偶然の旅行者

劇場公開日:

解説

ある失意のライターがたどる心の交流を描くロマンティック・コメディー。アン・タイラーの同名小説の映画化で、エグゼクティヴ・プロデューサーはフィリス・カーライルとジョン・マルコヴィッチ。製作・監督・脚本は「シルバラード」のローレンス・カスダン、共同製作はチャールズ・オークンとマイケル・グリロ、共同脚本はフランク・ガラチ、撮影はジョン・ベイリー、音楽はジョン・ウィリアムス(2)が担当。出演はウィリアム・ハート、キャスリーン・ターナー、ジーナ・デイヴィス(89年度アカデミー賞助演女優賞)ほか。

1988年製作/アメリカ
原題または英題:The Accidental Tourist
配給:ワーナー・ブラザース
劇場公開日:1989年10月28日

ストーリー

仕事の旅から戻ったメーコン・ラリー(ウィリアム・ハート)は、妻のサラ(キャスリーン・ターナー)から家を出て行く決心を告げられる。去年の夏、彼らの1人息子がキャンプ地での強盗事件に巻き込まれ、不慮の死を遂げて以来、2人の間には目に見えない溝が広がっていた。メーコンは旅慣れない人たちのために現地で取材した実用的な情報を提供するビジネスマン向けの旅行ガイドブックのライターだった。几帳面な彼は独り暮らしになっても家をきれいに保とうと努力するが、初めての家事に大いにまごつく。仕事からやっと帰り着いても待っているのは誰もいない荒れた家という有り様に、メーコンの心に、空しく冷たい風が吹き抜けていく。そんな時彼は足を骨折し、兄弟のポーター(デイヴィッド・オグデン・スティアーズ)とチャールズ(エド・ベグリー・ジュニア)、妹ローズ(エイミー・ライト)の住む祖父母の家にしばらく身を置くことになった。辺りかまわず吠え散らし、誰にでも噛みつく愛犬エドワードを何とかしようと、メーコンはミュリエル(ジーナ・デイヴィス)という犬の調教師を雇うが、8歳の病弱な息子アレクサンダー(ロバート・ゴーマン)と2人暮らしというこの風変わりな女性と行動を共にするうちにメーコンはミュリエルの新鮮な魅力にひかれてゆくのだった。しかしそんな時、彼のもとにサラから連絡があり、2人は再びヨリを戻す。相応の冷却期間のおかげか、2人の仲は昔のように円満だった。ある日メーコンは仕事でパリに向かうが、その飛行機には秘かにミュリエルも同乗していた。強引なミュリエルにメーコンは当惑するが、ある夜彼が急病に倒れたことで、アメリカから飛んできたサラはミュリエルと鉢合わせしてしまう。こうしてメーコンは、パリの山の中で2人の女性の間をさまようことになるが、結局はミュリエルの大らかな愛に気づき、パリを旅立とうとする彼女をつかまえるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 ゴールデングローブ賞(1989年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
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映画レビュー

3.0面白くないことは保証しますが、合う人には合う

2021年9月22日
PCから投稿

10人に勧めたら8人から総すかん食らうでしょう。恐ろしく退屈です。
話はどってことなく盛り上がりナシ、脚本普通、役者普通、映像普通、この年の最優秀作らしいですが、まあ普通の人は飽きるでしょうね。ドラマチックもサスペンスもダイナミズムもありません。裏返せば演出が好みに合うかどうかだけが評価の基準になります。
ただ、小津安二郎みたように、はまる人にははまるかもしれないような気はします。小津だって普通の人には恐ろしく退屈ですから。
私はそこそこ面白かったのでまあ拒否体質ではないんでしょう。あくまでも、そこそこです。もう一度観ることはないでしょう。

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越後屋

3.0ペットショップで・・・

2020年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 夫メーコンへの愛は残っているが息子を失った夫婦の性格の違いが原因で別居。「一緒に悲しんで落ち込みましょうよ」と言わんばかりの妻サラ(ターナー)。なんだか仕事をする男の立場からするとウィリアム・ハートに共感してしまう。淡々と旅行ガイドブックを書くための旅行をする雰囲気も痛いほどわかるのだ。

 ミュリエル(デイヴィス)の性格もよくあるタイプ。同じように離婚経験者ということもあってか、かなり積極的な性格に感じる。それでも彼女に息子がいることがネックとなって一線を越えられない微妙な関係。

 よりを戻すメーコンとサラだったけど、ここでも彼女の性格は戻ったまま。「1年の間、誰かと寝たんじゃないかと心配じゃないの?」というセリフは息子のときと同じだ。この性格のぶつかりあい。パリへ取材へ行く際に偶然を装ってメーコンと機内で鉢合わせするミュリエルだったけど、サラのようにキレることない大らかさがいいなぁ。男をも犬のように調教するんじゃないかと思ったけど、逆に仕えたいような態度だっただろうか・・・

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kossy

5.0意外と身につまされる

2019年10月3日
Androidアプリから投稿

多分、アイルランド系と思われる
(緑のジャケット、ジャガイモ、質実剛健、文筆の才、風変わり……方向音痴?)
兄弟(妹)の暮らし振りが 面白い
あまり他人とは関わらない人々である

そして、その中の一人である主人公メイコン(ハート)が 「アクシデンタルツーリスト」というガイド本を執筆している!

彼が 我が子を失い、夫婦関係もギクシャクし、離婚の危機に陥り(不測の事態)
ミリュエルという女性と出会ってしまう(想定外)

この時の 別々に悲しみに沈んでゆく夫婦の姿や
他の女性に癒されてしまう主人公が 切ない
優柔不断だが 妻と女性の選択に悩むところも
じんわりと理解
慣れ親しんだ環境への愛着が強い人々が
多いことも
(旅人なんてなりたくないのね)

アメリカのガレージセールの服から
フランスのフリーマーケットのに着替えた
ミリュエル(デービス)が美しい
彼女は 旅人なのか

妹の家庭が、兄弟の生活に 吸収合併されてしまうのもおかしいが、妻サラが この枠組みから外れてゆきそうなのは、気の毒にも思える
(中高年になると… )

大人の話で 地味だが、重苦しい前半を 犬の活躍が、後半は子供の愛らしさが 画面を明るくする
人生を「旅」に上手く重ねた作品

謎のお兄ちゃん達の暮らし振りが 気になります…

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jarinkochie

3.5演技と演出が自然

2013年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 二人の女の間で揺れ動く、自分の感情を押し殺して何を考えているのかわからない男の恋愛模様を描く作品。

 彼は控え目だし心をなかなか開かないし自ら一歩を踏み出そうとしない。自分の殻に閉じこもって退屈そうな生活を頑なに守り、その代わりにちょっとした平穏を得ている。そんな彼が一人のかなり積極的な女性との出会いで変わっていく話なのかと思ったが、必ずしもそうでもない。別居中の妻が現れた後の彼の姿勢はちょっとずるいなとも思ったが、でもこの状況ならば多くの人は彼のようにするのかも。
 かなり積極的に誘ってくる女性の登場ということを除けば似たようなことはどこにでもありそうだが、揺れる心と三人の関係の変化が良く描かれているし、それを表現した演技力と自然な演出がこの作品の質感を高めていた。

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Cape God