「ナルシソ・イエペスのギターは長調で終わる。」禁じられた遊び(1952) マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
ナルシソ・イエペスのギターは長調で終わる。
さて、この少女の運命をどう見るかなんだが『少女終末旅行』や『この世界の片隅に』と同じ結末もあるのではと考えている。
ポーレットにとっての終末旅行なのかもしれない。勿論、この監督はそう描いてはいない。しかし、その表現には、ナチスに屈して悲劇を産んでしまったフランス人の贖罪が、込められている様な気がする。
原題と邦題は同じ『禁じられた遊び』だが『何が何に対しで禁止されているのか?』と考えると『奥が深い答え』が見えて来る。
それが見えた時、私は鳥肌がたった。『逃げろ!ポーレット!』と思った。しかし、思い過ごしか?ナルシソ・イエペスのギターはそれまでの短調から一転して、長調で『FIN』があらわれる。
返信遅くなり申し訳ありません。
マサシさんの落語についての豊富な知識に驚いています。小生は全くの素人です。ただ社会人になりたての頃、口下手の欠点を少しでも克服するために落語をテレビで聴くようにしていました。人と接する苦手意識からですが、会社ではオヤジギャグ連発で顰蹙を買っていましたね。大好きな落語家の一人に春風亭柳昇さんがいます。演目では「千両みかん」がいいですね。
立川談志さんが「禁じられた遊び」に感動したことを知って、更に好きになりました。色んな文化人や芸術家がどんな映画を好きかも、その人を知る上で参考になると思われます。また淀川長治さんが谷崎潤一郎にマックス・オフュルスの「歴史は夜作られる」、三島由紀夫にはサダジット・レイの「大地のうた」を薦めたら、面白くなかったと返されてとてもガッカリしたとあり、映画の好みは人其々であり、それも含めて映画の面白さと考えてきました。
映画から得た知識だけでは不十分なのを承知しながら、世の中の事を映画繋がりで観察する癖が付いてしまいましたね。これが私の限界です。
マサシさん、コメントありがとうございます。
映画を時に斜めに観る癖のある小生でも、この映画には素直に感動しました。クレマン監督は第二次世界大戦で陸軍の撮影班に在籍した経験から「鉄路の斗い」と「海の牙」(未見)を製作しましたが、緊迫感のあるドキュメンタリータッチが優れていました。後にパリ解放の集大成「パリは燃えているか」もありますね。しかし、この「禁じられた遊び」は物語の中に戦争の残忍さと大人社会の責任が込められても主張せず、優しい語りの演出に映画としての神聖さを感じます。この映画を忘れられないと生涯のベストワンに選出したひとりに、最も理知的な落語家の立川談志さんがいらっしゃいます。(もう生きてるのが厭になっちゃったくらい感動)されたそうです。素晴らしい表現ですね。
伴奏音楽は予算が無く、偶々顔見知りのナルシソ・イエペスに依頼して「愛のロマンス」が大ヒットしましたが、巨匠アンドレス・セゴビアだったらまた違った映画になっていたかも知れませんね。でも結果的にイエペスの音楽が、更に映画の完成度を高めたことは間違いありません。映画音楽が流行曲の大きなジャンルとして地位を確立した記録すべき名曲、音楽を聴いて映画の感動が蘇る世代の代表曲と言えますね。