「悲しいがナィーヴで美しい」禁じられた遊び(1952) あま・おとさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しいがナィーヴで美しい
よい映画だと思った。
冒頭シーンが鮮烈。逃げ惑う人びとを機銃掃射がしつこく追う…。まるでゲームのシーン。しかしターゲットが生身の普通の人間たちだから気分が悪い。機銃掃射の玉が、速く鋭く重い、凄いパワーをもったヤバいものだと、ビンビン伝わる。尊厳だの思いやりだの命の尊さなんぞかけらもない。私たち人間はこんなことをしているのだよと、しょっぱなからガーンと叩きつけられた。
ポーレットとミシェルの弔いごっこの世界は、それとは真反対な世界だった。虫けら一疋のいのちでさえ神秘に満ちたものとして丁寧に扱われる。そこには安らぎ、共感、慰めがある。大好きなポーレットのためにミシェルは様々な十字架を掻き集めてくる。そうして出来あがった墓の山の数々は、なんと温かみがあり美しいことか。
田舎人と都会人(ユダヤ人?)の対比、カトリック教会のありかた、ドレ家の良心的だが現実的で鈍感な人びと、兵役など、色々な角度で気になる
でも何より子役ふたりのきれいな瞳と、せつなく美しい音楽、それらのナィーヴな魅力にこころをぐいっと掴まれる。
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