「60°のシェルター」風が吹くとき LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
60°のシェルター
「戦争近し」の報を受け、政府の指示書通りに家の壁に60度の角度でドアを立て掛けて作ったシェルターで核ミサイルを生き延びた老夫婦が、指示書通りに核汚染後の日々を穏やかに送り死に向かう物語です。語り口は穏やかでアニメ映像も優しい筆遣いで叫び声などなく淡々とお話は進みます。夫も、
「政府の指示に従うのは国民の義務なんだ」
「最後はお上が助けてくれる」
と語り続けるのです。それら全て、イギリスらしいバカバカしい皮肉に満ちた物語なのに、一切笑う事が出来ずひたすら恐ろしいのでした。
しかし、我が政府の「指示書」(彼らは実際には決して言葉にも文字にもしないが)通りの「核抑止力」や「核の傘」って、あの家の壁に60度の角度で立て掛けられたドアの核シェルターと何も変わらないんじゃないだろうか。
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