劇場公開日 2024年11月29日

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「盗聴という行為の本当の怖さ」カンバセーション…盗聴… talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0盗聴という行為の本当の怖さ

2024年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もともと盗聴を専門に請け負う私立探偵(?)だったハリー。
それなりに、過去には「キナ臭い」仕事もこなしてきたことが、その言動からも窺われました。

そんな彼は、仕事上の、いわば鉄則(一種の職業倫理?)として、盗聴の「中身」には関心を持たないように心がけて来たものの、ひょんなことから依頼主に不審感を抱いたことから、つい、習慣を破って盗聴の内容に関心を持ってしまったところ…。
それが、彼の「転落」の始まりだったのだろうと思います。評論子は。

「盗聴しているぞ」―。
正体不明の相手から、電話口でそう告げられただけのことで、本当に盗聴されているかどうかすら定かではない。
しかし、ここまでハリーをここまで追い詰めるには充分過ぎるくらいだったのでしょう。

もちろん、そんなヤバい仕事であればこそ、報酬もそれなりに高額ではあったのでしょうけれども。
その仕事のヤバさが、反対に自分の身に降りかかって来ることが、もしあったとすれば、それは抜き差しならない状況であることは、凡庸な評論子にしてみても、決して想像に難いことではありません。

自分が生業として、当たり前に行ってきた、その同じ行為によって、ここまで追い詰められるー。
その恐怖心が、画面から犇々(ひしひし)と伝わってくるかのようでした。
それは、「盗聴する側」が「盗聴される側」に回されたことの恐怖であり、盗聴という行為の「本当の怖さ」を示唆していたように思えてなりません。評論子には。

もともと、「盗聴」という手法は、調査の方法としては、フェアとは言いがたいものだと思います。

それらも踏まえると、いわゆるサスペンスものの一本として、佳作であったと思います。

(追記)
評論子が参加している映画サークルで、一本の作品を「お題」として話し合う集まりで、メンバーから話題提供があり、鑑賞することにしてた一本でした。
本作は私立探偵の調査活動としての盗聴に取材した一本であるところ、話題として提供して下さった会員が、しかも長年にわたって警察官を務めていた方だったので、余計に興味をそそられていたものでした。

(追々記)
警察と言えば…。
以前に、警察が勾留中の被疑者から供述を引き出すために、警察側の息のかかった別の事件の被疑者(おとり被疑者)をターゲットの被疑者とわざと同房にして、対象被疑者と親しくさせ、おとり被疑者を通じて対象被疑者のホンネを探るというやり方があると聞いたことがあります。
(おとり被疑者は、協力すれば、罪が軽くなるように計らってやるという「エサ」をあらかじめ食わされていることは、言うまでもない。)
これも、ある種の「盗聴」といえるのではないかとも思います。

(追々々記)
本作は、別作品『訴訟』を鑑賞して以来この方、すっかりファンになっていたジーン・ハックマンが主演の一本でもありました。
本編を観始めて始めて気づきましたが、久しぶりに観た彼の出演作品にもなります。

いわゆる、マチ弁(企業の顧問を中心に、その取引にまつわる経済事件などを専門に扱うのではなく、庶民の生活にかかわる法律問題を広く取り扱う弁護士)で、理屈よりも「ハートで訴訟をする」タイプの弁護士ということで、同じく弁護士ということを仕事にしながらも、一流事務所に勤めてエリートを目指している娘には、ずいぶんと疎まれる役回りてしたけれども。

そんな役柄ながら…否、そんな役柄が気に入って、それ以来に注目し、出演作品『スケアクロウ』『クリムゾン・タイド』『遠すぎた橋』『ミシシッピ・バーニング』などを観てきた俳優さんでもありました。

彼の出演作品ということでも、楽しめた一本になりました。本作は。評論子には。

talkie