」グッドフェローズ pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ニューヨーク裏社会見物ツアー

2021年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「午前十時の映画祭」で鑑賞。

オープニングからつかみはバッチリ。軽快なBGMとともに、観客を一気にニューヨークの裏社会に引き込む手際は、さすが名匠スコセッシ。

モノローグの手法と、流麗なカメラワーク。そして全編にわたってポピュラー・ミュージックが効果的に使われ、テンポよく物語は進んでいく。

そして、デ・ニーロ。彼がそこにいるだけで――たまらない、超カッコいい、作品の値打ちがぐっと上がる気がする。並の役者にここまでの凄みは出せない(たしかにジョー・ペシの演技も強烈な印象を残すが、この作品の価値を上げているのは間違いなくデ・ニーロである)。

中盤ちょっと失速気味に感じた(主人公が明確な目的を持っていないストーリーを、退屈させずに見せるのはなかなか難しいですね)けれど、終わってみれば、ニューヨークの裏社会見物ツアーに参加したようで、かなり楽しめました。ワルの世界、映画で観ているぶんには、いくらでもOKです。

昔、村上春樹のエッセイの中で、ドアーズのジム・モリソンの歌唱を評して「肉の焦げる匂いがするようだ」というようなことが書いてあったけれど、まさにスコセッシのこの映画も、そんな焦げた匂いのしてくるような、ザラリとした感じを観る者に与えるワイルドな作品です。

それにしても「義理と人情」の世界に生きて、自分の命惜しさにそのどちらも捨ててしまったヘンリー。ちょっと情けないような……。

peke