カンバセーション…盗聴…のレビュー・感想・評価
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盗聴という行為の本当の怖さ
もともと盗聴を専門に請け負う私立探偵(?)だったハリー。
それなりに、過去には「キナ臭い」仕事もこなしてきたことが、その言動からも窺われました。
そんな彼は、仕事上の、いわば鉄則(一種の職業倫理?)として、盗聴の「中身」には関心を持たないように心がけて来たものの、ひょんなことから依頼主に不審感を抱いたことから、つい、習慣を破って盗聴の内容に関心を持ってしまったところ…。
それが、彼の「転落」の始まりだったのだろうと思います。評論子は。
「盗聴しているぞ」―。
正体不明の相手から、電話口でそう告げられただけのことで、本当に盗聴されているかどうかすら定かではない。
しかし、ここまでハリーをここまで追い詰めるには充分過ぎるくらいだったのでしょう。
もちろん、そんなヤバい仕事であればこそ、報酬もそれなりに高額ではあったのでしょうけれども。
その仕事のヤバさが、反対に自分の身に降りかかって来ることが、もしあったとすれば、それは抜き差しならない状況であることは、凡庸な評論子にしてみても、決して想像に難いことではありません。
自分が生業として、当たり前に行ってきた、その同じ行為によって、ここまで追い詰められるー。
その恐怖心が、画面から犇々(ひしひし)と伝わってくるかのようでした。
それは、「盗聴する側」が「盗聴される側」に回されたことの恐怖であり、盗聴という行為の「本当の怖さ」を示唆していたように思えてなりません。評論子には。
もともと、「盗聴」という手法は、調査の方法としては、フェアとは言いがたいものだと思います。
それらも踏まえると、いわゆるサスペンスものの一本として、佳作であったと思います。
(追記)
評論子が参加している映画サークルで、一本の作品を「お題」として話し合う集まりで、メンバーから話題提供があり、鑑賞することにしてた一本でした。
本作は私立探偵の調査活動としての盗聴に取材した一本であるところ、話題として提供して下さった会員が、しかも長年にわたって警察官を務めていた方だったので、余計に興味をそそられていたものでした。
(追々記)
警察と言えば…。
以前に、警察が勾留中の被疑者から供述を引き出すために、警察側の息のかかった別の事件の被疑者(おとり被疑者)をターゲットの被疑者とわざと同房にして、対象被疑者と親しくさせ、おとり被疑者を通じて対象被疑者のホンネを探るというやり方があると聞いたことがあります。
(おとり被疑者は、協力すれば、罪が軽くなるように計らってやるという「エサ」をあらかじめ食わされていることは、言うまでもない。)
これも、ある種の「盗聴」といえるのではないかとも思います。
(追々々記)
本作は、別作品『訴訟』を鑑賞して以来この方、すっかりファンになっていたジーン・ハックマンが主演の一本でもありました。
本編を観始めて始めて気づきましたが、久しぶりに観た彼の出演作品にもなります。
いわゆる、マチ弁(企業の顧問を中心に、その取引にまつわる経済事件などを専門に扱うのではなく、庶民の生活にかかわる法律問題を広く取り扱う弁護士)で、理屈よりも「ハートで訴訟をする」タイプの弁護士ということで、同じく弁護士ということを仕事にしながらも、一流事務所に勤めてエリートを目指している娘には、ずいぶんと疎まれる役回りてしたけれども。
そんな役柄ながら…否、そんな役柄が気に入って、それ以来に注目し、出演作品『スケアクロウ』『クリムゾン・タイド』『遠すぎた橋』『ミシシッピ・バーニング』などを観てきた俳優さんでもありました。
彼の出演作品ということでも、楽しめた一本になりました。本作は。評論子には。
ジワリジワリと丹念に
ジーン・ハックマンがプロの盗聴稼業をしている。他にもロバート・デュバル、ジョン・カザール、駆け出しのハリソン・フォード出ている。これだけでも豪華布陣か。しかし、物語は至って地味で、展開が遅い。
