「ハンターキラー・ゲーム」眼下の敵 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ハンターキラー・ゲーム
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1958年は本作のあとにも「深く静かに潜航せよ」が公開され Uボート映画の当たり年であった。
原作者のD.Aレイナーは当時実際の英国駆逐艦々長だったが小説の冒頭でフィクションと断っている。第一に一対一で戦ったことはなく戦えばUボートの方が圧倒的に有利、艦隊、航空機やヘッジホッグ(対潜迫撃砲)装備艦であればUボートは史実のように壊滅している。艦長同士の頭脳戦、死闘を主題にすべくUボート側にハンデとして機密情報を受け渡す接触海域まで進路を曲げられない、爆雷攻撃で魚雷攻撃に支障などを課している。映画での脚色も加わり戦争をゲーム化、ノーサイドのような美談に変えている。追撃シーンは両艦の回頭性能、速度差を活かしており当時の戦術を知る著者ならではのリアリティが盛り込まれている、追撃の冒頭で後部魚雷を使わせてしまおうとするのは再装填には浮上しなければならない弱点をついている。終盤も原作では4発の掃射魚雷は2発が迷走、2本も当たらず、浮上砲撃で大破させられるのだが、駆逐艦がUボートに砲撃で負けるのではチープすぎるので変えたのだろう。美談風も原作では艦長同士はどちらが捕虜かで救命ボートの上で乱闘になっているが後味が悪すぎるのでうまく変えている、Uボートが砲撃前に退船猶予の発光信号を送るのも脚色だ。名作に水を注すのは気が引けるのだが良くできているだけに若い人には映画と史実の混同をして欲しくないとの老婆心、ご容赦いただきたい。
ソロモン海戦で米巡洋艦「ジュノー」が日本のUボートに沈められたとき僚艦「へレナ」は100名余の味方を救助もせず逃走している、鮫の襲撃もあり悲惨を極めたらしい。
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