ガタカのレビュー・感想・評価
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良かった
日本だったらNHKが作りそうなSF小品。valid or invalidの二項対立で区分される近未来世界の設定は、さすがに今となっては単純すぎて古めかしく思える。ただ、抑制的な語り口と美術がかっこよくて、全編にわたり隙間なく雰囲気を醸し出しているのがいい。そして低予算企画でも、俳優の層の厚さがやはりハリウッド映画。アラン・アーキン、アーネスト・ボーグナイン!ゴア・ヴィダルは何かしら本作の世界観へのシンパシーがあって出演したのだろうか。主要登場人物3人組も良くて、特にユマ・サーマン、美しい。
ひとつ分からなかったのは、あれが管を這わす為の人工造作物だったのか、ということ。
25年前の制作とは思えないほど設定がリアルで古びていないSF映画。...
25年前の制作とは思えないほど設定がリアルで古びていないSF映画。最後までバッドエンドなのかハッピーエンドなのかわからずハラハラする。受精時に能力を判別できるまで遺伝子工学が進化し、優秀な遺伝子を持つ人間が支配する近未来が舞台。自然出生の兄は劣り、選択出生の弟は優れる。家出して下半身不随の適正者になりすまし宇宙飛行士を志願する兄。尿検査、血液検査、DNA検査の連続攻撃をかいくぐれるのか。。。アクションシーンがほとんど無いのに一気見してしまうのは、クラシック調の映像美とユマ・サーマンの魅力(←個人的好み)とポイントを抑えた伏線回収。もったい付けた演出もあるけど、全体的に完成度が高く、ヒューマン要素もたっぷりで、観て損はしないと言える隠れた名作。
単なるフィクションと笑い飛ばすには難しい現実が到来している
遺伝子が人間の優劣をつける近未来を舞台に、生まれながら劣性遺伝子をもった男が選ばれし宇宙飛行士となるべく、優性遺伝子をもちながら事故で半身不随となった男を買う。
人間は未来を知りたい。どうにか知りたい。でも、どうあがいても完全に知ることはできない。だからせめて、人間の生活を遺伝子の傾向実証実験と捉え、可能性を測ることにした、という社会が描かれている。
イーサン・ホーク、ジュード・ロウがいい。特に大きな挫折を味わった優性遺伝子のジュード・ロウの、存在意義の哀しさと、求められているという喜びがないまぜになっている表現が光る。
本作が公開された97年から16年が経ち、単なるフィクションと笑い飛ばすには難しい現実が到来している。ある科学者が「科学の進展とは、ひとつ上の階層から、分からないことが分かった、というのに過ぎない」とコメントしていたのを思い出す。
挑戦する前から諦めなければならない未来なんてない。もがいたって、苦しんだって、嘘をついたって、へつらったって、未来へ挑む権利は万人にある。人生は統計ではなく、血の通った人間の息遣いなのだから。
深く切ない物語の秀作
う~ん。 テーマはいいんだけど、ばれないはずがないと思ってしまって...
Gattaca
不可能を超える
遺伝子で全てが管理される世界。
夢を抱いても適性がなければ叶わない。
妙にリアリティのある近未来の世界を描いた本作。
全体的にSF作品であるのにも関わらず、シックで哀愁漂った作風にとても落ち着いた。
本作はその独特な雰囲気に負けない俳優陣によってより憂いや胸に秘めた情熱が表現されていた。
特にイーサンホークとジュードロウの関係性は繊細で美しかった。
完璧な遺伝子を持っているが挫折し、下半身付随になったジェローム、彼の遺伝子を用いて自身の夢に挑み続けるビンセントの一見破綻しそうな関係が2人にしかわかり得ない信頼で成り立っていることに感動した。
終盤でのジェロームの行動はビンセントだけでなく2人の夢を叶えることができた喜び、自分に対しての劣等感や挫折を受け入れ、許せたことから生まれた行動で彼の生き様は痺れた。
自分の可能性を信じ続け、ひたすらに正の努力をすることが自分を納得させられる唯一の手段であるということをダイレクトに訴えかける作品だった。
隠れた名作!