ある男女二人の会話を全部録音するという仕事を請け負っているが、その二人の会話の様子を聞いて、何かあると感づき、「二人が殺される」と話しをしていることを知る。途中から何故か自分の部屋も盗聴されているのではという強迫観念に憑かれていく。付き合っている女性に、身分や個人的なことを明かさない所とか、直接でしかテープを渡さない所とか、ちょっと冗長な感じがした。テープの内容から、人殺しが行われると確信し、ホテルの隣の部屋を取って盗聴したり、室内に侵入するのだが殺人は行われていなかった。しかし、問題の二人が勤めている企業の専務(ロバート・デュバル)が自動車事故で死亡。盗聴に気づいた女が、先に専務を殺したのだろう。ハリーの部屋に電話がかかってきて、部屋の様子を盗聴しているテープが流れ、「深入りはよせ」と。床板まですべて盗聴器を調べるも見つけられずというオチ。早く引っ越してねって思った。
盗聴稼業の凄さを知っているだけに、自分も盗聴されているのでという強迫観念が凄いのだが、自分が詳しい分野なので、もっと防止策に力を入れてほしいなんて思った。自分は、あまりお勧めしません。
よくわからないのが好き、な人向き
深入りはよせ
業界の名士と評される盗聴屋ハリー・コールをジーン・ハックマンが演じる。孤独を抱え悩み苦しむ姿から目が離せなかった。ジーン・ハックマンならではの魅力が光る。
スレンダーで美しい秘書メレディス( エリザベス・マックレイ )の上品な大人の色香に目が釘付けに 👀
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
じわじわと忍び寄る不安、罪の意識、恐怖
コッポラ監督が練り上げた一級のサスペンス
主人公である盗聴屋の男は、仕事においては妥協を許さないプロ中のプロだ。 盗聴のターゲットとなる人物に対しては一切の関心を捨て、依頼された案件を完璧に遂行することだけに専念する。同業者からも一目置かれるやり手なのだが、私生活では心を閉ざし、恋人にさえ自分の内面を明かさない。
物語の中盤までには、この男が高すぎる職業意識を持つ一方で、融通のきかない生真面目な堅物であることが見えてくる。
鍵となるのは、そんな主人公の男が心の奥に封印していた「罪悪感」である。 実は、他人の人生を傷つける盗聴という仕事に罪悪感を持っており、葛藤しているのだ。 教会での懺悔のシーンが、男の信仰心の深さと宗教的な道徳観の強さ、そして苦しみの深さを表している。
そのため、浮気調査で盗聴した女と浮気相手との会話の内容に、「殺人」という言葉が出てきた時、封印していた道徳心が頭をもたげる。 「もしこのまま本当に殺人が起こったら…それはマズイ…」という考えに憑りつかれるのだ。 そしてついに、それまでは絶対に立ち入ることのなかった依頼案件の内部にまで踏み込んでしまう。これがサスペンスの発露となる。
最初は、男の過剰な妄想にも思えた「殺人の疑念」。 しかし、それが妄想ではないことを裏付けるような出来事が次々に起こり、ついには、殺人が実際に起こってしまう。 ここまでのプロセスに沿って主人公の男が極限の精神状態にまで追い込まれ、精神が破綻してしまうラストシーンまでがドラマの佳境で、息が詰まるような緊張感が続く。コッポラ独自のサスペンス演出の見せ場だ。
登場人物たちの思惑が錯綜しながら展開していく推理サスペンスではあるが、 「盗聴屋の男の不安定な心理」 が主軸になっているところが、ありきたりなサスペンスとは一味違ったリアル感を醸し出す。
複雑化した現代社会に生きる誰もが抱える、罪悪感という苦しみ。 誰もがそこを理解できるからこそ、主人公の男の心理に同調し、サスペンスを自分事のように追体験してしまうのではないだろうか。
どの作品でも、どんな役でも、絶対的な存在感を示すジーン・ハックマンが、この作品でも高いレベルの演技を魅せてくれる。 コッポラ監督作品では、珍しいサスペンスである。
【”孤独を愛する秘密主義の盗聴のプロが聞いてしまった一言。”その男の心理的恐怖を描いた”聴覚””盗聴”映画。】
ー 先日、「ブラックボックス」と言う、面白き聴力映画を鑑賞した。
今作は、出演した俳優が”参考にした”と語っていた作品である。-
・プロの盗聴屋、ハリー・コールは依頼により若き男女の街中での会話を盗聴していた。
そして、そこで話されていた”殺される・・”と言う言葉を聞いたハリーは、徐々に忌まわしき想いを抱いていく。
・過去に彼が行った盗聴により、引き起こされたと、盗聴のプロ仲間が語る殺人事件。
ー 画では、一切描かれない。逆にそれが、観る側の想像力を掻き立てる。-
・ハリーに盗聴を依頼したのが、大会社の”専務”であることが途中で明かされ、男女はその会社の社員であり、女は専務の妻であることが分かって来る。
