KIDS(1995)

劇場公開日:

KIDS(1995)

解説

セックスとドラッグ、アルコールと暴力が日常となったNYのストリート・キッズの生態を、ドキュメンタリー・タッチで赤裸々に描いた異色の青春映画。監督は『タルサ』(71)、『ティーンエイジ・ラスト』(83)の2冊の作品集で話題となった写真家ラリー・クラークで彼の初監督作品。脚本は、スケートボーダーだった高校生の時にクラークと知り合い、19歳で初のシナリオである本作を執筆したハーモニー・コリン、製作はケイリー・ウッズ。エグゼクティヴ・プロデューサーは、『タルサ』に影響された映画「ドラッグストア・カウボーイ」を監督したガス・ヴァン・サント、パトリック・パンザレッラ、マイケル・チャンバース。撮影は、「マイ・プライベート・アイダホ」などヴァン・サント組の常連エリック・アラン・エドワーズ、美術はケヴィン・トンプソン、編集はクリストファー・テレフセン。音楽はルー・バーロウとション・デイヴィスがスコアを書き、ランダル・ポスターの監修の下、フォーク・インプロージョン、ダニエル・ジョンストンなどが挿入曲を提供。主演は全員素人の少年少女ばかりで、ヒロインを演じたクロエ・セヴィニーは本作以降、人気ブランド〈ミュウミュウ〉のイメージガールも務め、ストリート・キッズのアイドルとしてその言動が注目される存在とまでなった。

1995年製作/アメリカ
原題または英題:Kids
配給:松竹富士(松竹=アミューズ提供)
劇場公開日:1996年7月13日

ストーリー

ある夏の暑い日の午後、NY。テリー(レオ・フィッツパトリック)はいつものようにバージンの女の子を首尾よくモノにし、例によって親友キャスパー(ジャスティン・ピアース)にそれを自慢気に話しながら街をブラついている。仲間がたむろしているポールの家に向かうと、ビールを飲み、ドラッグをキメ、陽気にとりとめもなくセックスの話で盛り上がる。一方、ルビー(ロザリオ・ドーソン)の家では、ジェニー(クロエ・セヴィニー)たち5人の女の子が、やはりセックスの話で盛り上がっている。ジェニーは、バージンを奪ったあと、知らんぷりを決め込むテリーを許せない。経験豊富なルビーは、自分の体験談をおもしろおかしく話す。その後、ジェニーとルビーはHIV検査の結果を聞きに行く。ルビーは無防備なセックスが多いのでちょっと心配だ。テリーとのセックスしか経験のないジェニーは、彼女のお供で検査を受けただけだ。しかし、HIVポジティブの宣告を受けたのはジェニーの方だった。突然のことに、彼女はどうしたらいいか分からず、呆然と街をさまよい歩く。ジェニーは、とにかくテリーに会ってこの事実を伝えようと彼を捜し求める。途中で、タクシーの運転手が慰めてくれた。一方、そんなこととは知らず、テリーはキャスパーと一緒に公園で売人からドラッグを買い、ケンカで黒人の男を半殺しの目に遇わせる。そして、前からお目当てのバージンの女の子ダーシー(ヤキーラ・ペグエロ)を誘い、仲間たちと夜のプールに忍び込んで遊ぶ。友達の両親が留守なのを幸い、上がり込んで小さな子供たちも含めて乱交パーティ。皆が疲れて眠った頃、ようやくテリーの居場所を捜し当てたジェニーがやって来るが、彼はダーシーと事に及んでいる最中だった。それを見て何も言えなくなったジェニーは疲れて眠り込むが、起き上がったキャスパーが彼女を犯した。朝が来て、テリーのモノローグ「僕はセックスのことしか頭にない」。寝ぼけまなこのキャスパーの「マジかよ?」と言う呟きで映画は終わる。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第48回 カンヌ国際映画祭(1995年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ラリー・クラーク
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映画レビュー

4.5ヤりたい盛り

2021年1月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

駄話の如く男側と女側からの下ネタの応酬、アレくらいの歳なら許容範囲内、、にしてもクソ野郎過ぎて共感出来ない若者像。

この後にラリー・クラークが写真家であることを知ったし一貫してリアルな若者像を撮り続けるスタイルは廃れずに、ハーモニー・コリンの映画監督としての存在感、クロエ・セヴィニーはクセのある女優に、ハロルド・ハンターは90年代ニューヨークのスケートアイコンとして伝説に、ジャスティン・ピアーズも逝ってしまった。

やはりG・V・サントの目の付け所とセンスの良さ、あらゆるカルチャーの先駆的な人物が揃い踏みな本作の新たな時代の不良像。

キャスパーを筆頭に黒人を集団リンチ、そんな酷い場面に流れるのはダニエル・ジョンストン、お陰で和めてしまうギャグ的な!??

90年代以降、あらゆる青春映画的な傑作も最近を含め、本作の堕落した不謹慎さを超えるのは、まだ無いかなぁ、と久々に鑑賞して思った。

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万年 東一

2.0これなら写真集でいい。

2019年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

映画として見たらやっぱり駄作かな。切り取った美しさはありながら。
映像作品として評価したらいいんだろうけど、映画は画だけでは要素としては足りない。

たぶんこの作品の一番の欠点は「時間」を意識していないところ。流れではなく断片の寄せ集めに終始している。これなら写真集でいい。画にインパクトがあるしパラパラと眺めるには優れた作品になっただろう。
他、とくにないかな。

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okaoka0820

4.0飽きずに見られた

2018年12月12日
iPhoneアプリから投稿

クズすぎるよ、、と思いながらも見入ってしまった。

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齋藤直紀

4.0思ってたより…

2018年2月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

よくファッションデザイナーなどが影響を受けた映画として本作を挙げることが多く、かなり前から気になっていたのでDVDを購入し鑑賞。予想以上に生々しい描写で驚いた。
ストーリーは単純で、HIVが流行した時代で若者が性行為と薬物乱用を繰り返すというもの。
まず、男のキャラクター全員は頭おかしくてマリファナやってラリって、軽い犯罪も犯しながら、頭は性行為のことしか考えていないってことだけが本作を通して伝わる。そこには人間関係のいざこざも特に無く、HIVってものが影に潜むってことだけが描かれる。
その性行為の描写と小さい子供が薬物をやってる描写から、現代ならコンプライアンス的に絶対に製作できない映画だと感じた。
本作は製作総指揮がガス・ヴァン・サントってこともあって、事実を綴ったドキュメンタリー映画と捉えれば、「エレファント」に似ているのかもしれないが、あの映画からは何かしらキャラクターの感情の変化が汲み取れたし、何しろ演出にこだわりを感じた。その点、本作は若者が欲望によって堕落した生活を送っているのを描いてるに過ぎない。
ただ、このような映画は今まで見たことも無かったし、若者の生態をリアリティを追求して描いているという点では評価するべきなのかもしれない。よって、評価は完全に分かれるように思える。
ファッション関係者が本作を評価するのは、ストリートファッションの根源が本作に出てくるような若者たちであり、彼らの自由で自然な生き方とマインドに何かしらの共感とリスペクトがあるからであろう。
正直、本作を見て映画を鑑賞したという気分にはなれないが、80分を通してユースカルチャーを学ぶという考え方をすれば悪くは無いのかもしれない。

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ジンジャー・ベイカー