劇場公開日 2023年12月22日

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「イタリア語と神様」神の道化師、フランチェスコ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5イタリア語と神様

2023年12月22日
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鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

真面目な映画だと思っていたら笑える映画だった。笑えるというのは、微笑んでしまう、もあったし、可笑しくて可愛くて思わず笑ってしまう、もあった。みんなプロの俳優でなくて本物の修道士であることがとても生きていた。

修道士以外の人々の造型も面白かった。暴君はブリキの鎧を着て部下の手助けが無ければ脱ぐこともできない。ブリキのオモチャみたいで可愛くておかしかった。

フランチェスコがハンセン病の男と出会い抱きしめ別れる野原の美しさに息をのんだ。男が去る足元もフランチェスコが男と別れて涙を流してうずくまる野原も、満天の星のように小さな花々がきらきらと光っていた。モノクロなのに、もしかしてモノクロだから輝いた美しさだったのかもしれない。

イタリア語で聞く主の祈りや神への祈りは、神様との距離がとても近い感じがした。隣人への愛や貧しい人に施す思い、もちろん今のイタリアがとかイタリア人全部が、という訳ではないけれど信仰や優しさや人懐っこさは形が変わっても残っている気がした。修道士同士の会話も、これ気にいった?とか、かわいいね、など今のイタリア人がしょっちゅう使う表現でそれこそ可愛かった。見てよかった。

talisman
じゃいさんのコメント
2024年5月8日

コメントありがとうございます。
そういえば、昔別のイタリア映画でもコメントをいただきましたね!
ぜひこちらはパゾリーニの『大きな鳥と小さな鳥』と合わせて鑑賞されると愉しめると思います!(暴君ニコライオのパートが思い切りパクられてるw)

じゃい
パングロスさんのコメント
2024年4月29日

talismanさん、拙レビューへのコメントありがとうございました。
本当に、暴君ニコライオのくだりは爆笑コントでしたよね。
あの実戦には絶対不向きなブリキの甲冑といい、間尺のあわない穴から外界を覗くギョロ目とか。
笑いながら観てもいいんだ、と得心してから楽しんで鑑賞することができました。

パングロス
かばこさんのコメント
2024年4月2日

イタリア語の語感は、なんだか人懐っこい感じがしますね。
私は無神論者ですが、信仰とは、基本的に、信じる人達に「幸福」をもたらすものなんだろうと思っています。だから信仰するんだと思う。
この映画を見ながら「幸せ」について知らず知らず考えていました。

かばこ
Gustavさんのコメント
2023年12月23日

talismanさん、イタリア語を習われているのですか。素晴らしいですね。語学力ゼロの私には想像もつきません。

私のイタリア映画遍歴は、中学生の時に感動した「鉄道員」「ブーベの恋人」が始まりで、次にヴィットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」です。大戦前のイタリア映画には詳しくないので、やはりイタリア・ネオレアリズモ映画からですね。昔の監督なら、デ・シーカ、ヴィスコンティ、ロッセリーニの三大巨匠、続いてフェリーニ、アントニオーニ、パゾリーニが有名ですが、今観るならヴィスコンティとロッセリーニとアントニオーニがtalismanさんに合いそうと思います。勝手な判断ですみませんが、「イノセント」はヴィスコンティ監督の遺作でイタリア映画のクラシックが色濃く表現された大人の映画です。「情事」と「太陽はひとりぼっち」も公開当時は愛の不毛なんて言われて人気でした。不思議な魅力があります。
フランス映画と比べると洗練さは無いですが、素朴で飾らない人間暴露の正直な映画が多い印象です。四季と家族愛は、日本と共通するところもあります。マザコン男が多いのも特徴ですね。人間臭く陽気で感情表現がストレート、カンツオーネとオペラの国。私は、イタリア映画を身近に感じます。

Gustav
Gustavさんのコメント
2023年12月22日

場違いですが、レビューを少し。
ミュージカル「ベートーヴェン」は、“音楽のためのミュージカル”でした。交響曲第3番、4番(井上芳雄さんのタクトで)、5番、6番、7番、9番、それにエグモント序曲と月光ソナタをアレンジした正にベートーヴェン音楽の饗宴でした。19世紀初頭の舞台美術とオペラに近い力強い歌唱の見応え聴き応え充分の、私好みのミュージカルでした。井上さんと花總まりさん、お二人の歌唱力は素晴らしいの一言。更にキャストすべてが素晴らしい。「エリザベート」が女性に特化したミュージカルとすると、クラシック音楽ファンの男性でも楽しめるミュージカルでした。それでも観客は平日のためか何と95パーセントが女性の方でした!。オーケストラは現代風にアレンジした難曲を熱演、歌手との息もピッタリ。流石プロの仕事ですね。それと主役が引き立つ演出が次から次へと続きます。井上ファンには堪らない演出だと思います。
一寸長くなりました、このくらいで止めます。

Gustav
Gustavさんのコメント
2023年12月22日

talismanさん、共感ありがとうございます。今日は日帰りで日生劇場のミュージカル「ベートーヴェン」を観てきて返信が遅れました。東京は温かかったです。(私事ですみません)
ロッセリーニ監督のこの見事な作品を劇場でご覧になったのですね。余り妬まない小生でも、これは素直に羨ましいです。長い間観たい渇望で大分前にDVDを購入しました。若い頃に観ていたらもっと感動していたと思います。キリスト教とは全く無縁なのに、このロッセリーニ監督の描いた世界観に魅了されました。科学の知識が殆ど無い時代の何を信じて生きて行けばいいのかの無垢で真剣な求道者を素朴に描いて、人間の可笑しさが表現されていて素晴らしいです。真面目を貫くと何処か喜劇的に見えるのが人間かも知れません。そこがまた愛おしいのですが。もっと多くの映画ファンに触れてもらいたい作品ですね。

Gustav