カンバセーション…盗聴…のレビュー・感想・評価
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移りゆく陰鬱な時代の空気を投影した傑作
五感を研ぎ澄ませる作品は面白い。人は映画を目と心で楽しむものだが、本作の主人公コールときたら最初のシーンからずっと耳をそば立てている。すなわち、耳を通じて集積されていく事実とその推察についての特殊なストーリー。アントニオーニの『欲望』に触発されて脚本が書かれた点からも、何か新たな語り口のスタイルを追い求めた果てに生まれた実験作であることが分かるし、さらには作り手の意図を超え、偶然にもウォーターゲート事件と重なる内容をはらんでいるのも特筆すべきところ。取り壊しの続く自宅周辺や崩壊していく自室も含めて、陰鬱で重々しい時代の空気を投影した作品と言えそうだ。事態に翻弄されプロフェッショナリズムを崩壊させゆくジーン・ハックマンの演技も抜群に素晴らしい。もしこの映画のラストでフラストレーションが溜まったなら、本作のエッセンスを生かした『エネミー・オブ・アメリカ』で憂鬱を気持ちよく吹き飛ばしたいところ。
コッポラ監督の最高傑作⁉️
ヒッチコック監督の「裏窓」は、車椅子の男が自宅から何気に近所を覗き見した事で事件に巻き込まれる傑作でしたが、今作は盗聴のプロの男が、盗聴した男女の会話を聞いたことで事件に巻き込まれる、これまた傑作‼️舞台はサンフランシスコ。盗聴のプロであるハリー・コールは、仕事で不倫カップルの会話を盗み聴いたところ、そのテープには「殺されるかもしれない」との声が。やがて依頼主が二人を殺そうとしていることを知った彼は・・・‼️コッポラ監督の最高傑作は「ゴッドファーザー」二部作で間違いないけれども、今作も負けず劣らずの傑作‼️全編、テープデッキで再現される "声" をはじめとする無機質な "音響" がモノを言う心理サスペンスで、都会に生きる人間の孤独も見事に融合させた人間ドラマでもあります‼️何気なく始まっていくオープニングで、俯瞰ショットからカメラがどんどんカップルの二人に近づき、カップルの会話と、ハリー率いる盗聴屋たちの仕事ぶりを魅せるシーン‼️望遠レンズの効果がホントに素晴らしい‼️ハリーを演じるジーン・ハックマンはもちろん、ハリーの相棒役ジョン・カザールら、脇役陣の存在感も特筆モノ‼️特にハリーの依頼主のロバート・デュバル、その秘書役で無名時代のハリソン・フォードが出演‼️ハックマン、デュバル、ハリソンのスリーショットは今となってはかなり貴重だし、かなりスゴい豪華共演‼️そんなハリソンからの主人公へのラストの電話「深入りするな、盗聴してるぞ!」‼️盗聴する側の人間が、される側に回った時の脅迫観念‼️主人公は部屋中を破壊しながら盗聴器を探すが見つからない、見つける事が出来ない‼️これは盗聴のプロであるハリーにとってかなりの屈辱‼️諦めたハリーによるラストのサックスシーンはサイコーですね‼️不条理というか、不気味な寓意‼️大都会の孤独を体現するハックマンにシビれてしまいます‼️しかし、73年という時代にプライバシーを侵害する盗聴の恐ろしさを描いたコッポラ監督の先見の明はホントに素晴らしかったですね‼️
タイトルなし(ネタバレ)
米国サンフランシスコのユニオン広場。
さまざまな人が屯するなかを、若い男女のカップル(フレデリック・フォレスト、シンディ・ウィリアムズ)が肩を並べて歩いている。
何やら会話するふたりを、まるで狙撃するようにビル屋上から狙っている男がいる。
ほかにも、眼鏡をかけた男(ジーン・ハックマン)や紙袋をもった男が、ふたりの周りを行き来している。
彼らは、ふたりの会話を盗聴・録音する音響保全技術員、すなわちプロの盗聴屋だった・・・
といったところからはじまる物語。
まず、冒頭の長い長いワンショット。
狙撃するようにふたりの会話を狙うシーンが素晴らしい。
物語は、プロの盗聴屋が、プロであるがゆえに最後の最後に陥穽に嵌まってしまう恐ろしいスリラー。
盗聴した会話の繰り返しが、スリルを宙ぶらりんの状態で盛り上げ、緊張感を高めていく。
が、主人公、プロのくせに、安易に仕事場を仲間に開放しちゃう。
保全意識が低いぞ。
自身の仕事っぷりを披露したい欲望に負けちゃあダメだぞ。
さらに、会話の内容を聞き入っちゃあいけないぞ。
その上、下手に仏心を出してしまうから、こんなことになっちゃうわけで。
うーむ、プロフェッショナルらしからぬところも目立つんだよなぁ。
自己コントロールが図らずも出来ない主人公は、コッポラ自身を投影しているのかもしれませんなぁ。
とはいえ、ショットの繋ぎ、ラストの長廻しなど、演出はすこぶる上手い。
※ネタバレ※
主人公、最後は嵌められ、逆盗聴されているように見えるが、実は盗聴されているわけではなく、電話口の後ろでレコードが流れているだけではないかしらん?
