カッコーの巣の上でのレビュー・感想・評価
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病院の中も外も、何も変わらない
常々、健常者はこの世にいない、みんな何か病気を抱えて生きている、そう思っていました。病院の中の人達は健常者と差異は無く、病院の外の人達も病んだ顔をして歩いている。何処の世界でも変わらず、支配する者、好んで支配をされる者がいて、秩序に膝を屈して、意志を捨てて苦痛に耐える人生を好むか。あるいは――自由とは、決して得難い物では無く、勇気を持って踏み出さなければ、痛みを恐れず突き進まなければ、得られない物――。
正直、如何にこの映画を捉えるか難しかったのですが、こんな所でしょうか。何か苦い物を感じて、お薦めしにくいところもありますが、とても良い映画だったと思います。
そんなに良い映画か?
ニューシネマど真ん中の映画だった
ゆっくりの流れの中に名作はある
当時のアメリカンニューシネマの代表作であると共に名作である。映画館では観ていない。未だ10代の頃テレビで観た記憶があった。それ以降少なくても1回は視聴しているがいつだったか思い出せない。今回は見直す為にレンタル店にてBDを借りて再度観た。名優のジャックニコルソンの代表作である。この作品により主演男優賞を受賞した。BDの特典映像を観て分かった事だがこの作品の元々の原作はカークダグラスが版権を買っていて舞台として演じていたらしい…。しかし余り人気は出ず数ヶ月でおわってしまった。そしてその息子のマイケルダグラスがその版権を元に映画化したようだ。
今回再度視聴して初めて気付いた点があった。それは吃音だったビリーが初体験をした後、吃音が治っていた事。これには驚いた!しかし婦長の厳しい叱責により又吃音になってしまうのです…そしてあの事件へと続く。なんとせつない事だろう…。。
人間の尊厳を問うた作品。当時のアメリカンニューシネマはお金を掛けずに良い映画を沢山出していた。その匂いはちょうど今の日本映画やフランス映画のような良質の香りがする。現在の米国映画はお金を掛け過ぎたステレオタイプの作品ばかり創っている。お金を掛けている為ヒットばかりを狙い派手に見せ掛けているだけである。そこは中身の無い作品ばかりである。そんな映画と違うアメリカンニューシネマを是非味わって欲しい。特に若い世代に観て頂きたい。現在の映画とは違い物語はゆっくり進む為、時として時間の経過が長く感じられるかも知れない…しかし現実もそんなに早くは進まないのだ。
人生の教科書
私達のいる処って…
何が凄いって、ジャック・ニコルソンの顔が凄い。「シャイニング」も、そうですけど、彼の顔見てるだけで感動してしまいそう。彼の顔の筋肉、どうなってんの。時の映画賞、総取りにするわけですね。
そんな彼の演ずるマクマーフィーも、また凄い。彼、誰に対しても、平等なんです。
できます?。全てのヒトと対等であろうとする。その一方で、婦長さん、ヒール張りまくりですが、実はリアルな世界では、婦長さんキャラで仕事するヒトが、俄然、圧倒する。きっと私も、その1人。自分ができることは、他者も出来て当然。出来ないヒトは、劣っている。そう思うと、自分と他者の間に、垣根ができる。マクマーフィみたいに、垣根レスにヒトと、接するのって、容易ではない。
但し、他者を見下す、他者に自分の価値基準を押し付けようとするヒトには、容赦しないマクマーフィ。その結果…。
この映画が公開され、映画祭で喝采を浴びて、ずいぶん経ちます。今の医療の現場、どうなのかな?。このクニでは「月」みたいな話がありましたけど。
タイトル忘れちゃったんですけど、確かイタリア映画で、精神疾患のある方を、ほとんど退院させる話がありました。不安になりますか?。何故、そんなことしたと思いますか?。かなりデリケートな問題なので、私から言及できませんが、邦画「くちづけ」とか、マンガ「ブラックジャックによろしく」あたりが、参考になると思います。
