「絵画を眺める様な3時間」木靴の樹 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
絵画を眺める様な3時間
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1978年製作のイタリア映画で「パルムドール」。日本公開が1979年なんで、観たのは大学入学前後ですかね?もう、よく覚えてないけど。とにかく、これが、ワタクシにとっての「カンヌ」の、「パルムドール」のハードルになってるんですよ、間違いなく。
19世紀のイタリア。4つの小作人家族。各々の家族に起きる出来事。協力して農作業にあたり、一つの家族の様に集まって過ごす人々。他の家族には明かせない秘密もあり。追い出される家族に差し伸べる手も無く。ただ息を潜めて、目の前から消え去るのを待つだけの人々。一家が立ち去った後に、家から出てくる人々の怖れな悲しみや安堵感。
絵画を眺めている様な映画です。徹底したリアリズムです。控えめなプロレタリア文学。私たちは、こうやって生きて来たのだと言う記録。ただただ、描く。人々の生活を、ただ描く。ただただ、それを眺める私たちは、人間の本質に思いを馳せたり、考えたりするのだけれど、結論じみたものは無く、残された3家族と若夫婦と一緒になって、農道をゆらりゆらりと揺れながら遠ざかっていく灯りを見送るだけだと言う。
やっぱりパルムドールのハードルは、たけぇぞ。って事で。
良かった。
レベチだった。
何もかもが。
(広島市映像文化ライブラリーにて劇場鑑賞)
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