ー ハリーは、男女が殺される事を危惧し、テープを渡すことを拒否するが・・。
ここで、観る側は制作側のトリックに掛かる。実際に殺されたのは・・。ー
<ハリーが、自分自身も盗聴されてるのでは、と疑心暗鬼になり自分の部屋の壁やら器具やらを全て壊すシーンは彼自身が狂気の世界に引き込まれている事を、明示している。
”聴覚””盗聴”にテーマを絞った心理サスペンス映画の一作である。>
得体の知れない不気味さ・・・を感じる映画
盗聴のプロである探偵が、殺人を示唆する会話を録音したことからトラブルに巻き込まれる物語。
ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、ロバート・デュバルに、スターウォーズ出演前のハリソンフォードも脇を固めるサスペンス。
コッポラの隠れた名作として有名な作品のようですね。
物語は、録音をオファーした雇い主との駆け引きを中心に、彼の職人気質の仕事ぶりや仕事仲間との交流を描き、クライマックスへと進みます。
主人公の描き方は人間ドラマとして秀逸で、ラストの展開は私好み。ただ、人間ドラマが深い分、サスペンスとしては中盤がやや冗長に感じたのが残念。私には、サスペンスとしての面白さや興味を感じることが出来ませんでした。
評価はやや甘めに付けて3.5にしました。
コッポラの実験映画
ハリソン・フォード
冒頭からカップルの会話が盗聴されるが、女性のほうが盗聴に気づいてしまうという失敗談。1973年頃というとカセットテープレコーダーが普及し始めた頃だし、当時としても興味深い映画だったに違いない。
依頼された盗聴の中味についてはノータッチであるのが信条だったが、つい聞いてしまって「彼に殺されるかも」という会話に引っかかってしまった。ジャクター・ホテル773号室というキーワードが耳から離れなくて、夢にまで見た恐怖の瞬間。依頼主に聞いても「金は外で勘定しろ」と言われしぶしぶ引き下がり、問題のホテルに直行する。
結局殺されたのは彼らカップルではなかった。誰が誰を殺したんだ?と不安になり極度の精神錯乱状態になるハリー。しかし、「これ以上深入りするな!お前のところを盗聴してるからな」と脅迫電話が入り・・・
ブレイク前の若き社長ハリソン・フォードがまぶしい。ジーン・ハックマンも精神的にまいってゆく姿が見事。盗聴の恐怖をいう現代にも通用するテーマを描いた佳作だ。ただし、ストーリーは単純。
盗聴の恐怖。今は映画の時代よりもっとすごいことになってるんでしょう...
物語の作りが面白い
主人公が取り扱った事件の全体像は結局、明らかにされない。また盗聴屋という仕事のせいで死者が出たという話も、登場人物間の会話からなんとなく推測できるだけだ。などなど主人公自身はしっかり描きながらも、周りをモヤっとさせることで、サスペンスフルな緊張感が高まっていく。うまいです。
強迫観念に駆られ不安が増大する男の孤独
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
今でこそ秋葉原でも通販でも簡単に監視・盗聴器具は手に入るが、この時代にもうここまでそのようなものがあったのが興味深い。そしてそれを使いこなすジーン・ハックマン演じる男は、その世界を知っているが故に自分が監視・盗聴されないように極端に用心深くなって他人を信用出来ず、だから他人とも良い関係を築くことが出来ない。彼に何気なく差し込まれた筆記具が、彼のそんな警戒心をより強くする。そして彼の仕事の内容から、自分が狙われていると彼の心を激しく掻き乱す。
彼のそんな男の孤独さと、心理が良く表現されていた。作品全体を通じて緊張感と孤独さと疑心暗鬼で満たされている。そしてその男を演じたジーン・ハックマンが良い演技で存在感を示していた。
コッポラ監督作品の中では地味だし、同時期に制作された『ゴッドファーザー PART II』の陰に隠れてしまっているが、独特の雰囲気を持っていてなかなか面白い。ハックマンに手を出してくる事件の関係者の力が強いので、これならば別にハックマンを雇う必要もないのではないかとか、抽象的表現があって事件の背景が必ずしもはっきりしない部分もあるのだが、心理的に追い詰められてくる演出が良い出来栄え。
複雑な内面
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