だから、盗聴器は見つからない・・・
世の中、コッポラは天才として名を成してはいるのだが・・・
どうしてもコッポラの作品になじめない。ワンシーン、ワンシーンの尺の長さとそこに込められた情報量の多さと拘り。それを読み込むには短すぎ、表面的な鑑賞だけに留めようとするには冗長すぎるのである。コッポラの映画をメタ映画と評する論文があるらしい。これを読むとコッポラ作品との相性の悪さが腑に落ちる。コッポラの作品を楽しむためにはあの冗長なワンシーンワンカットのディティールを掘り起こす作業が要るのだ。だからファンは何度も見返しその度毎に彼の世界に嵌められていく。表面的な美しさより表面のディティールに拘ったハイパーリアリズムの世界なのだ。そう考えるとアプローチの仕方も変わってくると言うものだが、やはりそれをする気力が生まれないのが彼の作品と自分の相性と言うものなのであろう。
スター・ウォーズ以前のハリソン・フォードが出演
私にはあんまり面白くなかったです。
盗聴のプロが、自家中毒に陥っちゃう話しでしょ、だから?って感じでした。
スター・ウォーズに抜擢される以前のハリソン・フォードが、結構重要な役で出ていました。ハンサムな秘書。
さすがに若いですね。
タイトルなし(ネタバレ)
神経症気味になってノベルティーのボールペンに仕込まれた盗聴器にも気づけないほど腑抜けになった、元凄腕の盗聴屋の情けない姿を描いた作品でかなり退屈した。
ファーストショット&ラストショットが粋!
ファーストショットから、「え!?どういうこと!?」って感じでグイグイ引き込まれ
ラストショットでうまいなぁと。素晴らしい鑑賞後感でした。
ハリーは完璧な盗聴のプロ、、、的な描かれ方を冒頭からされるにもかかわらず、
・短気で部下に逃げられてしまう
・ハニートラップにひっかかる
・「盗聴しているぞ」の一言で疑心暗鬼になりまくる
ってな感じで、完璧でないところに愛嬌があるというか、人間らしさを感じました。
ストーリーについても、冒頭〜途中までの流れで、
殺人幇助になる仕事をしてしまったのではないかと悩み、なんとか殺人は回避しようと
四苦八苦するハリーでしたが、
オチはそのまったく真逆で、ターゲットと思っていた2人が実は犯行を企てていて
実行したという落とし方は、やられたなぁ!と。
毎度こうやってまんまと映画の思惑にハマる私。
チョロいですね。
であるがゆえに、映画を心底楽しめるたちなんだろうなぁと、得だなぁと思います(笑)
疑心暗鬼になりまくり、盗聴器がどこに仕掛けられているか家中をさがすハリー。
壁を壊し、床までひっぺがして見つからず(たぶん騙されたのでしょうね)、
ラストは自らのサックス🎷演奏で終える、という、何とも良い作品を観たなぁと感じられました。
旧作鑑賞もたまには良いですね。
70年代ならではの舞台なので、実によく練られているなと思った次第です。
盗み聞きしているつもりが盗み聞きされて
コッポラがゴッドファーザー二部作の間に撮った盗聴サスペンスと期待してたんだけど、意外と内省的なお話しで肩透かしを食らった感じです。雑踏の中からターゲットの男女の会話を長距離の指向性マイクと近距離マイクの組み合わせで盗聴するテクニックは、なかなか面白いです。主人公の盗聴技術者のプロフェッショナルとしてのストイックな姿勢が丁寧に描かれているけど、再生した会話から殺人の可能性に気づいたため、過去の仕事で犠牲者が出たトラウマから葛藤が始まります。ここら辺から、お話しもパラノイアの妄想のようになり幻想や幻聴を交えた展開は、ヒッチコックとキューブリックを合わせた感じで違和感がハンパないです。盗聴する者もまた盗聴される監視社会の恐ろしさを言いたいのかも知れないけど、持って回したようなくどさが残念。役者では、ジーン・ハックマンのパラノイア演技が絶品です。後年、トニー・スコット監督の『エネミー・オブ・アメリカ』で演じた盗聴のプロ役は、この作品がベースになったのがわかりました。びっくりなのは、依頼者の秘書役のハリソン・フォードで、若いのは当然だけど、淡々としたセリフ廻しが不気味でした。