個人的ベスト3
SFだけど、超近未来っていうより、現代の未来って感じの設定が好きです。
SFドラマでSF目当てで見ると「あれ?」て思われるかも。
内容でいったらドラマ映画と互角ぐらいのドラマ性が良く出来ていて、
時間が過ぎるのがあっという間でした。
遺伝子操作が当たり前の未来、主人公ヴィンセントは
遺伝子操作されずに生まれたが故に寿命は短く、
親にも失望される始末。のちに弟が遺伝子操作で誕生し、
将来を期待されるのを横で見ているヴィンセント。
何やっても弟にヴィンセントは勝てずにいたとき、
ある度胸試しをして弟に勝ち、これを期に家族と決別し、
一人生きていくことになる。
小さいころからの夢だった宇宙飛行士になるべく「ガタカ」に行くが、
遺伝子検査で門前払い。せめてもの思いでガタカの清掃員になるが、
宇宙飛行士の夢は諦められずにいたとき、
あるツテを使いガタカに社員として働くことになるが・・・。
実際の未来もこんなことになるのかちょっと怖さを感じました。
俺なんてダメ人間じゃんみたいな。
この映画で初めてジュード・ロウを知りましたが、めっちゃカッコいい。
すごいオーラを感じました。あれだけカッコ良ければ遺伝子操作されて
生まれてきたのも頷ける容姿ですね。
主人公のイーサン・ホークが喰われているように見えてしまう。
肌の垢をとり、爪切ったりして他人になり済ますのは大変そうで、
それを毎日繰り返すのはとても根気いることだと思い、
それだけ自分の夢を実現するために努力することを
惜しまないヴィンセントに、何か「夢を諦めなければ叶う」って
言っているように感じました。
ラストシーンはとても悲しい。でも強い熱い思いが伝わってきて、
その生き様見せてもらいましたって感じで好きです。
最後の手紙の中身がまつ毛だったら、完全に泣いていました。
優しい映画
手塚マンガにありそうな、大人向けの優しいSFミステリーという感じです。
はじめに一人死ぬので、そこから激しい展開になるかと思いきや、最後までまったり進むので不完全燃焼のポイントになってしまうかも。
みんなに偽装がバレないかハラハラはあるものの、途中から「あれ?もう半バレやん」というところもあり視聴者側の「バレないようにしなきゃ」という気持ちが置いてけぼりな感もあります。
個人的には宇宙へ飛び立つ前に、もう少し激しい展開があってもよかったんじゃないかなと思います。
それぞれのキャラの思惑がありながらも、荒ぶったことをやらずに全体的にどのキャラも優しい。
優しいが故に引き込ませる展開は少ない。
作品の意図としては、現代の差別の延長、近未来に起きるであろうDNA差別への警鐘でしょうか。
そういった者(主人公)へも最終的に受容する結末は意味あるものと言えるかもしれません。
しかし、それなら車椅子の彼も最後自殺の展開にしなくても良かったんじゃ…。
またさすがに90年代の作品なので、なんで車椅子の昇降機がないんじゃいとか、DNA判定する時のモニターがVHSぽいなとか色々ありますが、そこらへんの細かいディティールにイチャモンつけるのは野暮でしょう。
警察から逃れて暗がりでキスするシーンはグッと来るものがありました。あそこのシーンを撮りたかったんじゃないか、というくらい見所です。
全体を通して欲を言えばもっと振り幅を観たい作品でした。
DNA
自分の可能性を信じ抜け。
必死に叶えたい夢があるのなら、どんな逆境にでも、運命にでも、遺伝子にさえも抗える。主人公の泥臭くあがく姿に感動し、涙腺が緩んだ。
また、そうした熱量は人に伝染する。ジェロームもそう、検査を行なう博士もそうだ。人々に生きる勇気と夢を与える。
自分の可能性を信じて、全力で生き抜く。後ろを振り返らず、荒波を超えても必死で泳ぎ続ける。生まれながらのハンデを、後天的な努力で覆す。そんな主人公の姿は、どんなイケメンや金持ちよりも、かっこいい。自分もああなりたい。
最後のシーンは震える。遺伝子に抗い、可能性を信じ続けていたのは、主人公だけではなかった。検査士が最後に「早くいかないと遅れるぞ、ヴィンセント」と名前で呼びかけたシーンは、本当に感動する(字幕で出ていないのは、惜しい)。これまで偽り続けてきた自分ではなく、ありのままの「ヴィンセント」として最後宇宙に飛び立つ。この映画、名作すぎる。
※Netflixで見ましたが、所々字幕が残念でした
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