そもそも、「カッコーの…」ですが、これは、閉ざされた世界の、閉ざされたヒトだけのお話でしょうか。あるいは、私達、全員が当事者で、今、私達の暮らす世界の縮図として創られたのでしょうか。婦長さんになりたくないと思いながら、婦長さんと同じことしている自分が、いませんか?。
私達は、未だに、カッコーの巣から、飛び立っていないのかな?。
周囲に好影響を与えていくマクマーフィの姿に感動
マクマーフィが仮病で入院した精神病院は、閉鎖的な空気が漂い、患者達もどこか人生に対する諦めが感じられるところだった。彼はそんな狭い世界に生きている患者達に、バスケや釣りを教えたり、頭の固い婦長の管理体制に抗議したりすることで、少しずつ患者達の意識を明るく変えていく。彼が患者達に人生の希望を見せる姿に感動し、心が温かくなる。
マクマーフィは他の患者達のことを「話も理解していない奴ら」等と差別的な表現をすることもある。しかし、それは彼が他の患者達を対等な人間として見ているからこそ、変に遠慮せずに率直に思ったことを言っているのだと感じる。そこに彼の精神病患者に対する差別心の無さが表れていて、人間的な器の大きさが見ていて気持ち良い。
マクマーフィを演じたジャック・ニコルソンの全力の演技も、マクマーフィの人間的な魅力を表現できていて素晴らしい。この映画を観てジャック・ニコルソンが好きになった。
人間らしさとは
素晴らしい
怖いロボトミー手術
隔離された病棟!! 精神を病んだ人間の尊厳とは?
ジャック・ニコルソン演じるマクマーフィーは
刑務所の労働から逃れるために、精神病を
装っていました。
古い時代、1963年の精神病院に来たけれど
其処には生き甲斐を無くした患者たちがいました。
社会から隔離された、看護師たちからも自由を奪われた患者に生きる希望や自由を
与えようとして必死になるマクマーフィーの
人間らしい心を見ることができました。
刑務所みたいに厚い塀に囲まれた精神病院!
病院を脱出して患者たちをバスに乗せて走る場面は患者であっても人間として自由に
生きたい!
港から船を出す場面は、人生を謳歌したい
気持ちが伝わるシーンでした。
ラチェッド婦長を演じたルイーズ・フレッチ
ャーが光る演技でした。
患者に嫌われる役柄を体当たりに演じていました。
閉ざされた病棟にまだまだ患者に対しての
差別や偏見があった時代の古さ、理不尽さを
感じました。
病院で亡くなる患者の男性の1人。
その後の孤立したマクマーフィーの姿は
生きている屍のように見えました。
マクマーフィーと患者たちの友情、人間として
の生き方、死にいく様、尊厳を考える
ストーリーでした。
補足、昨年の9月に亡くなった女優の
ルイーズ・フレッチャーに追悼したいと思います。彼女自身、難聴でありながらアカデミー賞のスピーチは素晴らしいものでした。
素晴らしいとしか言いようがない演技
刑務所から逃げる為に、精神異常を装って施設へと来た主人公。
しかしそこで見たのは不条理に患者達を抑制する実態だった。
嫌気がさして脱走を考えるが、不思議と共同生活をするうち「仲間」との関係が気になってくる。
そして周りも彼をきっかけに変化していく…
ジャック・ニコルソンとルイーズ・フレッチャーが凄いのはもちろんですが、他の登場人物 皆の演技がとにかく素晴らしい。
そしてストーリーも非常に考えさせられる作品。
衝撃的なラストシーン、飲み物を持つ手が止まり完全に画面に見入ってしまいました。
まさにこういう映画が自分の知らない世界を見せてくれて、日常において人との付き合い方を見直すきっかけになる。
映画史に残る不朽の名作!!
いやぁ、余韻が凄い……
映画が終わった後の拍手
生きる力を何度も権力に奪われる姿が心に響く
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