70点。ラスト30分の衝撃。
大好きなジーン・ハックマン
ジーン・ハックマンの演ずるハリーは、盗聴のプロ、数々の大きな任務をこなしてきた。ミステリー仕立ての、この映画のつかみは抜群で、俊英クリストファー・ノーランなどへの影響が感じられる。
冒頭、少しおびえながら、サンフランシスコのユニオン・スクエアを徘徊するカップルの会話を盗聴しようとするハリー、当時最新の機器を駆使している。そのあと、部屋にこもって、幾つかの音源を注意深く同調させ、彼らが話している内容を明らかにする。ハリーは、会話の内容に興味を示すのではなく、あくまで盗聴のプロとしての仕事をする。
ここで、一つの誤算があり、依頼主の秘書役(若きハリソン・フォード)の非協力により、情報を依頼主に直接渡すことができなかったのだ。しかも、個人生活に触れさせないハリーの姿勢に飽き足らない恋人は姿を消し、彼の部下もライバルの傘下に走ってしまい、焦ったのだろうか、ハリーはミスを冒す。盗聴の見本市の後、同業者たちを仕事部屋に招き入れてしまった。その結果、盗聴内容の流出を招く。
それを背景に、依頼主の周辺で思ってもみない事件が起こり、ハリーもまた、次は自分が標的かと怯えるようになる。
盗聴を内容とはしているが、要は個人情報の取り扱いだろう。当時と今では、情報の伝え方が全く異なる。直接の会話を中心に、電話が多く使われていた当時と、SNSなどを介したスマホなどの通信媒体全盛の今日。その背景にはDx/AI技術があるが、個人情報の保護は極めて大きな問題になっている。企業秘密など、言うまでもないことだ。
この映画は、1974年と言う時期に、それを指摘したことが画期的である。
ただ、多くの映画で、その人間味を感じさせる演技が観ている者の心をとらえることが多いジーン・ハックマンが、ただの神経質な男にみえてしまうところが残念。彼の背景には、キリスト教(カトリック)、愛情(恋人)、音楽(サックスの演奏)がある.。
一級のサスペンス
ジーン・ハックマンは、良い俳優ですね。ポセイドンアドベンチャーで初めて観ました。ハリソン・フォードが若いです。最後のどんでん返しまで、ハラハラドキドキで観ていました。
盗聴業界
プライバシーの先駆けとなる、心理サスペンスの傑作だ。
盗聴のプロ、ハリーは、大企業の重役から、若い男女の盗聴を依頼される。ハリーが録音したテープを聞くと、その男女は重役の妻と不倫相手であり、「機会があれば、彼は殺すだろう」との音声が判明する。
同僚などと私生活の繋がりを一切断っている通信傍受の専門家が、プライバシー侵害である盗聴を契機に、疑念や猜疑心にとらわれるところが面白い。
コッポラ監督は、ミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』に影響を受けたと言っている。ブライアン・デ・パルマ監督も、『ミッドナイトクロス』は『欲望』にインスパイアされたと言っており、3作品を見比べるのも面白いね。
『エネミー・オブ・アメリカ』にも、本作へのオマージュが見られる。本作は、「プライバシー」が一般的で無かった時代に、監視社会やプライバシーについて、ゆっくりと、しかし極めて力強く描き切った、心理サスペンスの傑作だ。
スパイの内心を描いたサイコサスペンスの秀作
ちょうど50年前の1974年に制作された、名匠フランシス・コッポラ監督作品でした。主人公のハリー・コール(ジーン・ハックマン)は、盗聴を生業とする業者。しかもFBIとかCIAに所属しているのではなく、商売でやってるんだから驚き。まあ探偵の一種と言えば一種なんでしょうが、盗聴専門という”専門職”が、彼だけでなく、そうした業界まで形成されているように描かれており、普通に法律違反のような気がするのですが、本当にこんな職業あるんですかね?
