カラスの飼育

劇場公開日:

カラスの飼育

解説

感受性の強い9歳の少女の姿を現実と空想の中で描く。製作はエリアス・ケレヘタ、監督・脚本は「血の婚礼」のカルロス・サウラ、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はジャネット、美術はラファエル・パルメロが担当、主演はアナ・トレント、ジェラルディン・チャップリンほか。

1975年製作/107分/スペイン
原題または英題:Cria Cuervos
配給:シネセゾン
劇場公開日:1987年10月10日

ストーリー

マドリッドの中心にある住宅地の古い家。そこには11歳のイレネ(コンチタ・ペレス)、9歳のアナ(アナ・トレント)、5歳のマイテ(マイテ・サンチェス・アルメンドロス)の3姉妹が、職業軍人の父親、ピアニストの母親(ジェラルディン・チャップリン)、半身不随の祖母、召使いのロサと暮らしていた。母と父はいさかいが絶えず、口論の末にピアニストを諦めた母は、やがて病に倒れてこの世を去っていった。生前、母が不幸だったことをアナは知っていた。父は、愛人といっしょの時突然死んでしまう。両親を失った彼女たちは、叔母の家に引きとられるが、叔母は母のかわりにはならなかった。叔母のいない間に、大人ごっこをする姉妹。アナは、母に毒性を持つと教わった白い粉を自分の宝物にしている。彼女は、父はその死の前夜、アナがグラスに注いだ粉によって死んだと思っている。祖母が車椅子にかけて口もきけない状態でいるのを同情し、大人の権威をふりかざす叔母には憎しみを感じ、それぞれに、父と同じ方法を試みる決心をするのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第35回 ゴールデングローブ賞(1978年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

3.0予備情報も善し悪し…

2021年4月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

近くの図書館でたまたま見つけ、 興味深いスペイン内戦時に絡む作品との ことだったのでレンタル鑑賞。 しかし、ディスクに添付されてあった解説書 による先入観から鑑賞を左右された。 解説書には、父はフランコ将軍、母は国民、 叔母はフランコ亡き後の軍人、 アナはテロリストを象徴しているとの、当時 のスペインの状況を風刺した設定とあった。 そんな先入観を持ちながらの鑑賞ながらも、 主役のアナの怖いくらいに純粋で自己中心的 な子供らしい精神世界を上手く描いた作品 としての印象が強く残った。 アナの心の内面の表現として、 現在の場面に過去を重ね合わせて描く手法は、分かり難さも無く秀逸。 また、私の妻と母、妻と娘を見ていると、 女性同士の親子関係は 特別な絆を感じるが、 この映画でもそう確認させられるばかり。 解説のように、確かに制作者側の 歴史背景的な意図はあるのだろうが、 子供の成長期における精神的な特異性の観点 からだけでも、充分に魅力的な作品だった。 確かに事前情報が全く無いままでの鑑賞で 理解不足のまま終えるケースもあるが、 この作品では、 時代風刺の要素を排除した中での鑑賞して いたらどんな印象に変わっていただろうか と考えさせられる。 予備情報も善し悪しと 悩まされた作品だった。

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