清朝皇帝

劇場公開日:1989年7月25日

解説

18世紀前半の中国を舞台に、紅花党の若き首領と清朝皇帝の愛憎を二部構成で描く大河ドラマ。金庸の原作『書剣思仇録』を基に、監督は「望郷(1982)」の許鞍華、脚本は蘇誠寿と李炳宏が担当。出演は張多福、達式常ほか。

1987年製作/中国・香港合作
原題または英題:書劍恩仇録
配給:大映
劇場公開日:1989年7月25日

あらすじ

〔第一部・紅花党の反乱〕18世紀前半、繁栄期を迎えようとしている清朝の時の皇帝乾隆帝(達式常)は、ある日興漠滅清を旗印にしている漢人の秘密結社、紅花党の首領からの密書を手にし、愕然とする。そこには乾隆の出生の秘密が記されており、実は彼は赤子の時に王朝に連れ去られた漠人だったのである。これが公になると天下崩壊の危機、と乾隆は紅花党の首領の命を奪う。一方首領を失った紅花党は、若き陳家洛(張多福)を次の首領とし、滅清を誓う。ある日清軍と他民族間の経典に巻き込まれた家洛は、そこで回族長の娘青銅(劉佳)を助け経典を奪回、同時に紅花党と回族は友清の同盟を結んだ。やがて家洛は、抗州でお忍びの姿の乾隆と出会い、二人が実は兄弟であったことを知る。そして兄の平和への願いに心うたれた家洛は、互いに傷つけあわないことを誓うのだった。ところが乾隆は紅花党征伐を挙兵、反撃に出た紅花党は乾隆を六和塔に拉致し、たてこもった。この激しい戦いの中で、家洛は兄の皇帝としての複雑な立場と内面の苦労を知り、命を助け同盟の誓いをたてるのだった。 〔第二部/シルクロードの王女・香妃〕回族の協力を求め砂漠を急ぐ家洛は、ここで美しい娘香香(阿依努爾)と出会うが、彼女は族長の次女で青銅の妹だった。その夜の宴で、香香は家洛を婚約者に選び、彼を愛する青銅は深く傷つく。その時清から宣戦布告の使者が訪れ、その返答のために清軍に出向いた家洛と香香はその帰り道、清軍の罠にはまり砂漠に孤立する。二人は青銅の優れた指揮で清の大軍を打ち破るが、家洛への思いに悩む青銅は、竜巻の中に身を投じた。二人は彼女の後を追い、気がつくと彼らは伝説の迷宮の中にいた。命からがらそこから脱出した青銅は妹のために身を引き、香香への愛を誓った家洛は北京へと向かった。季節は冬になり、宮廷の乾隆を訪ねた家洛は、そこで囚われの身の香香と再会する。家洛が去った後、清軍が回族を襲ったのだった。家洛は、香香と引き換えに紅花党に協力するという乾隆の言葉に、皇帝に身を捧げるよう香香に頼むが、絶望した彼女は純潔のまま自刃した。その頃紅花党撲滅を謀む乾隆は、鉄砲隊に氷上球技大会観戦中の紅花党の人々に向けて一斉射撃を命じる。すべてを失った家洛は、宮廷に仕え共に治世に協力するように説く乾隆をふりきって、一人西へと旅立つのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5 まだ日本では金庸が有名じゃなかった頃の金庸映画

2025年9月11日
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鑑賞方法:その他

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興奮

VHS&LD邦題が『風と興亡』、レンタルDVD邦題が『書剣恩仇録』。予約が規定数に達したらセルDVD化もされる予定だったが、結局規定数に達しなかったため流れたようだ。

金庸の武侠小説『書剣恩仇録』の映画化だが、金庸の小説群が邦訳されるのは90年代後半になってからで、公開当時は原作の知名度が全く無かったためこういう邦題になったらしい。劇場公開時に歴史ものかと思ってちょっと興味を持ったんだが確か1週間ほどで上映が終わってしまった。レンタルビデオは邦題が全く違うんで最初は気づかなかったんだが、副題の「第1部 紅花党の反乱」「第2部 シルクロードの王女・香妃」が同じことに気づき、そこでレンタルして観た(DVDの副題は「上巻 紅花会」「下巻 香香(シャンシャン)公主」)。

金庸が、満州族の清王朝6代皇帝・乾隆帝が実は漢民族だったという民間説話にヒントを得て執筆したという作品で、反清組織の首領である弟が主人公。兄弟が敵味方に分かれて戦いながら、時に通じ合い、時に裏切りという、歴史映画ではなく伝奇映画(というか武侠映画)である。ストーリーもアクションもなかなか面白かったような記憶があるが、細かいところはもうよく覚えてない。主人公が兄の乾隆帝に「兄さん、いっしょに清を倒そう」みたいなことを言うシーンがあって、おいおい、いくらなんでも(笑)と思った記憶あり。

DVD化されたのは2013年で、最初レンタル店で見かけた時はやはり本作のDVDだとは気づかなかった。ころころ邦題を変えるなよなあ。まあ日本で公開される香港映画にはありがちなことだけれど。

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