それはいいとして、冒頭、人混みを散歩するアベックを遠距離から盗聴するシーンが描かれたので、いわゆるスパイ物なのかと思いきや、そうではありませんでした。実際は過去に行った盗聴相手が、その後殺されたことがトラウマになっているハリーが、また同様の仕事を受けてしまい、煩悶するというお話でした。最終的にはどんでん返しが待っていて面白かったのですが、必ずしもそこに主題がある訳ではないように思われました。各種盗聴方法の紹介をした上で、部下や同業者らとの交流を描くことでハリーの人となり、キャラクター設定を綿密に描いた上で、彼が内心で自らの盗聴に対して贖罪の気持ちを抱いていることが示され、半ばノイローゼ気味になってしまう様は、中々興味深かったです。
そして何よりも感じたのは、半世紀前の映画でありながら、その描写やストーリー展開に全く古さを感じなかったこと。勿論携帯電話もインターネットもない時代なので、盗聴器具などは時代物という感もありましたが、スパイの内心の描き方という点では、流石は名匠コッポラと思わざるを得ませんでした。
そんな訳で、本作の評価は★4.2とします。
盗聴社会の恐怖。そのプロなのに脇が甘すぎる孤独な主人公…
盗聴、録音のプロ、コールは、仕事で受けた若い男女の会話が人命にかかわることに気づく。
冒頭、公園で盗聴する緻密な撮影が見事。
高性能ショットガンマイクなど技術の先端テクニック、盗聴・録音には見本市も開催されていて、その世界ではコールも有名だったりする。
しかし、盗聴のプロなのに、盗聴マイクが仕掛けられたボールペンを仕掛けられてしまったり、仲間たちを職場に招き入れたり、重要な録音テープを聞かせたりと、脇が甘すぎる。
同じシーンの同じセリフなのに、事件の真相を追うごとに、その言葉の意味が変わっていく。
聞こえ方が変わってしまう、脚本が見事。
ラスト自分も盗聴されていることを知らされ、執拗に盗聴器を探す狂気。
音楽のみに救いを求める孤独な主人公を演じるジーン・ハックマンがさすがの演技を披露。
後の「ワンフロ」の主演テリー・ガー、粘着質なハリソン・フォード、他にも、ロバート・デュバル、ジョン・カザールなど競演俳優たちの顔ぶれも面白い。
解説しよう
映画の冒頭部分・・何でこういうネタなのに、こんなところでこんな曲がかかるんだろうって思った。映画が終わってみたら・・・なるほどそういう映画だったか・・となった。 そして全体的にその雰囲気が首尾一貫していて映画の芯を作り上げていた。
以下、ネタバレ注意
ストーリーとしてはこんな感じですな。・・・真面目なだけに過去の経験から疑心暗鬼にとらわれていく男。 最終的に精神崩壊して現実と空想がわからなくなる。 依頼そのものは単なる金持ち娘の素行調査だったというのに。サスペンスのように見せかけて実は サイコホラー的な映画だった・・
しかし、この作品の実態はそうではないと思うのですよ。
まずフェリーニの「甘い生活」に雰囲気が似ている。あの映画には本当にストーリーがない。だから 雰囲気はとっても楽しめたけど長すぎて死にそうだった。けれどThe Conversationにはちょっとだけストーリーがあって、そのお陰で1時間50分 ちゃんと楽しめた。そして最後まで見てみると これはコッポラが大好きな作品たちの影響を強く受けた作品だとわかる。一つには、黒澤明の「羅生門」の。・・一体、何が真実なのか・・人が狂っていくという展開は キューブリックにも似てる。 またハックマンが女の耳元で囁くシーンではヒッチコックのめまいを思い起こす人も多かっただろう。つまり、これはコッポラ が憧れていた 監督たちの作品を思いっきりオマージュして作ったものなのである。曲の使いかたに注意して見ていると、それがよりよく判るはずだ。
そしてこれはそういう雰囲気を楽しむための映画としてなかなか優れてると思った。ストーリーだけ見てると駄作だけどね。
ジーンハックマンが主演ですが、現実に米国のニクソン大統領がウォータ...
ジーンハックマンが主演ですが、現実に米国のニクソン大統領がウォーターゲート事件でその大統領職を辞任していますが、そのウォーターゲート事件というのが、大統領選で争う、共和党に対して民主党ですが、その民主党本部に盗聴器を仕掛けて、その民主党本部のスタッフの行動を探ろうとしたひとが捕まり、その捕まったひとが米国の政治の最高職の大統領のリチャードニクソンまでつながっていたのではないかということで、その辞職ですが、プライバシー侵害がたいした罪でもなく罰もないですが、大統領職辞任が刑事罰に問われてのそれの刑事罰ではないですが、ジーンハックマンが雇われた探偵で、その依頼者の目的の人物宅を盗聴しますが、殺人事件の現場のような言い争いの音声がヘッドホンから聴こえますが、映画の締めがそのジーンハックマンが盗聴器が仕掛けられているんじゃないかと自宅の床や壁を剥がしてでしたが
反転の妙
録音音声での心情描写かと思いきや、専務の運命を暗示していた……!というリバース感が面白かった。録音テープが何度もリバースされる中で、ようやっと出会うべきタイミングが来た…!と思わせての反転。このあたりはさすがコッポラという感じだなあ。/最後のサックスシーンもよかった。他人の疑心暗鬼に取り込まれてしまった人の話。
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