キングコング2のレビュー・感想・評価
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コングの悲劇
最近はそうでもなくなったが、よく聞く映画界のジンクスの一つに、“続編は駄作”。
それを地で行ってるのが、この『キングコング2』だろう。
特撮やスケールも見るからに質落ち。陳腐なストーリーに失笑やびっくり仰天オンパレードのトンデモおバカ設定…。
よくこれで作ろうと思ったもんだ。
そもそもの始まりがトンデモびっくり…いや、冒涜レベル。
前作のラストで世界貿易センタービル天辺から落下し、息絶えたコング…。
と思いきや、生きていた!…って、前作の感動を返せ。
あれから10年。コングは蘇生装置で昏睡状態。心臓がどんどん弱っていく。早く人工心臓の移植手術を行わなければならないが、それには血液が足りない。
が、コングと同じ血液を持つ存在など、地球上に居ない。コングの命ももはや絶望…。
コングの命を必死になって救おうとする今回の主人公=エイミー博士(演・若きリンダ・ハミルトン)だが、人工心臓で蘇生させようって…。いっその事サイボーグ化してメカニコングにすれば?
そんな時、居た! コングと同じ血液を持つ存在が。
ボルネオ島にて、都合よく取って付けたように現れたもう一頭のコング。
発見者である冒険家ミッチェルと交渉し、アメリカに輸送され、輸血しながらの世紀の大手術!
途中人工心臓が落ちそうになる謎のアクシデントが起こるも、手術は無事成功。
遂に蘇生したコング。もう一頭のコングの声を聞くや否や、心臓手術を終えたばかりで絶対安静が必要な中、突然暴れ出す。
と言うのも、もう一頭のコングはメス。“レディコング”であった…!
前作で美女と悲恋に終わったコングの今回のお相手は、若きリンダ・ハミルトンではなく、レディコング!
…と言うのも安直な発想。
これまた安直に想像出来るコングとレディのラブストーリー。
レディを助け、二頭は逃避行。
地球規模の壮大なラブストーリーが始まるのかと思いきや…
山中にて戯れるコングとレディ。
チープな着ぐるみゴリラショーを見ているかのよう。
こんなの子供だって喜ばない。当時、世界中の劇場のあちこちから失笑が漏れた事だろう。
これじゃアカン。製作側もそう思ったか否か知らないが、その打開策として突如放り込んだのが、リンダ・ハミルトンのおっぱいポロリ。
戯れる二頭のコングを覗き見して、人間側も発情したのか、唐突のラブ展開にまたまた呆然…。
二頭をこのままそっと…させないのが人間。
居場所を突き止めた軍が攻撃開始。
前作よりコングvs米軍の構図なのだが、主に山中で一個部隊との闘いなので、どうもスケールショボく感じる…。
レディは再び囚われ、川に落ちたコングは岩にぶつかり、血を流して…。
コングもさすがにこれでお陀仏…いやいや、まだまだ生きていた。
沼地をワニを食べてさすらい、ハンターに爆弾で岩の生き埋めにされるも、脱出してハンターども食い殺し、レディを助ける為、アメリカ各地を珍道中。
これからエッチしようとするカップルを覗き見したり、ゴルフのボールが当たったり、何故かその様が滑稽。
しかし、コングの人工心臓にも限界が…。
エイミーとミッチェルもレディが囚われている倉庫へ。
エイミーが気付く。レディは妊娠しているわ…!
コングとレディ、いつの間に…!?
助けに現れたコング。感動の再会。
軍が再び攻撃。レディを守り、被弾するコング。
軍を蹴散らすも、深手と大量出血で虫の息。
その時、レディが出産。ベビーコング誕生。
我が子の誕生を見守り、コングは遂に息絶える…。
リンダ・ハミルトンの泣きの演技、感動的な音楽で盛り上げるも、何これ…?
呆れを通り越す茶番劇。
人間の強欲によって殺されかけたコングを、人間が罪滅ぼしで蘇生。
そしてまた、人間の傲りによって2度も命を奪われる。
真面目にやればそんなメッセージも込められるのに、全く伝わってこない。
二匹目の泥鰌狙い。ラウレンティスよ、そんなに金を稼ぎたかったのか…? ギラーミンよ、そんなに仕事が無かったのか…?
全く目も当てられないってほどではないが、せっかく復活してとんだ駄作っぷりに、これぞ本当の意味でのコングの悲劇。
にしても、キングコングの映画がこれで終わらなくて本当に良かった。
やがてベビーコングは神クオリティーに成長し、髑髏島の巨神になり、日本の怪獣王と再戦を…なんてね。
続編に名作なし…の代表格…か?
WOWOWのキングコング特集にて。
前作から10年後の続編。
監督はジョン・ギラーミンが続投…なのに、前作でみられた技巧的演出は全く影を潜め、ほとんど工夫のない単調な画面作りに終始している。
ギラーミンは既にキャリアの末期だったのか、本作以降で名前を耳にした記憶がない。
まぁ、オリジナルの続編『コングの復習』('33)も観るところがない映画だった。ただ、あれは前作のヒットを受けて急ごしらえした続編だった。
一方、本作は10年もの時間を隔てての製作で、その目指すところは何だったのか。前作の余韻など既になくなっていたはずだ。
前作のラストシークェンスがイントロに流用されているが、本編のキャストは完全オリジナルで、名のある役者はリンダ・ハミルトンくらいだ。ハミルトンにしても『ターミネーター』後ではあるが、『ターミネーター2』以前なので、看板と言える存在でもない。
とにかく、いい加減な映画である。
コングカップルの着ぐるみショーは、ダラダラと絞まりがなく、舞台の森林セットは恐るべき安普請だ。
もはやコングの所有権・管理責任の所在などどこかに行ってしまい、頭に血が上った軍人とコングの闘いが展開するのだが、これにしても地上戦だけのスケールの小ささだ。
ただ、観るべきところが全くないわけではない。
軍の施設に囚われたレディコングを救出する場面は、スリリングだった。
最後はメロドラマで締めるのだが、ベビーコングが小さすぎないか?みたいなことが気になってしまう。
この脚本でちゃんと泣いてみせるのだから、役者はすごい。
1976年の作品は観ておらず、1933年版からいきなりの「2」視聴...
心臓ばくばく
当時の続編モノには無理のある作品が多かった。それでも宣伝はかなりセンセーショナルだった記憶がある。
クレーンで運んだ人工心臓がガタっと落ちそうになるシーンなど、意味もなくハラハラさせられる手法。しかし、その後はそれほど昂揚感があるわけでもなく、なんとなくコミカルに展開していくような・・・また、医師であるリンダ・ハミルトンと冒険家(?)の男が関係を持つのが早すぎるため、彼らに感情移入することもできない。
軍隊とコングとの衝突や、谷間でハンターたちが爆破させる視覚効果もチープなもの。序盤の特撮技術がかすんでしまうくらいなのです。
ストーリーにしたって、せっかく感動した前作を冒涜しているし、安易にレディー・コングを登場させることも馬鹿げている。はい、二匹とも死にました・・・けど、赤ん坊が生まれましたのでハッピーエンドです!と言われてもねぇ~。それに、音楽も『未知との遭遇』にどことなく似ているところがどうもひっかかる。
ちょっとだけ良かったのは暗に軍隊批判をしているところかな。
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