カンバセーション…盗聴…のレビュー・感想・評価
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解説しよう
映画の冒頭部分・・何でこういう ネタなのにこんなところでこんな曲がかかるんだろうって思った。映画が終わってみたら・・・なるほどそういう映画だったか・・となった。 そして全体的にその雰囲気が首尾一貫していて映画の芯を作り上げていた。
フェリーニの「甘い生活」に似た雰囲気の映画だと思った。あの映画には本当にストーリーがない。だから 雰囲気はとっても楽しめたけど長すぎて死にそうだった。けれどこれにはちょっとだけストーリーがあって、そのお陰で1時間50分 ちゃんと楽しめたところが良いと思った
以下、ネタバレ注意
そして最後まで見てみると これはコッポラが大好きな作品の影響を強く受けた作品だとわかる。そう、黒澤明の「羅生門」の。・・一体、何が真実なのか・・
サスペンスのように見せかけて実は サイコホラー的な映画だった・・ということですな。
真面目なだけに過去の経験から疑心暗鬼にとらわれていく男。 最終的に精神崩壊して現実と空想がわからなくなる。 依頼そのものは単なる金持ち娘の素行調査だったというのに。
人が狂っていくという展開は キューブリックにも似てる。 また ハックマンが女の耳元で囁くシーンではヒッチコックのめまいを思い起こす人も多かっただろう
これはコッポラ が憧れていた 監督たちの作品を思いっきりオマージュして作ったものである。
そしてこれはそういう雰囲気を楽しむための映画としてなかなか優れてると思った。ストーリーだけ見てると駄作だけどね。
反転の妙
録音音声での心情描写かと思いきや、専務の運命を暗示していた……!というリバース感が面白かった。録音テープが何度もリバースされる中で、ようやっと出会うべきタイミングが来た…!と思わせての反転。このあたりはさすがコッポラという感じだなあ。/最後のサックスシーンもよかった。他人の疑心暗鬼に取り込まれてしまった人の話。
ジワリジワリと丹念に
ジーン・ハックマンがプロの盗聴稼業をしている。他にもロバート・デュバル、ジョン・カザール、駆け出しのハリソン・フォード出ている。これだけでも豪華布陣か。しかし、物語は至って地味で、展開が遅い。
ある男女二人の会話を全部録音するという仕事を請け負っているが、その二人の会話の様子を聞いて、何かあると感づき、「二人が殺される」と話しをしていることを知る。途中から何故か自分の部屋も盗聴されているのではという強迫観念に憑かれていく。付き合っている女性に、身分や個人的なことを明かさない所とか、直接でしかテープを渡さない所とか、ちょっと冗長な感じがした。テープの内容から、人殺しが行われると確信し、ホテルの隣の部屋を取って盗聴したり、室内に侵入するのだが殺人は行われていなかった。しかし、問題の二人が勤めている企業の専務(ロバート・デュバル)が自動車事故で死亡。盗聴に気づいた女が、先に専務を殺したのだろう。ハリーの部屋に電話がかかってきて、部屋の様子を盗聴しているテープが流れ、「深入りはよせ」と。床板まですべて盗聴器を調べるも見つけられずというオチ。早く引っ越してねって思った。
盗聴稼業の凄さを知っているだけに、自分も盗聴されているのでという強迫観念が凄いのだが、自分が詳しい分野なので、もっと防止策に力を入れてほしいなんて思った。自分は、あまりお勧めしません。
深入りはよせ
業界の名士と評される盗聴屋ハリー・コールをジーン・ハックマンが演じる。孤独を抱え悩み苦しむ姿から目が離せなかった。ジーン・ハックマンならではの魅力が光る。
スレンダーで美しい秘書メレディス( エリザベス・マックレイ )の上品な大人の色香に目が釘付けに 👀
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
コッポラ監督が練り上げた一級のサスペンス
主人公である盗聴屋の男は、仕事においては妥協を許さないプロ中のプロだ。 盗聴のターゲットとなる人物に対しては一切の関心を捨て、依頼された案件を完璧に遂行することだけに専念する。同業者からも一目置かれるやり手なのだが、私生活では心を閉ざし、恋人にさえ自分の内面を明かさない。
物語の中盤までには、この男が高すぎる職業意識を持つ一方で、融通のきかない生真面目な堅物であることが見えてくる。
鍵となるのは、そんな主人公の男が心の奥に封印していた「罪悪感」である。 実は、他人の人生を傷つける盗聴という仕事に罪悪感を持っており、葛藤しているのだ。 教会での懺悔のシーンが、男の信仰心の深さと宗教的な道徳観の強さ、そして苦しみの深さを表している。
そのため、浮気調査で盗聴した女と浮気相手との会話の内容に、「殺人」という言葉が出てきた時、封印していた道徳心が頭をもたげる。 「もしこのまま本当に殺人が起こったら…それはマズイ…」という考えに憑りつかれるのだ。 そしてついに、それまでは絶対に立ち入ることのなかった依頼案件の内部にまで踏み込んでしまう。これがサスペンスの発露となる。
最初は、男の過剰な妄想にも思えた「殺人の疑念」。 しかし、それが妄想ではないことを裏付けるような出来事が次々に起こり、ついには、殺人が実際に起こってしまう。 主人公の男が極限の精神状態にまで追い込まれ、精神が破綻してしまうラストシーンまでがドラマの佳境で、息が詰まるような緊張感が続く。コッポラ独自のサスペンス演出の見せ場だ。
登場人物たちの思惑が錯綜しながら展開していく推理サスペンスではあるが、 「盗聴屋の男の不安定な心理」 が主軸になっているところが、ありきたりなサスペンスとは一味違ったリアル感を醸し出す。
複雑化した現代社会に生きる誰もが抱える、罪悪感という苦しみ。 誰もがそこを理解できるからこそ、主人公の男の心理に同調し、サスペンスを自分事のように追体験してしまうのではないだろうか。
どの作品でも、どんな役でも、絶対的な存在感を示すジーン・ハックマンが、この作品でも高いレベルの演技を魅せてくれる。 コッポラ監督作品では、珍しいサスペンスである。
物語の作りが面白い
主人公が取り扱った事件の全体像は結局、明らかにされない。また盗聴屋という仕事のせいで死者が出たという話も、登場人物間の会話からなんとなく推測できるだけだ。などなど主人公自身はしっかり描きながらも、周りをモヤっとさせることで、サスペンスフルな緊張感が高まっていく。うまいです。
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