「じわっと来る怖さ。当時のイギリスの事情を理解しているとよいかも。」風が吹くとき yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
じわっと来る怖さ。当時のイギリスの事情を理解しているとよいかも。
今年285本目(合計1,377本目/今月(2024年8月度)10本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「コンセント 同意」→この作品「風が吹くとき」→次の作品「???」)
この映画が参照する当時のイギリスは、映画内に登場するようなパンフレットが配られていたのは事実だし、それこそラジオ・テレビが当たり前になってきた時期には、ラジオ・テレビを使った「核攻撃がきた、すぐに適切な対応をとって~」というような番組は放映されていました。これはアメリカほかの国においても同じです。事実上これらの番組がほぼなくなるのはソ連崩壊後になります(現在でも状況によってはテスト放映がある模様)。
そしてリアル世界では第三次世界大戦は始まっていませんが、映画内では核ミサイルが飛んできてあたりはむちゃくちゃ。パンフレットや番組がいうように「外に出てはいけない」や「水は大切にしましょう」などを(一部)無視してしまった老夫婦がたどる道のりは…といった趣旨の映画です。よって、「相手方」が出てくるわけではないし(核ミサイルらしきものが落ちるだけ)、「広義な意味での戦争もの」といえますが、明確な意味での「敵」というものは観念できません(まぁ、ソ連なんでしょうけど)。
平和の大切さを描く映画は数が多いものですが、アニメタッチのものは数が少なく、しかもその中から、「相手が明確に示されない」といったタイプの作品は珍しく良いなと思った一作です。大阪市では来週(8月2週)にも放映があるのでもう一度見てもよいかなと思ったくらいです。
採点にあたっては特に採点上気になる点までないのでフルスコアにしています。
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(減点なし/参考/日本での実情)
・ 日本ではJ-alert が運用されてはいるものの、実際に日本各地に核シェルターが色々あるわけではなく(都会部ではせいぜい地下鉄駅くらいにしか逃げられない)、その日本のJ-alertはその「想定する国」が実質的に一つだけであり、しかもその「想定する国」は突拍子もなく飛ばすので(そしてそれに対して、首相等が「遺憾に思う」というところまでセットで「(日本が発する)遺憾"砲"」などと揶揄される)、一応そういうものがある程度で、日本ではアラートがあるだけで、じゃどこに逃げたらいいのかとか水を用意しろだのということになっておらず(せいぜい、時々の「本物」と、いわゆる「テスト放送」とで時々見ることができる程度)、日本ではとりあえず「あるだけ」になってしまっているのは、日本国憲法のいわゆる「戦争の放棄」との関係でもあるし、実際に「どこにでもシェルターを作る実際のお金がない」といった問題にも依存してきます。
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